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出産後に起きる直腸瘤、どうすれば治るの?

2022年1月19日

直腸瘤が出産後の女性にできやすいのはなぜ?

直腸瘤とは直腸腟壁弛緩症、直腸ポケット、レクトシールともいわれており、女性の便秘の原因としてよく知られている疾患です。
排便の際に直腸に圧が加わることで直腸の前側が腟の中に向かって膨らんでくる状態のことをいいます。

直腸瘤は、直腸・子宮・膀胱などが腟から脱出する骨盤臓器脱のひとつに分類されており、排便障害の1つともなっています。

直腸瘤は

  • 加齢で女性ホルモンが減少し、骨盤臓器を支える筋肉や靭帯が弱くなる
  • 出産によって腟周囲の組織が傷ついて弱くなる
  • 習慣的ないきみや肥満などで骨盤内の圧が高くなり、腟に圧力がかかる

ことなどが原因と考えられています。

このことから、直腸瘤は出産経験のある更年期以降の女性に起こりやすい傾向があります。
ただ、ごくまれではありますが男性でも発症することがあります。

直腸瘤になるとどんな症状がみられるの?

直腸瘤になるとみられる症状で、最も多いのが排便障害です。

  • 残便感がある
  • 便がスムーズに出ない
  • ひっかかる感じがする

という自覚症状に加えて、腟方向にせり出した直腸内に便がはまりこんでしまうことで便秘になってしまうこともあり、重症化すると腟に指を入れないと排便ができなくなります。

このような便通の異常から痔核(いぼ痔)や裂肛(切れ痔)を発症し、肛門の腫れや痛みに苦しくことになることも少なくありません。

また、腟の脱出も主症状のひとつで、腟がピンポン玉のようにふくらんでいるような自覚症状が出てきます。

しかし直腸瘤によって排便困難などの症状が出る人は一部であり、ほとんどの人は無症状で経過することが多いといわれています。

無症状でも治療は必要?

直腸瘤は無症状であっても放置すると徐々に症状が進行していくこともありますので、基本的には治療が必要になります。

根本的な治療は、後述する手術によって直腸の膣内への脱出を整復することです。しかし、無症状の場合や症状が軽い場合は、自然に改善していくこともありますので、症状を悪化させる便秘を防ぐための下剤や食事療法などが行われます。

直腸瘤はどうやって治療するの?

直腸瘤の治療方法には保存的治療法と手術療法の2種類があり、直腸瘤が小さい場合にはまず保存的治療から行われます。
保存的治療を行っても改善されない、用指排便でないと排便できないという場合には手術が選択されます。

保存的療法

保存的療法とは、薬物を使用したり日常生活を見直したりする治療法のことをいい、軽症の直腸瘤に対して行う治療です。

薬物療法では

酸化マグネシウム(マグラックス®など)
便を軟らかくして、排便を楽にする作用をもつ
ポリカルボフィルカルシウム(コロネル®ポリフル®など)
緩下剤。便の容量を増加させて、排便をしやすくする
レシカルボン坐剤
便が出口まで来ているのに出ないときに使う

などが使われます。
レシカルボン坐剤においては、週2~3回程度、定期的に使用することで排便習慣をつけるという方法も有効ではあるものの、効果には個人差があります。

日常生活においては食物繊維が多く含まれている食べ物を積極的に摂ったり、強くいきんだりすることを避けるように気をつける必要があります。

手術療法

直腸瘤の手術は大きく分けて経腟手術と経肛門手術に分類されます。

経腟手術

経腟手術はある程度の年齢を重ねている人で、直腸瘤の腟側からの脱出が主な訴えとなっている場合には治療成績が優れていることから、婦人科で行われることが多い術式です。

子宮脱や小腸瘤といった他の骨盤臓器脱疾患を合併している場合にも対応できるという長所があるものの、性行為や出産に不具合が生じる可能性があることから、原則として年齢の若い方には行うことができません。

経肛門手術

経肛門手術は閉経前の年齢が若い人に対して選択される術式で、排便障害が主な訴えであること、直腸重積や直腸粘膜脱などを伴っている人に対して行われる手術です。

大腸肛門外科で行われることが多い術式になり、腟側からの脱出を改善する力は弱いため、腟から脱出する直腸瘤を完治させることはできないというデメリットがあります。

TVM手術

ここ数年、日本ではTVM手術が普及しつつあります。
TVM手術はメッシュ手術とも呼ばれ、メッシュ本体を腟と直腸の間に留置し、アームを靭帯に固定してつり上げて補強する術式です。

重症例や再発を繰り返す例にも効果があるというメリットがあります。

おわりに:直腸瘤かなと思ったら早めに病院へ

直腸瘤は、女性の排便障害の原因とされるもののひとつです。治療法には薬物療法や日常生活を見直す保存的治療と手術があり、保存的治療によって改善が見られなかった場合に手術となります。

このように、直腸瘤は年齢や訴えによって治療方法が異なります。直腸瘤かなと思ったらまずは最寄りの病院へ相談し、自分に合った治療計画を立ててもらうようにしましょう。

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