出産
つらい過活動膀胱はどうすれば治るの?治療法を詳しく解説!
2022年2月16日
過活動膀胱を発症した原因は?
過活動膀胱とは、自らの意思に関係なく膀胱が勝手に縮んだり過敏に働いたりすることによって、突然の尿意、我慢できないほどの切迫尿意感、頻尿、尿失禁など排尿に関する症状が引き起こされる病気です。過活動膀胱では、尿がそれほどたまっていないのに尿意が促されます。原因は大きく分けて、神経系の異常、骨盤底筋の異常に分かれます。
- 神経系の異常
- 排尿は、膀胱の筋肉と脳から出る指令が噛み合うことでスムーズに行われます。しかし膀胱の筋肉と脳を結ぶ神経に何らかの不調が起きると、排尿に異常が生じます。脳卒中による後遺症などが神経に影響を与える場合があります。
- 骨盤底筋の異常
- 骨盤や骨盤周辺の器官(子宮、膀胱、尿道など)を支える筋肉群である骨盤底筋の衰えは、膀胱の働きの低下につながります。加齢や出産が影響を与えます。
- 原因不明
- 過活動膀胱の原因は特定できないケースがよくみられます。
過活動膀胱を治すためにどんな薬が使われるの?
治療は、服薬治療が有効であると考えられています。抗コリン薬とベータ3作動薬 (ミラベグロン)の服薬による改善度は非常に高いのですが、完治は難しい点を理解して治療に取り組みましょう。
- 抗コリン薬
- 過活動膀胱の治療で用いられる第一選択薬で、貼付タイプを選ぶことも可能です。尿意切迫感や膀胱の異常収縮の抑制効果が期待されます。副作用は、唾液の分泌量低下による口腔内乾燥、便秘です。一部の緑内障の患者の方には使用禁止ですので、その旨医師に伝えてください。
- ベータ3作動薬 (ミラベグロン)
- 膀胱の働きの安定化を図ります。抗コリン薬の副作用を辛く感じる患者さんが選択する薬です。
日常生活の動作をちょっと変えるのも症状改善につながる!
服薬治療は一定の効果が期待される対処法ですが、筋肉の衰えが原因の場合はトレーニングで症状を改善できる場合があります。
膀胱の筋肉トレーニング
尿意を我慢できるように、膀胱周辺の筋肉を刺激します。膀胱に力を入れ、まずは5分間我慢することから始めましょう。5分間をクリアしたら、無理のない範囲で時間を延ばしてください。
骨盤底筋トレーニング
骨盤底筋トレーニングはさまざまなシチュエーションで行うのがおすすめです。
【基本】の骨盤底筋トレーニング
- 尿道・肛門・膣(女性の場合)に力を入れる
- きゅっと締めたり緩めたり2~3回繰り返す
- ゆっくりと締めてゆっくりと緩める、を2~3回繰り返す
起床後・就寝時に布団の上で
- 布団の上に四つん這いになる
- 顔の下に枕またはクッションを置く
- 枕に肘を載せ、首の後ろで両手を組む
- 【基本】を行う
デスクワークの合間に
- 足を肩幅に開いて立つ
- 両手の平をデスクに載せる
- 【基本】を行う
イスに座ってながらトレー二ング
- 背筋を伸ばして足を肩幅に開く
- 足の裏の全面は床につけて座る
- 【基本】を行う
過活動膀胱の治療は薬や体操以外にもあるの?
服薬治療を行っても症状の改善がみられなかったり、副作用や使用禁止事項のために服薬治療を選択できない場合、磁気刺激療法や仙骨神経刺激療法(SNM)を行います。
- 磁気刺激療法
- 皮膚に電極を付けて電気を流し、骨盤底領域を刺激します。服を着たまま行うことができ、強い副作用の報告がなく体への負担が少ないのが特徴です。ただし電気の刺激が強く感じる人もいますので、痛みなどを医師に伝えながら強度を調整して行うと安心です。
- 仙骨神経刺激療法(SNM)
- 体内に刺激装置を植え込み、排尿に関わる神経に電気刺激を与えます。まずは1~2週間かけて試験刺激を行い、効果の有無を確認します。試験刺激では麻酔をかけてからお尻の仙骨にリードと呼ばれる刺激電極を挿入します。試験刺激で効果が認められてから、刺激装置を植え込んで治療を開始します。自分で刺激強度をコントロールしながら治療を行います。
おわりに:改善度の高い服薬治療とトレーニングを組み合わせ、膀胱の働きをサポートしましょう
過活動膀胱は服薬治療で改善がみられるケースが多いので、気になる症状があらわれたら治療を開始することをおすすめします。日常生活で気軽にできるトレーニングと組み合わせて膀胱の働きをアップさせていきましょう。