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奇形腫とは ~ 赤ちゃんがお腹にいるときにできる腫瘍 ~

2021年7月13日

奇形腫とは

奇形腫(胚細胞性腫瘍の一つ)とは、赤ちゃんがお腹の中にいるときに、生殖器がつくられる過程でできる腫瘍のことで、生殖器の基となる胚細胞にできるのが特徴です。奇形腫には良性のものと悪性のものとがあり、体の組織の様々な成分が混じり合って形成されています。

奇形腫ができる部位に関しては、女児の場合は卵巣、男児の場合は精巣にできやすく、その他にも体の中心線にそってお尻の骨の部分や後腹膜、胸の奥の縦隔と呼ばれる部分などにできることもあります。

また、年齢によっても奇形種ができる部位が異なるという特徴があります。たとえば、新生児期ではお尻の骨の部分や後腹膜にできることが多く、2歳以下の男の子は精巣に、学童や思春期の女の子は卵巣や縦隔にできることが多いようです。

なお、悪性の奇形腫の場合、腹部リンパ節や肺、骨などに転移することがあり、早期に手術をして切除する必要がありますが、部位によっては完全摘出が困難な場合も少なくありません。

奇形腫の症状

卵巣に奇形腫ができた場合は、下腹部にしこりができるので気が付きやすいです。症状としては、腹痛や腹水が起こりやすくなります。また、膀胱がしこりによって圧迫されるので頻尿になりやすく、直腸もしこりで圧迫されるので便秘になることも多いです。精巣に奇形種ができた場合は、おむつを交換する時などに片側の精巣が腫れているので気が付くことが多いです。

お尻の骨にできる場合は、お尻の部分にこぶができるのでわかりやすく、腫瘍の圧迫されるため便秘やおしっこが出にくくなるなどの症状が見られます。後腹膜にできた場合もおなかが腫れたり、しこりができるので発見しやすく、縦隔にできた場合は、呼吸器症状や顔のむくみなどの症状が現れます。

お子さんの奇形腫は、特におむつを替えているときや一緒にお風呂に入っているときが、おなかのしこりや精巣のはれ、お尻のこぶなどを発見する機会となるので、注意深く観察することが大切です。また、頻尿や便秘、おしっこがでにくいなど異常を感じたら小児科を受診しましょう。

奇形腫の治療

奇形種の中でも特に悪性奇形種は、肺やリンパ節に転移しやすいので、早期発見・早期治療が重要です。奇形種が良性か悪性かということについては、悪性奇形腫の場合はα‐フェトプロテインという特殊な蛋白質が増えるという特徴があり、検査をすることですぐにわかります。

精巣などの部位に悪性の奇形種ができた場合は、転移がなく完全摘出が可能な場合には手術をして摘出します。その後は、治療はなく慎重に経過を観察していきます。しかし、他の部位に奇形種ができた場合は、完全摘出が困難な場合が多くなります。その場合はまず抗がん薬を投与して奇形種を縮小させ、その後全摘出を目指した機能温存の手術を行います。手術後も抗がん薬による治療を続けます。悪性奇形腫が早期に治療ができれば、完全治癒が期待できます。

一方、良性の奇形腫の場合は、悪性に比べると心配は少ないです。手術で完全摘出ができれば、再発することもほとんどなくなります。

おわりに:年齢によって発生しやすい箇所の異なる奇形腫。見つけたら病院で悪性かどうかの検査を

奇形腫は年齢によってできやすい場所が異なります。悪性の場合は転移する恐れがあるので、お子さんの体にしこりを発見したら、すぐに病院で詳しい検査を受けるようにしてください。

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