妊娠
妊娠初期に飛行機に乗っても大丈夫?
2023年7月5日
妊娠初期に飛行機に乗ることはできる?
日本国内の航空会社では、出産予定日の28日前からは搭乗について制限が設けられています。搭乗日から7日以内の診断書を求めている航空会社もありますが、妊娠初期には飛行機に乗ってはいけないという規定はありません。
妊娠初期は胎盤がまだ未形成の状態であり、妊婦の体はとても不安定な時期にあたります。つわりについても個人差がありますし、双子や三つ子といった多胎妊娠や、心臓病などの持病がある場合など判断が難しいこともあります。事前にかかりつけの医師に相談してみましょう。
飛行機搭乗で流産する可能性は?
妊娠初期の飛行機搭乗が原因で流産しやすくなる、という研究データはありません。ただ、妊娠初期はそもそも早期流産が起こる確率が高い時期で、妊娠12週未満で流産してしまう確率は流産全体の約80%ともいわれます。
飛行機での移動は、フライト時間だけでなく、搭乗にかかる時間も含まれます。また、妊娠中に同じ姿勢でいることは身体に負担がかかりますし、天候によっては機体が大きく揺れることもあるでしょう。
また、もし病院を受診することになったときも、これまでのカルテがあるわけではありません。特に海外では日本と同じような医療が受けられるとは限らず、たとえ受けられたとしても、莫大な医療費が請求されることもあります。このため、特に妊娠初期は、心身への負担がかかるような移動はできるだけ控えましょう。
妊娠に気づかずに搭乗ときは
飛行機は便利な移動手段であるため、仕事や帰省、旅行などで使う機会が多い人もいると思います。妊娠しているかどうかも気づかないような初期であれば、妊娠に気づかずに乗ってしまったということは十分に起こり得ます。そのようなときでも、医師の診察を受けて問題がないようであれば、あまり神経質になる必要はないでしょう。
妊娠がわかった場合、搭乗をキャンセルできる?
所定の手数料を払えば、搭乗をキャンセルすることができます。ただし、妊娠を理由にして手数料を免除してもらうなどの対応を受けたい場合は、航空会社に問い合わせましょう。
妊娠に特化した規定はありませんが、病気などの都合でキャンセルした場合に適用されることがあります。また、旅行会社を通しての予約の場合は、航空会社だけではなく旅行会社がキャンセルについて規定していることがあります。旅行会社に問い合わせてみましょう。
飛行機搭乗による被曝(ひばく)の可能性は?
普段気にすることはありませんが、私たちは自然界から放射線を受けています。放射線は宇宙から降り注いでいるほか、大地などからも発せられています。国内線に比べて高い高度で飛ぶ国際線では宇宙から高い放射線量を受けることになります。たとえば、東京からニューヨークまでのフライトでは、片道で0.1~0.2mSv(マイクロシーベルト)程度と言われています。
しかし、日本産科婦人科学会による診療ガイドラインによれば、妊娠10週目までの胎児への被曝量が50mSv未満であれば、胎児の奇形との関係は認められていません。たまに渡航する程度では影響がないと考えられます。
手荷物X線検査や金属探知機は大丈夫?
手荷物の検査で使われているX線検査は、荷物専用に実施されています。国内では特に問題がありません。また、飛行機に乗る前にゲートを通る検査は金属探知機によるものです。金属探知機では放射線は発せられていませんので、妊娠に影響はありません。ただし、海外の空港ではX線を使用したボディスキャナーを利用しているところもあります。どのような機器を使用しているのかは航空会社や旅行会社などに問い合わせておくと安心です。
気圧の変化は?
地上から数千メートルも高いところでは、地上に比べて気圧が低くなります。気圧が低くなると身体の中にたまっていた空気は膨らみ、身体の組織を圧迫することで痛みが生じることがあります。そのため、耳の痛み、頭痛、腹痛といった症状が出る人がいます。妊娠中に子宮が圧迫されて痛みや出血があったという報告もあるため、影響が全くないとはいえません。また、高度が高くなるほどに酸素の濃度も薄くなっていきます。呼吸器や心臓に疾患のある人や貧血症状がある人は影響がある可能性があります。事前にかかりつけの医師に相談をしておくと良いでしょう。
飛行機に乗る場合の注意点は?
妊娠初期に飛行機を利用するときには、以下のポイントにあらかじめ気をつけておくことで快適に過ごせたり、何かトラブルがあったときも手助けを受けやすくなるかもしれません。
旅行保険やキャンセルの規約を確認しておく
予約の際に妊娠がわかっているときは、キャンセルの規約や手続きについて事前に確認をしておきましょう。また、加入している旅行保険があれば、妊娠がもとでの何かのトラブルに対応しているかどうかを確認しておくと良いでしょう。家族などの同伴者がいるのであれば、情報を共有をしておきましょう。
搭乗前、空港スタッフに相談する
搭乗前に、空港スタッフの人に妊娠していることを伝えておきましょう。優先搭乗や、枕やひざ掛けの貸出しといった配慮を受けられることがあります。
通路側の座席にする
通路側の座席は比較的ゆったりと過ごせます。また、トイレに行きたいときの移動もしやすく、急に具合が悪くなったときも、スタッフとのやりとりがしやすくなります。
つわり対策を準備しておく
ひどいつわりのときは搭乗しないことが一番ですが、搭乗後に急に具合が悪くなるということもあります。飛行機の中は密室になるため、外では気にならなかった臭いや、気圧の変化や揺れで気分が悪くなることもあります。マスクやハンカチ、エチケット袋などは手荷物の中から取り出して、すぐに使えるようにしておきましょう。また、食べていることで吐き気がおさまるという人は、ちょっとした食べ物を持参しておくと安心です。
ゆったりとした服装にする
座席を工夫しても、狭い空間で一定時間座っていることになります。ちょっとした締め付けが、不快に感じることもあるでしょう。できるだけリラックスできるよう、締め付けの少ない服装にしましょう。
身体が冷えないようにする
空の上は気温が低く、いくら空調が整っていても機内が冷えてしまうことがあります。身体が冷えると手足の血流だけではなく、子宮の血流も悪くなってしまう可能性があります。身体を冷やさないように、ブランケットを借りたり羽織れるものを荷物から取り出しておきましょう。
おわりに:妊娠中に飛行機に乗ってもいいが、なるべく事前に確認しよう
- 妊娠初期に飛行機に乗ってはいけないという制限はない
- ただし、妊娠初期は体調が不安定な時期なので、急に搭乗ができなくなったり、機内で具合が悪くなることも考えられる
- どうしても飛行機に乗らなければいけない場合は、搭乗前に体調については医師に確認したり、細かな規約を旅行会社、航空会社などに確認する