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妊娠中にビタミンAを過剰摂取するとどんなリスクがあるの?

2021年10月31日

妊娠初期にビタミンAを摂りすぎると、体にどんな変化が起こるの?

現在の日本人の食生活ではビタミンAが不足することはほとんどなく、一般的な食事内容であれば、食事だけでビタミンAが過剰になってしまうこともないといわれています。

ただし、ビタミンAのサプリメントを用量以上に摂取すると過剰摂取になってしまい、以下のようなさまざまな症状が現れることがあります。 急性症状

  • 腹痛
  • めまい
  • 嘔吐 など

慢性症状

  • 関節痛
  • 皮膚乾燥 など

その他

  • 催奇形性
  • 骨粗鬆症

ビタミンAを過剰に摂取してしまうと頭蓋内圧が高まり、脳の実質が圧迫されることで、頭痛、嘔気、嘔吐、めまい、目のかすみなどの症状が引き起こされます。また、妊娠中のビタミンA過剰摂取は、お腹の赤ちゃんに影響(耳の奇形など)することがあります。

赤ちゃんの器官が形成される妊娠3か月以内の女性や妊娠を希望する女性は、ビタミンAの摂取量にはとくに注意しましょう。

βカロテンなら多めに摂っても大丈夫?

ビタミンは水溶性と脂溶性に分類されます。水溶性ビタミンは水に溶けやすいという性質を持っていて、体内で蓄積されずに尿として排泄されてしまうので体内に過剰に溜まってしまうということはほとんどありません。

一方、脂溶性ビタミンは脂に溶けやすいという性質を持っています。そのため、脂肪細胞や肝臓の細胞などに溜まりやすいという特徴があります。
ビタミンAは脂溶性で体内に溜まりやすく、過剰に摂取すれば過剰症となってしまう可能性があります。

ただ、ビタミンAにはレチノールとβカロテンの2種類があり、ビタミンAで摂りすぎが問題になるのはレチノールだけとされています。βカロテンは体内で必要な分だけしかビタミンAに変換されず、残ったものは抗酸化物質として作用するので、体内で過剰に吸収されません。

前述した催奇形性をもつのはビタミンAの代謝産物である、レチノイン酸によることが解明されています。

ビタミンA(レチノール)が多い食べもの

ビタミンA(レチノール)が多い食品は以下のようなものが挙げられます。

  • レバー
  • ウナギ
  • 卵黄
  • 小松菜
  • ほうれん草
  • にら
  • かぼちゃ
  • マーガリン

とくにレバーやウナギは含有量が多く、一食のみでも1日の推奨量を上回ることがありますので、過剰な摂取は控えましょう。

妊娠初期はつわりの影響で特定の食品を偏食しがちな妊婦さんは多いでしょうが、妊娠初期は胎児への影響も多い時期ですのでビタミンAの含まれる食品ばかり口にするのは控える必要があります。

また、ビタミンや葉酸のサプリメントにはビタミンAが含まれるものもありますので、服用している妊婦さんは成分に注意してビタミンAが含まれていないものを選んだり、ビタミンAが豊富な食事を摂ったときはサプリメントの服用を中止するなどの対策を行いましょう。

妊娠中のビタミンA(レチノール)の推奨量は?

ビタミンAは過剰に摂取しても、摂取量が不足しても赤ちゃんに悪影響を及ぼす栄養素の一つです。そのため、摂取量には注意を払わなければなりません。

一般的な妊娠中の摂取推奨量は、初期から中期で650~700㎍RAE、後期で730~780㎍RAEとされています。一方、1日の摂取上限量は2700㎍RAEであり、妊娠初期ほど赤ちゃんに及ぼす影響が大きくなりますので初期の頃は摂りすぎ十分注意しましょう。

ビタミンAの過剰摂取を気にしすぎるのも良くない?

ビタミンAの過剰摂取は良くありませんが、不足することも良くありません。
ビタミンAの不足は胎児の発達異常や発育不良のリスクを高め、早産を招くおそれがあります。

また、母体も免疫系や造血機能が障害される場合や、眼球乾燥症や夜盲症などの目の粘膜に影響が現れることがあります。ビタミンA欠乏症は年齢が若ければ若いほど重症化しやすいとされています。

上記でも触れたように、普通の食生活をしていればビタミンAが不足することはあまりありません

妊娠初期ではつわりなどによって食事が摂れない、食べてもすぐに吐いてしまうということもあるでしょうが、妊娠初期でつわりがつらいときも食べられそうなものを食べるなどしてできるだけ栄養を補給してください。

どうしても食べられない場合は、かかりつけの産婦人科を受診して点滴などで栄養を注入してもらいましょう。

妊娠中にバランスのいい食事を摂るにはどうすればいい?

妊娠中は、妊娠前以上にバランスの取れた食生活を心がけましょう。
一汁三菜、主食を中心とした食生活にして、エネルギーもしっかりと補給するようにしてください。

主菜を必ず毎食つけて、不足しがちなビタミンやミネラルは副菜を活用して補いましょう。緑黄色野菜はビタミンAの一種であるβカロテンも多く含んでおり妊娠中にはぴったりの野菜です。

また、葉酸は胎児の二分脊椎症を防ぐための大切な栄養素ですので積極的に取るようにしましょう。そして果物もビタミンCやカリウム、食物繊維などを体に必要な栄養を多く含んでいる食物です。積極的に摂るようにしてください。

もちろん、これらの食材だけ摂ればいいということではありません。なんでもバランスよく食べるようにし、基本的な栄養は3食の食事からとるように心掛け、サプリメントの乱用は控えましょう。

おわりに:ビタミンAに限らず、妊娠中はバランスの良い食事を心がけよう

妊娠中に食べたものはおなかの赤ちゃんへ影響します。妊娠初期の器官形成の時期は、とくに影響を受けやすいです。ビタミンAの過剰摂取は胎児に影響しますので注意しましょう。
ただし、ビタミンAが不足することも良くありません。妊娠中はバランスの良い食事をとり、母体と胎児の健康を維持できるように今までの食生活を見直しましょう。

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