出産
出産予定日の超過や早産の 原因と対処法を知っておこう!
2019年5月1日
出産予定日の計算はどうやってするの?
出産予定日は、最終月経開始日から280日と定めるのが一般的です。280日をカレンダーで数えるのは非常に面倒なことですが、簡易的な計算方法として、ドイツの産婦人科医が考案した概算法という計算方法があります。これは、最終月経のあった月の数に9を加え(13以上になる場合には3を引く)、日数に7を加えるというものです。
しかし、女性の性周期は必ずしも一定ではなく、排卵がずれることも多いです。ですから、実際の予定日は最終月経開始日とエコー検査で胎児の大きさを総合的に判断して決定されることがほとんどです。
予定日がずれることはある?
出産予定日はあくまでも予定日に過ぎず、もちろんずれることもあります。
このため、妊娠期間には「正期産」という期間が定められており、妊娠37週から41週までの期間に出産にいたるものをいいます。基本的にはこの期間に出産すれば赤ちゃんにもお母さんにも問題はないとされています。
一方、36週以前の出産を早産、42週以降の出産を過期産といい、赤ちゃんやお母さんに大きな問題が生じることがあります。
予定日超過の原因とは?
予定日超過(出産予定日から2週間以内までの超過のこと)が起こる原因ははっきりとわかっていませんが、下記のことに関係していると考えられています。
運動不足や体力不足、ストレス
運動不足になると、陣痛に繋がるお腹の張りが起こらないことが原因で陣痛が起こりにくくなる場合があります。妊娠後期の大きなお腹で外出することは大変ですが、ウォーキングをするなど、できるだけ体を動かすことが大切です。
また、寝不足や疲労により体力が落ちている状態やストレス状態の場合には、出産に耐えることができないと体が判断し、お産が始まらないこともあります。
子宮口が硬くなっている
出産予定日が近くなっても、子宮口が硬いままだと子宮口が開かず陣痛が来ないこともあります。子宮口が開かない原因ははっきりとわかっていませんが、出産の緊張によるものだと考えられています。
予定日を超過すると、赤ちゃんにどんな影響が及ぶ?
予定日から2週間過ぎた「予定日超過」では、そこまで大きな問題はないといわれています。しかし、出産予定日を過ぎ妊娠42週を過ぎると「過期妊娠(過期産)」になり赤ちゃんに悪影響を及ぼす可能性があります。
妊娠41週を過ぎ胎盤の機能が弱まると、胎盤からへその緒を通して供給されていた酸素や栄養が低下してしまう可能性があります。また、過期妊娠になると、羊水減少や過熟児、巨大児、などに陥る可能性もあります。
さらに、正常時の胎児はおなかの中で排便をしませんが、胎児に何らかのストレスがかかるとおなかの中で便をしてしまうこと(胎便)があります。過期妊娠の羊水が少ない状態で胎便をしてしまうと、分娩時に赤ちゃんが口の中の胎便を飲んでしまい呼吸障害を引き起こしてしまうリスクもあるのです。
出産の予定日を超過してしまったときの対処法は?
出産予定日を超過してしまった場合の対処法を以下に解説します。
40週の場合
40週目の間は、特に異常がみられなければ自然にお産が始まるのを待ちます。赤ちゃんの成長と共に酸素量が不足し苦しくなるため、出来る限りこの週にお産をすることが望ましいとされています。
41週の場合
41週を過ぎると、胎盤の機能が弱まり赤ちゃんに影響を与えてしまうため、陣痛誘発剤などを使用し、陣痛を促す必要が出てきます。
しかし、すでに胎盤の機能が弱まってしまっている場合、陣痛が胎盤に負担を与える可能性があり、それによって赤ちゃんが低酸素状態に陥ってしまう場合があります。この状態であれば、緊急帝王切開が行われることもあります。
また、陣痛誘発剤には副作用のリスクがあるので、事前に医師に確認しておくことが重要です。
早産のサインと原因
早産のサインとして最も多いのは、お腹の痛みを伴う張りです。妊娠中期以降は生理的にお腹が張ることはよくあることですが、早産の兆候では張りが一度で治まらず、定期的に繰り返すことや痛みを伴うことが特徴です。
また、出血や破水が起きることもあります。特に子宮の高い位置で生じる高位破水では、少量ずつしか羊水の流出がないため、尿漏れや多めのおりものと間違えやすいので注意が必要です。
このような症状が現れた場合にはすぐにかかりつけ医に相談して指示を仰ぎましょう。
早産の多くは原因がわからないことが多いですが、絨毛膜羊膜炎などの子宮に関連した感染症や、過度な労働などの生活習慣が原因となるものが一般的です。また、喫煙も早産のリスクとして有名ですが、受動喫煙でも早産のリスクが上がることが分かっています。
妊婦さんだけでなく、同居者や職場の人にも禁煙してもらうかタバコを近くで吸わないようにしてもらいましょう。
早産になると赤ちゃんにどんな影響があるの?
赤ちゃんはお母さんのお腹の中で、毎日目まぐるしい成長を遂げています。妊娠37週になるとお母さんのお腹から出ても生きられる状態となりますが、それ以前に生まれた場合には低出生体重児の確率が高くなり、大きな後遺症を残すこともあります。
早産による赤ちゃんの影響は週数や出生体重によって異なります。27週以前の早産では、網膜が未発達の状態であり、生後まもなくから網膜症の発症が多くなります。将来的に失明したり弱視になる可能性があるため、非常に深刻な問題となります。また、34週以前では赤ちゃんの肺が成熟しておらず、生まれても自分で十分な呼吸をでききたいため、生まれてすぐに人工呼吸器が使用されることもあります。
それ以降の早産では、赤ちゃんの体重が2000g以上であれば大きな影響を受けることは少ないですが、哺乳力が弱かったり、感染症にかかりやすいなどの問題もあるため、できる限り正期産を目指したいものです。
早産の対処法は?
早産と診断されると、軽症の場合には張り止めの飲み薬を処方され、予定されている妊婦健診よりも多くの頻度で通院して経過を見ることになります。一方、重症の場合には入院して絶対安静の上、24時間張り止めの点滴をするのが一般的です。絨毛膜羊膜炎などの感染症状がある場合には、抗生物質の投与なども行われるでしょう。また、細菌性膣炎が早産徴候の原因と考えられる人には、治療のための腟錠や腟洗浄などが行われます。
仕事をしている妊婦さんの場合には、大多数が診断書を交付され、休職をすすめられます。また、軽症であっても、上の兄弟の世話などで安静にできないことが予想される場合には入院治療となることもあり、妊婦さんの症状や生活環境を総合的に判断して治療方針が決められます。
おわりに:予定日超過や早産のサインがあるときは、かかりつけの医師や助産師に相談しよう
早産と思われる初期症状があるときや、出産予定日が近づいても陣痛の兆候がないときなど、予定日に関して少しでも不安があるときは、かかりつけの医師または助産師に相談することをおすすめします。早産や過期産にならないように、適切な処置を行ってくれるでしょう。
また、妊婦健診を忘れずに行い、適度な運動をするなどして、リラックスできる時間を増やすようにすることも大切です。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。