出産
乳腺炎を予防するためにできること―寝方、食事、マッサージ
2019年7月11日
乳腺症を予防する寝方は?
胸部を圧迫させないためには、起きている時だけではなく、寝ている時の姿勢にも気をつける必要があります。就寝時の姿勢も乳腺炎の原因となることがあるからです。
横向きで寝ると下側の胸を圧迫してしまいますし、うつ伏せで寝ると両方の胸を圧迫してしまいます。そのため、仰向けで寝ることが最も良いとされています。
しかし、寝ている時の姿勢はなかなか意識することが難しいので、せめて寝始める時だけでも仰向けに寝ることで、胸を圧迫させる時間を減らしましょう。
また、仰向けの体勢が辛いという人は、タオルの上に腰を乗せて寝ると多少は快適に眠ることができます。
乳腺炎の予防のために、食事で気をつけることは?
WHO(世界保健機関)は乳腺炎と食事の関係性について、「高塩分と高脂肪の摂取は乳腺症の可能性を高めるという点も含めて、食べ物は乳腺炎に関係していると考えられてはいるが、根拠はまだはっきりしていない」と発表しています。
このように、食べ物と母乳が溜まりやすくなることの関係性については、未だはっきりとは解明されていないのです。
一方で、母乳相談室や母乳外来などでは「脂肪分や糖質の高い食事は乳腺をつまらせたり、母乳の質を下げたりするため、できるだけ避けるように」と食事指導することも多くあります。
このように、未だはっきりとは解明されずとも、食事と乳腺炎に関係があるのではないかと考えられているこのが現状です。
また、WHOにおいても「食事と乳腺炎は関係がない」と言い切っていないというのも事実です。
これらを踏まえた上で、乳腺炎がひどい人や乳腺炎を予防したいという人は、なるべく高塩分や高脂肪の食事を控えるというのも一つの方法です。
高塩分・高脂肪の食べ物
- 揚げ物(フライドチキン、フライドポテトなど)
- ピザ
- 肉類
- スイーツ(特にチョコレート、ケーキ、アイスクリームなどの洋菓子)
乳腺炎の予防に葛根湯がいいって本当?
乳腺を予防してくれる葛根湯って何?
乳腺症予防法の一つに「葛根湯(かっこんとう)」という漢方薬を使う方法があります。
葛根湯との効果とは?
葛根湯は一般的に、「風邪のひきはじめ」に効果があると知られていますが、その他にも、頭痛、肩こり、首や背中のこわばり、筋肉痛や体を温める効果、熱や腫れ、痛みを発散させるなどの効果があります。
なぜ葛根湯が乳腺炎に良いの?
葛根湯には、身体や経路を温めて発汗を促す作用があり、痛む場所に滞っている気や血・水の流れをスムーズにして、こわばりや痛みをとる効果があるとされています。
特に葛根湯に含まれる生薬「葛根」には、乳汁の分泌を促進させる作用があるとされています。それにより母乳が十分に作られて、スムーズに排出されるようになれば、乳腺が詰まるリスクを軽減できます。
飲むタイミングや量は?
葛根湯を飲む際に気をつけたいのが、服用するタイミングです。
葛根湯は、症状が出始めたと思ったときに飲むのが、一番良いとされています。「なにかいつもと違う気がする…」など、乳房に少しでも違和感を感じたときは、すぐに飲むようにしましょう。
市販の葛根湯・病院で処方される葛根湯のいずれも、1日の用量は決まっています。基本的に漢方薬は食前または食間に飲むことが効果的とされているため、飲み忘れに注意しましょう。また、葛根湯はお湯などで溶かして、温かい状態で飲むと、さらに効果があるとされています。
乳腺炎はマッサージで予防しよう
マッサージも乳腺炎予防には効果的とされていますが、施術を受ける際には医師と身体や症状の相談をしておくと安心できます。また、乳腺炎のしこりやつまみが取れたあとにも、継続してマッサージをすることで、乳腺炎の発症を抑えることができます。
ただし、高熱がある場合などは、マッサージによって体調を悪化させてしまうこともあるので、自己流のマッサージは控えたほうが良いでしょう。少し乳房に触れただけで痛みが走るというようなときも無理にマッサージをするのは控えましょう。
マッサージの仕方
- 乳房を上下左右にしっかり揺らして、包み込むようにゆっくり力を加え、乳房をほぐしていきましょう。脇の下が痛いという場合は、腕を上下左右にゆっくり回したり揺らしたりすることも効果的です。
- 乳房のしこりは、乳頭に向けて優しくゆっくり押し出すようにマッサージをしていきましょう。このとき、乳頭や乳輪の周りも優しくもむようにすると乳管の口が開いて母乳が出やすくなります。
マッサージをする際には、無理をせずに身体や部屋を温めた状態で行いましょう。また、鋭い痛みを感じた場合にはすぐに中止してください。
おわりに:毎日の乳腺炎予防対策を継続しよう
乳腺炎の予防は毎日のセルフケアが大切です。食事内容の見直しや、マッサージ、睡眠など気を付けるべきことがたくさんあり大変かもしれませんが、毎日継続することで乳腺炎になるリスクを軽減させることができるので、しっかり乳腺炎予防の対策をしていきましょう。