出産
2型糖尿病と妊娠・出産~リスクと注意点~
2022年6月1日
赤ちゃんに与える影響は?
2型糖尿病で妊娠した場合、赤ちゃんには次のようなリスクがあります。
- 巨大児になる(難産、誘発分娩、帝王切開のリスクが上昇します)
- 流産
- 先天性異常(特に心臓・神経系異常)
- 死産または出生後すぐに亡くなる
- 出産直後に病気が発覚する(心臓や呼吸の問題など)
- 将来、肥満や糖尿病を発症する
出産時のリスクを減らすには?
2型糖尿病による出産時のリスクを減らすには、どうすればいいでしょうか?
HbA1c検査
母体と赤ちゃん、両方のリスクを減らすためには、妊娠前に糖尿病を確実にコントロールすることが何より大切です。
妊娠希望の場合は、糖尿病専門医に相談し、HbA1c検査(血糖値を測る血液検査)をしてください。数値は6.5%以下が望ましいですが、これより高くても、血糖値のコントロール方法を医師に教えてもらえばリスクは回避できます。
HbA1cが非常に高い(10%以上)場合は、数値が下がるまで妊娠を見送るのが安心です。
赤ちゃんの先天異常を回避!
先天異常のリスクを減らすためには、特に妊娠前と妊娠8週目までに血糖値を厳密に管理する必要があります。また、葉酸を摂取すると、二分脊椎症などの先天異常の発症を防ぐこともわかっています。妊娠予定の女性は、0.4~5mgの葉酸を服用することが望ましいです。高用量の葉酸(5mg)は医師が処方できます。
妊娠中の糖尿病の治療法は?
妊娠中の場合、糖尿病の治療方法を調整することがあります(たとえば、糖尿病によって高血圧になり薬を服用しているとき、治療薬を変更するなど)。
また、妊娠中は専門医の検診を受け、血糖値や目、腎臓を頻繁に検査してください(妊娠中は目や腎臓の病気が悪化する可能性があります)。
なお、糖尿病をコントロールできるようになると、低血糖の発作を起こしやすくなることもあります。医師に対処法を尋ねるようにしてください。
妊娠中は、目の検査が大切!
妊娠中の場合、通常の糖尿病患者よりも重度の眼病のリスクが高まるため、糖尿病性網膜症の検査のスクリーニング検査を受けることが非常に大切です。糖尿病性網膜症は、早期に発見された場合には治療しやすい病気です。
出産するときに気をつけることは?
糖尿病の場合は、専門の出産チームの支援を受けて出産するのがおすすめです。
なぜかというと、糖尿病の母親から生まれた赤ちゃんは、インスリンが通常より多く分泌されることで通常よりも大きくなるので難産になる傾向があるためです。
出産後に気をつけることは?
赤ちゃんが生まれて2〜4時間後は、血糖値が低すぎないか確認するために、踵に針を刺す血液検査をします。また、赤ちゃんの血糖値を安全なレベルに保つために、生後30分以内にできるだけ早く授乳してください。血糖値を保てない場合は、血糖値を上げる点滴が与えられます。
妊娠期間が終わったら、妊娠前の服用量までインスリンを減らし、以前の薬の服用が可能になります。 なお、家に帰る前と出生後6週間の検診で、血糖値の検査も受けるようにしましょう。その際、ダイエットや運動についてアドバイスを受けるのもいいでしょう。
おわりに:事前の対策が重要
授かる赤ちゃんには、元気で生まれてほしいものですよね。糖尿病での妊娠・出産にはたくさんのリスクがありますが、事前に予防することで回避できるものもたくさんあります。ぜひ参考にしてくださいね。