出産
赤ちゃんの通り道、膣は出産後どう変わる?
2020年8月10日
出産中、膣はどう変化する?
出産のとき、赤ちゃんは子宮頸部から産道を通って膣から出てきます。このとき、赤ちゃんが通り抜けられるよう、膣の入口が伸びます。また、赤ちゃんを出やすくするために会陰切開(腟と肛門の間の部分を医師が切ること)することもあります。
出産後の膣の変化は?
出産後、膣が前より広がったり、乾燥しているように感じたり、性行為中に痛みを感じやすくなったりします。また、肛門が痛くなることもあります。産後、会陰の痛みや性行為痛を感じるのは珍しいことではありません。以下に、出産後に起こりうる膣の変化と、その対処法をご紹介します。
膣が広くなる
出産後、膣が以前よりも広く、柔らかくなったように感じることがあります。また、あざができたり、腫れたりすることがあるかもしれません。こうした症状は、出産から数日経つと落ち着くと思いますが、出産前の腟の状態に戻すのは難しいです。これは産後の正常な変化ですが、心配なときは主治医に相談してください。
また、骨盤底エクササイズ(ケーゲル体操)を続けると、膣や骨盤底筋を鍛えることができます。また、このエクササイズで尿漏れの予防や、性行為中の感度を高める効果も期待できます。
骨盤底エクササイズは、いつ、どこででも取り組めます。座っているときも、立っているときでもできるエクササイズなので、家事の合間やスーパーのレジや電車を待っている間、また、テレビを見ながらでもできます。以下に手順を紹介します。
- 肛門を絞りあげ、膣を閉じて上に引きあげる
- 筋肉を緊張させたり、リラックスさせたりしながら、短時間ですばやく①を行う
- ①をできるだけ長く、引き締めるようにゆっくりと行う(力を入れる時間は10秒以内)
- ①~③を10回繰り返すのを1セットとして、1日に4~6回繰り返す
おしっこを止めるときのように、下腹部に力を入れるような感じで行うのがポイントです。
膣の乾燥
産後に膣が乾燥しやすく感じるのは、妊娠時と比べて体内のエストロゲン値が低いためです。母乳で育てる人は、そうでない人よりもエストロゲン値が低いため、特に乾燥しやすくなります。母乳育児をやめて月経(生理)が復活すると、エストロゲン値は妊娠前の状態に戻り、乾燥も改善していきますが、乾燥がどうしても気になる場合は主治医に相談してみてください。
産後、性行為を再開したときに乾燥が気になる場合は、潤滑剤を使ってみてください。潤滑剤は、薬局またはインターネットで購入できます。なお、オイルベースの保湿剤やローションを使うと、ラテックス製やポリイソプレン製のコンドームだと破れる可能性があるので、ウォーターベースのものを使ってください。
もし、膣の乾燥が原因でパートナーとの性行為がうまくいかないときは、パートナーに打ち明けてみてください。そうすれば、一緒に解決策を見つけることができます。
会陰の痛み
出産直後は、膣が痛くなると思いますが、出産から6~12週間以内におさまる場合が多いです。会陰の痛みを和らげたい場合も、先ほどご紹介した骨盤底エクササイズ(ケーゲル体操)がお勧めです。
会陰が裂けた場合や、産後に裂けたところを縫合した場合、ズキズキとした痛みを感じることがあります。鎮痛剤で痛みを和らげることもできますが、母乳で育てている場合は、実際に薬を飲む前に助産師や薬剤師に相談してください。
また、会陰を清潔に保つことも大切です。ナプキンはこまめに取り替えるのはもちろん、取り替える前後には必ず手を洗ってください。
縫合したところが回復しているかどうか心配なときは、主治医に相談しましょう。特に、痛みや不快感が強い場合や異臭がする場合は必ず診察してもらってください。傷の大きさによっては、回復後も傷跡が残る可能性もあります。
性交痛
産後、性行為を再開する時期に正解はありませんが、焦りは禁物です。性交痛があるのに無理に性行為をしても楽しくありません。もし膣の乾燥が気になるなら、ウォーターベースの潤滑剤を試してみてください。また、会陰に不快感があるときや、性交痛が続くときは、は主治医の診察を受けることをお勧めします。
産後は赤ちゃんの世話に追われて疲れてしまうこともあり、以前ほど性行為に関心が持てなくなるのは珍しいことではありません。ただ、性行為を避け続けるとパートナーとの関係がぎくしゃくしてしまう可能性があるので、自分の状況についてパートナーとじっくり話し合うことが大切です。
なお、出産後3週間で妊娠する可能性があります。次の妊娠はもう少し先でいいかな…と思っているときは、必ず避妊しましょう。
おわりに:産後の腟の変化は、骨盤底トレーニングなどで改善しましょう
- 出産後、膣が広がったり乾燥したりといった変化が起こる
- 場合によっては、性行為中に痛みを感じたり、おしっこを漏らしてしまったりすることもある
- 骨盤底トレーニング(ケーゲル体操)や潤滑剤を使ったりして症状を改善することが大事
ただし、もし自分でできる対処法を試しても痛みが続く場合は、医師の診察を受けてください。