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パニック障害の治療薬にはどんなものがある?副作用は?
2022年6月29日
パニック障害で処方される薬は?
抗うつ薬
抗うつ薬は、脳内の電気信号のやり取りに必要な物質を調整する効果があります。特に、抗うつ薬の多くは、恐怖や不安などに関係する「セロトニン」と呼ばれる物質を調整する効果があり、パニック障害の症状改善に効果があるとされています。
脳内には、セロトニンの他にも様々な種類の神経伝達に関連する物質があるため、働きかける対象によって処方される抗うつ薬の種類も変わってきます。パニック障害に有効な抗うつ薬には以下のようなものがあります。
- 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)
- 三環系抗うつ薬
- セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)
抗不安薬
抗不安薬には主に「ベンゾジアゼピン系」と呼ばれる成分が含まれています。抗うつ薬は服用してから効果が出るまでに1カ月程度かかりますが、抗不安薬は飲んですぐに効果が出るのが特徴です。
具体的な効果としては、不安感やパニック発作の抑制効果があります。また、発作が重症な場合は、医療機関で注射タイプの薬が使用される場合があります。
パニック障害の処方薬に副作用は?
SSRI
SSRIの主な副作用として、吐き気がありますが、他の抗うつ薬の副作用の症状に多い眠気や便秘などはあまりありません。
三環系抗うつ薬
主な副作用として、便秘・口の渇き・眠気・めまいなどがあります。またその他の症状として、尿の出が悪くなる・眼圧上昇・心臓機能への影響などがあるため、以下のような疾患のある人は使用できません。
- 前立腺肥大症
- 緑内障
- 心筋梗塞の回復期
SNRI
SNRIの特徴的な副作用として、「高血圧クリーゼ(高血圧性緊急症)」「尿閉」があります。高血圧クリーゼとは、血圧が急上昇する症状で早急に下げないと危険な状態のことをいいます。尿閉とは、尿の出が悪くなる症状で、SNRIのノルアドレナリンを活発化させる作用により排尿が困難になるとされています。
抗不安薬
抗不安薬の成分である「ベンゾジアゼピン」は、睡眠を促す効果があるため、主な副作用としては眠気が挙げられます。そのため、車の運転をする人は服用する際に注意が必要になります。また、もう一つの副作用として依存性があるので、長期の服用には適していません。
妊娠中や授乳中にパニック障害の薬を併用しても大丈夫?
パニック障害で主に処方される薬として、パキシルや三環系抗うつ薬などがありますが、まれに奇形児が生まれる可能性があるので、使用を避けることが推奨されます。
近年では、胎盤を通して赤ちゃんに薬が伝わっても、基本的には後遺症のリスクが低いとされていますが、まれに赤ちゃんの筋肉に影響を及ぼしたり、離脱症状が起こることがあります。しかし、事前に服用している薬の影響について医師が確認していれば、出産後に対処できる可能性が高いので、服用している薬がある場合は医師に伝えておくようにしましょう。
また、薬の服用を続けながら母乳保育をしていく場合も、安全性の高い薬(ジェイゾロフトなど)を処方するなど、医師側はできる限り薬の影響を赤ちゃんに与えないように工夫できるので、不安なことがあれば担当医に相談してみましょう。
おわりに:自分の症状に合った薬を使用することが大切
抗うつ薬はセロトニンの働きを調整する効果があり、抗不安薬は即効性があるため突然の発作などへの使用が適しています。このように薬によって効果が違うため、症状によって使い分けることが大切です。副作用の症状が強い場合や、逆に症状が悪化してしまったときなどは、担当医に相談しましょう。