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食中毒の治療で抗生物質を服用することはある?自宅でできることは
2022年12月7日
食中毒の治療で抗生物質を飲むことはある?
細菌は、栄養と水さえあれば自力で増殖します。例えば、食中毒を引き起こす調理済みの食品は細菌が原因です。細菌が原因で起こる感染症は、抗生物質の投与で症状が改善することが多いです。ペニシリンなどの抗生物質は、細菌による細胞膜の形成を阻害し、細菌が育つのを抑制する効果があります。
ウイルスの場合は?
ウイルスは、タンパク質と核酸から作られる粒子で、細胞がない所では栄養や水があっても増殖できません。そのため、他の生物の細胞に寄生することで増殖します。また、ウイルスには抗生物質が全く効きません。
ワクチンは、無毒化・弱体化したウイルスを体内に投与することで免疫力を向上させ、感染後の急激なウイルス増殖を抑制する効果があり、ウイルス感染を予防できます。
ただし、食中毒の代表的な原因ウイルス「ノロウイルス」に関しては、有効なワクチンや治療薬(抗ウイルス薬)がないので、感染した場合は対症療法が基本となります。
食中毒治療のために自宅でできることは?
水分補給
食中毒の可能性があるときは、嘔吐や下痢による脱水症状を防ぐために、水分補給を行いましょう。飲み物は、冷水ではなく、常温か少し温かいものを摂るようにしましょう。
また、吐き気があって水を飲みにくいときは、スプーン1杯程度の冷ましたお湯を少しずつ飲んでみてください。
飲めそうであれば、スポーツドリンク・経口飲料水・リンゴジュースなども摂取するといいでしょう。
少しずつ食事をとる
水分補給で症状が治まってきたら、少しずつ食事をとるようにしましょう。嘔吐や下痢により体力が低下して消化器官も弱っているので、消化吸収が良く栄養価の高いものを選びましょう。おかゆ・野菜スープ・うどん・バナナなどの胃腸に負担のかからないものがおすすめです。冷たいままではなく、温めてから食べるようにしましょう。
横向きで寝かせる
高齢者や子供の場合、嘔吐物が喉に詰まってしまうことがあるので、寝かせる際には横向きにするようにしましょう。
こんな時はすぐ病院へ!
- 1日10回以上下痢が続く
- 半日以上尿が出ない、尿の量が少ない
- 意識低下
- 血便が出る
- 嘔吐が続く
- 体がふらつく
上記のような症状がある場合は、早急に医療機関を受診しましょう。
また、食中毒により、下痢・嘔吐・発熱・血便などの症状が酷い場合は、応急処置では間に合わないことがあるので、重症の場合は救急車を呼ぶようにしてください。特に、高齢者や子供の場合は、早期治療が必要になります。
食中毒治療の食事は?
水分補給に適した飲み物
- スポーツドリンク
- ミネラルウォーター
- 薄いお茶
- 湯冷まし
スポーツドリンクを過剰摂取すると、体内のイオンバランスが乱れる場合があるので、適量を心がけましょう。また、食中毒になったときは、水分補給はこまめに行うようにしましょう。
栄養補給に適した食べ物
- 柔らかいご飯
- うどん
- おかゆ
- 野菜スープ
- バナナ
- りんご
- 納豆
- 豆腐
- 芋類
- ヨーグルト
症状が少し落ち着いて、食事が摂れる状態のときは、消化吸収がよく栄養価の高いものを食べましょう。下痢や嘔吐が続いているので、胃腸に優しいものや、整腸作用のあるものがおすすめです。逆に、柑橘類・香辛料・揚げ物などの胃腸への刺激の強いものは避けましょう。
おわりに:抗生物質が効くのは細菌による食中毒のみ
食中毒の原因が細菌の場合は抗生物質が有効ですが、原因がウイルスの場合は抗生物質は効きません。自宅で療養する際は、脱水症状にならないように水分補給をこまめに行いましょう。ただし、重症の場合はすぐに医療機関を受診しましょう。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。