出産
出産後の「産褥期(さんじょくき)」の過ごし方のコツは?
2019年9月24日
産褥期(さんじょくき)とは、出産後いつまでのこと?
出産後の体は分娩のときの傷や子宮の回復、悪露(おろ:子宮・子宮頸部・腟から排出される血や分泌物のことで、産後4~5日ほど続くことが多い)、骨盤のゆるみ、ホルモンバランスの崩れなどの様々な変化が起き、だんだんと妊娠前の体に戻ろうとしています。
そして、出産後6~8週間までの時期を産褥期(さんじょくき)と呼びます。
産褥期は出産後から出産前のような体の状態へと回復するための期間です。体内にたまった老廃物を排出するために、数日の間たくさん汗をかいたり排尿量が増えたりします。
出産が終わったママの体は大きなダメージを受けているので、産褥期には体の回復を最優先してゆっくりと休むことが大切です。
産褥期で注意することは?
産褥期に無理をするなどして体の回復が思わしくない場合には以下のような不調が現われます。
- 産褥熱(産後10日以内に38℃以上の発熱が2日ほど続く)
- 子宮復古不全症(何らかの理由で子宮の大きさ・硬さの戻りが悪い状態)
- 乳腺炎(乳腺の詰まり、詰まった部分に細菌が入り化膿するなどの状態)
- 腰痛、背中の痛み、肩こり
出産という大仕事を終えたママの体は様々なトラブルが起こりやすい状態です。決して無理をせずに、パートナーや家族にも協力してもらいましょう。また、体調が悪い・異常を感じるなどのことがあれば遠慮なく病院で診察を受けるようにしましょう。
産褥期の経過と過ごし方のアドバイス
個人差はありますが、産褥期は6週間から8週間ほど続きます。ここでは、出産後どのように体が回復するのかを時間の経過ごとにみていきましょう。
退院直後~産後2週間
この時期はとにかく体を休めることを第一に考えてください。ママの仕事は授乳とオムツ交換くらいにして、他の家事全般はパートナーや他の家族に頼みましょう。まだ入浴はできないので、シャワーを浴びる・体を拭くなどして清潔にしてください。
産後3週間目
少しずつ自分で家事をしても平気になってきます。ただし、まだまだ疲れやすいので、疲れたらすぐに体を休ませましょう。
この時期に無理をしてしまうと、急に悪露が増える・発熱するなどの症状が現われる可能性が高くなるので、ゆっくりと「のんびりしてるかな…」と感じるくらいのペースで活動するようにしてください。
産後4週間目
順調に回復していれば、力仕事を除くの家事はほとんど自分でできるようになります。しかし、完全に回復したわけではないので、夜鳴きや夜間の授乳が原因の睡眠不足が辛くなるママも多いです。可能であれば、赤ちゃんと一緒に昼寝をするようにしましょう。
また、この時期には母子ともに1ヶ月検診を受ける必要があります。ママは産後の経過状態、子宮の回復状況、後遺症の有無などを、赤ちゃんは発育を見て問題点がないかどうかを調べます。産後4週間目以降は医師の許可があれば入浴、短時間の外出、性行為も可能です。
産後5週間目
1カ月検診で順調だと診断されたら、自分の体調に合わせて出産以前のライフスタイルに戻していきましょう。回復を早めるためにも、できることは積極的に行っていくようにしてください。ただし、完全に回復するまで無理はしすぎないようにしましょう。
産後6~8週間目
この時期までくると、ほとんどの人が出産前と同じような生活ができる体になります。ただし、疲れが残っているときには無理をせずに休むように心がけてください。
産休明けから職場復帰を考えている場合は、この時期から産後のエクササイズなどで体力をつけたり復帰に向けた準備をしましょう。
産褥期におすすめの体操は?
産褥期はなるべく身体を休めて妊娠や出産によるダメージを回復させることが必要です。
ただ、出産によって緩んだ骨盤や衰えた骨盤底筋は産後できるだけ早い段階から妊娠前の状態に戻るよう無理のない範囲でエクササイズをすることがすすめられています。
いわゆる「産褥体操」と呼ばれるものには次のようなエクササイズがあります。
- 膝を曲げて仰向けになり、腹筋の動きを意識しながら深呼吸を繰り返す
- 足首を曲げたり伸ばしたり、回したりする
- 好きな体勢で肛門や膣に力を入れては抜くという動作を繰り返す
- 膝を曲げて仰向けになり、お尻を持ち上げて数秒間キープする
ただし、出産によるダメージや回復のスピードは人によって大きく異なります。会陰の傷が強く痛む人は痛みで歩くことすらままならないこともあります。
痛みがある場合は無理にエクササイズをするのは控えましょう。
おわりに:出産後、しばらくの間は体を回復させることを最優先で考えよう
出産後のママの体は自分で思う以上に大きなダメージを受けています。特に出産から3週間が経つまでは体の回復を最優先して、ゆっくりと休むことを心がけましょう。
体調が悪かったり、異常があると感じたりしたときは、早めに担当医に相談してくださいね。