妊娠
妊娠中の仕事と職場復帰のアドバイス
2024年3月6日
妊娠したら、いつまで仕事を続けられるの?
働いている人が妊娠した場合には、労働基準法で認められた産前産後休暇が取得できます。産前には出産予定日の6週間前(双子以上の場合には14週間前)から休暇を取ることが可能です。会社独自の規定によっては8週前から取れるところもありますから、それぞれの規定を確認しましょう。
しかし、この休暇はあくまでも目安です。もちろん出産直前まで働きたいという希望があれば出産前日まで勤務することが可能です。また、出血やお腹の張りなどの切迫早産の兆候がある人はかかりつけ医から診断書が交付されて産前休暇より前に休むこともあります。
休める期間はどのくらい?
妊娠・出産に伴って取得できる休暇として、産前は出産予定日の6週間前(双子以上の場合は14週間前)、出産後は8週間の産後休暇が認められています。これは労働基準法で定められている妊婦さんの権利です。
産前は妊婦さんの希望があれば休まずに仕事を続けることも可能ですが、産後は希望があっても産後8週間は仕事をすることができません。ただし、医師の診断書があれば出産後6週間で復帰することもできます。
つわりで診断書はもらえる?
妊娠初期に多くの妊婦さんがつわりに悩まされます。つわりは病気でないからと我慢して仕事を続けている妊婦さんも多いでしょう。
しかし、つわりはひどくなると食事や水分が摂れずに脱水症状になったり、重症化して妊娠悪阻に進行すると意識障害などが生じることもあります。
妊娠中の無理は妊婦さんにも赤ちゃんにもよくありませんから、つわりがひどいときにはかかりつけ医に相談してみましょう。医師の判断によって休職の診断書が交付されることもあります。
また、診断書が交付されなくても、母性健康管理指導事項連絡カードというものを発行してもらえることもあります。これは、産婦人科医が妊婦さんの体調を考慮して、事業主に休暇の取得や業務の変更などを申請する制度です。認知度は低いですが、事業主に自分から休みや配置換えを言い出しにくい場合にはぜひ利用してみましょう。
仕事を続けるなら会社側の理解も必要!
妊娠中も仕事を続けることで、何らかの問題が起こる可能性があります。ただし、それは適切な措置や代替の仕事を用意することで回避することができるものです。
職場の状況と自分の仕事について、医師や上司と相談することで何が安全な仕事なのかを判断することが大切でしょう。
以下のことについて考えてみましょう。
負担が大きい仕事は代わってもらう
重い荷物を持ち上げたり、長時間立ったまま、あるいは過度の残業を必要とする仕事は、妊娠経過に悪影響を与える可能性があります。ひとつでもあてはまるときは、医師に仕事が妊娠に与えるリスクについて相談してみましょう。そして必要なら上司に、産休から戻るまで力をあまり必要としない代替の仕事をお願いしてみましょう。
以下のような仕事をしている場合は、妊娠中は仕事内容を変えることができないかどうか相談しましょう。
デスクワークでは疲れない工夫を
デスクワークをしている人ならだれでも、肩の痛み、目の疲れ、頭痛などを経験します。身体の緊張を和らげるために以下のような予防策をとってください。
長時間座りっぱなしにならない
立ち上がってストレッチしたり、机から離れることが必要です。 椅子に座っているとき腕、首、肩を伸ばしてみましょう。低いスツールや箱に足を乗せ、足を上げると、足の腫れを軽減するのに役立ちます。
座席をより快適にする
背もたれにクッションを置き、身体への負担を減らしてください。エルゴノミック機器(キーボード、マウス、電話など)を使用するのもおすすめです。
ソフトタッチでタイピングする
手首をまっすぐ、手は肘よりも低く保ち、手首の負担を軽減する器具を着用すると楽になるでしょう。
それでも症状が改善されないときは医師を受診し、相談しましょう。
ストレスケアも忘れずに
妊娠中はただでさえホルモンバランスの変化による体調不良、生活の制限などが生じることでストレスを感じやすくなるものです。仕事をしている妊婦さんは周囲への配慮やパートナーの協力のなさなどでさらにストレスを溜めやすい傾向にあります。
妊娠中のストレスはお腹の張りを招いたり、妊娠高血圧症候群などの発症リスクを上昇させることが分かっています。
妊娠中はできるだけストレスを溜めない生活を送るよう心がけましょう。妊娠中はストレス解消法も限られますが、次のようなケアがおすすめです。
- 信頼できる友人とおしゃべりする
- 近場に出かける
- 趣味の時間を持つ
- ウォーキングなど軽い運動をする
- 母親学級などで同じく妊娠中の知人を作る
- 妊婦でも施術可能なマッサージを受ける
- 糖分やカロリーに注意しつつもたまには美味しいものを食べる
職場復帰について
妊娠・出産という女性特有の状況は、従来どおりに仕事をすすめるうえで大きなリスクがあります。しかし、女性の社会進出がめずらしくなくなった現在では、育児休業法のほかに、従業員が自分の仕事に影響を与える可能性のある問題への対処に役立つプログラムやカウンセリングが用意されています。
また、出産し育児休業のあと職場復帰するときには、フレックスタイムや在宅勤務を認められているようであれば職場の担当者に相談してみる方法もあるでしょう。また、通常行っている仕事を完了するためにパートタイムまたは短時間労働者を雇うジョブシェアリングという方法もあります。
育児休業と給付金
産後休暇が終了しても、育児・介護休業法に定められた育児休業を取得することができます。
育児休業が取得できるのは、産後休暇が終了する日の翌日から子供が1歳の誕生日を迎える日までです。1歳以降でも、認可保育園に入園できなかった場合には最長1歳6か月まで育児休業を延長することができます。
育児休業は男性も取得することが可能で、男性の場合は出産日当日が育児休業の開始日となります。ただし、雇用されて一年未満や、復帰後一年以内に退職することが分かっている場合、週の労働日数が二日以下の場合には取得できないことがありますので注意しましょう。
雇用保険に加入していれば、育児休業開始前の二年間に月11日以上の勤務をした月が12か月以上ある人は育児休業給付金をもらうことができます。
支給額は、育児休業開始日から6か月間は月給の67%で、それ以降は月給の50%になりますが、給付額の上限は424500円です。
おわりに:医師や上司と相談しながら、自分のペースに合わせて仕事をしていこう
妊娠中必ず仕事を休まなくてはいけないわけではありませんが、つわりの状態や体調不良など、何らかの理由がある場合は休んだ方が良い場合もあります。
妊娠や出産に関する休業だけでなく、育児休業や職場復帰に関しても様々な制度があるので、医師、職場の担当者などとよく話し合って妊娠・育児期間を乗り切りましょう。