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痔におすすめの食べ物 ― 食物繊維が効果的って本当?
2024年6月19日
痔におすすめの食べ物は食物繊維を含むものがおすすめ!
痔の主な原因のひとつとして便秘が挙げられます。便秘による痔の場合、食物繊維をたくさん摂取することをおすすめします。食物繊維が多い食べ物を食べると便が柔らかくなり、便が出やすくなるため、痔の治療や予防に効果的と考えられています。
ところで、「便秘には食物繊維」と聞いたことがあるかもしれませんが、食物繊維は「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」の2種類に分けられることをご存知でしょうか。両方の食物繊維をバランスよく摂ることこそが、便秘治療には欠かせないといわれているのです。
水溶性食物繊維と不溶性食物繊維
水に溶ける「水溶性食物繊維」は便を柔らかくし、形を整え、食べ物が腸を通過しやすいようサポートしてくれます。一方の「不溶性食物繊維」は水には溶けませんが、腸の動きを活発にして便を体外へ排出させ、腸内環境を保つ役割を担っています。
一般的には、摂取する食物繊維の約3分の1が水溶性食物繊維であることが望ましいとされています(下痢の場合はさらに多くするといいでしょう)。ただし、食物繊維の摂取量を一気に増やすとガスや腹部膨満感を引き起こすことがあります。普段あまり食物繊維を摂っていないようであれば、少しずつ量を増やすようにしてください。
また、食物繊維の効果を最大限に発揮させるために、水分をたくさん摂ることも重要なポイントです。目安として1日約2リットルは摂取するようにしましょう。
食物繊維の摂取におすすめの食べ物は?
「便秘が原因の痔の場合、食物繊維を摂ることが重要」という話をしてきましたが、食物繊維はどういった食べ物に含まれているのでしょうか。
豆類
マメ科の食べ物には食物繊維が豊富に含まれています。インゲン豆や黒豆などの豆類を1/2カップ摂ると、1日あたりの推奨食物繊維量の約3分の1が摂取できるといわれています。また、豆は品種に応じて、7~10g(水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方)の食物繊維が含まれています。
アーモンドやピーカンナッツにも、約20gあたり約3gの食物繊維が含まれているといわれています。普段食べるスープやサラダに、豆を加えることから始めてみてください。
米、小麦
パンやパスタ、クラッカーは全粒粉やライ麦で作られたものに変え、米は白米から玄米に変えることで、不溶性食物繊維の摂取量を増やすことができます。便秘による痔でお悩みの方は、早速取り入れてみましょう。
野菜や果物
食物繊維を摂るために、野菜や果物は欠かせないものです。例えばブロッコリー、芽キャベツ、グリーンピースなどの野菜1カップからは食物繊維を約4~5g、果物1人前からは約3~4gをそれぞれ摂取することができます。
そして野菜や果物には、食物繊維に加え、多くの水分が含まれています。なお、キュウリ、セロリ、パプリカ、スイカの約90%は水分のため、消化にも良いと考えられています。
海藻類
海藻類には水溶性の食物繊維が多く含まれています。水溶性食物繊維は便通を改善するだけでなく、腸内の善玉菌を増やす効果と腸内にある便を柔らかくする効果があります。便が硬いことが原因で痔を発症している人は、海藻を多く摂るように心がけましょう。
特に、昆布やわかめ、もずくなどのぬめりのある海藻はアルギン酸が多く含まれており、コレステロールの蓄積や動脈硬化を予防する効果もあるので積極的に摂取することをおすすめします。また、水溶性食物繊維は熱に弱いため、摂取する場合には生の状態で酢醤油やドレッシングなどをかけて食べる方が効率よく食物繊維摂ることができるといわれています。
いも類
いも類には主に不溶性食物繊維が多く含まれています。不溶性食物繊維は、腸の中に溜まった便の排出を促す作用があり、普段の食事で多く取り入れたい食材のひとつです。特に、サトイモには不溶性食物繊維の他に水溶性食物繊維であるマンナンが多く含まれ、便を柔らかくする作用もあるのでおすすめです。
ただし、いも類はカロリーも高いことは留意しておきましょう。和風の煮物やお味噌汁の具など余分なカロリーが含まれない料理に使って摂るようにしてください。
調理時の注意点
効率的に食物繊維を摂取するために、調理時に気をつけるべきポイントがあります。リンゴ、梨、ジャガイモのような皮の薄い野菜や果物は、皮をむかずにそのまま食べましょう。皮には不溶性食物繊維が含まれており、痔の出血を抑制してくれる作用があるとされるフラボノイドも含まれています。
また、ブドウやトマト、ケールなどの濃い緑色の野菜は、一般的にフラボノイドが豊富といわれており、色が鮮明であればあるほど良いとされています。食べるまでは本来の形を保つように気をつけ、皮や葉に傷をつけないようにしてください。
痔のときに避けたほうがいい食べ物は?
食物繊維が少ない(あるいはまったく含まれていない)食べ物は、便秘や痔を悪化させる原因となります。下記の食べ物に関しては、摂取量を制限しましょう。
- ポテトチップスなどの揚げ物
- ファストフード
- アイスクリーム
- 肉
- 冷凍食品
- 電子レンジで調理する加工食品
- 牛乳、チーズ、その他の乳製品
上記の中でも特に揚げ物は、体内の炎症を引き起こし、痔を悪化させる恐れがあります。 痔にかゆみや痛みがある場合、以下のような腸の刺激となるものも減らしてください。
- アルコール
- カフェイン
- 刺激物(辛い食べ物など)
- 柑橘系
痔の方は塩分量にも注意してください。塩分の過剰摂取は血圧の上昇につながり、痔が悪化する可能性があります。なお、鉄分サプリメントも便秘やその他の消化器系の問題を引き起こす可能性があるため、服用については医師に相談してください。
痔の改善・予防におすすめのレシピ
痔の改善や予防には豊富な低カロリー、減塩のメニューが必要であり、なるべく香辛料を使わずに調理するとよいとされています。また、食物繊維を豊富に含んだ便秘解消効果を持つメニューも痔に良いとされています。ここでは、痔の改善や予防に効果的なおすすめメニューを3つ紹介します。
① 揚げない大学芋
イモ類には食物繊維が多く含まれており、痔の改善に良い食材の代表格です。大学芋はおやつ代わりとしても食べることができるおすすめレシピですが、油で揚げるためカロリーが高いのが欠点でした。そこで、さつまいもをよく炒ることで揚げなくても美味しく仕上がるレシピをおすすめします。
適当な大きさに切ったサツマイモを水にさらし、適量のサラダ油を入れたフライパンできつね色になるまでよく炒ります。そして、しょう油を混ぜ合わせ、黒ゴマをまぶしたら完成です。砂糖を加えなくてもサツマイモの糖分で十分な甘みが得られるでしょう。
② わかめの酢の物
わかめは良質な食物繊維を多く含み、低カロリーの食材なので痔の解消におすすめの食材です。
生のわかめをよく洗い、適当な大きさに切ります。切ったわかめに酢、しょう油、砂糖を合わせたドレッシングを加えてできあがり。小鉢料理の一品としてもおすすめです。
③ こんにゃくの煮物
こんにゃくの主成分は食物繊維のため、便秘解消には最も優れた食材と言ってよいでしょう。また、低カロリーで噛み応えがあるため、満腹感も得られダイエットにもおすすめです。
こんにゃくは適当な大きさにちぎって、下茹でをして臭みを消します。鍋にだし汁と醤油、砂糖などを入れ、ちぎったこんにゃくを加えます。お好みに味付けして煮詰めたら完成です。保存もきくため、常備菜にもおすすめです。
おわりに:普段の食事を見直し、食物繊維の量を増やして痔を改善しよう!
排便時の痛みなど、「痔」のつらい症状を軟膏などで緩和させることは、一時的な対処としては問題無いでしょう。しかし、根本的に痔が改善しているわけではありません。
もし痔が便秘が原因で起こっているのなら、食物繊維の量を増やすなどして食生活を改善させることが重要になっていきます。普段の食べ物を見直し、根本的に痔を治していきましょう。