妊娠
妊娠糖尿病の治療方法とは?治療はいつまで続ければいい?
2021年2月24日
妊娠糖尿病の発症リスクが高いのはどんな人?
妊娠糖尿病は、妊娠中に発症し、通常は出産後に消える高血糖状態です。妊娠のどの段階でも起こる可能性がありますが、妊娠後期で起こりやすいとされています。妊娠糖尿病は妊娠中の特別な需要を満たすのに必要なインスリン(血糖値をコントロールする働きを持つホルモン)を作り出せないことで起こり、妊娠中および産後に母体と赤ちゃんに問題を引き起こす可能性があります。
しかし、もしこの病気になったとしても、十分に管理されてさえいれば問題が発生するリスクを軽減することができます。
すべての女性が妊娠中に妊娠糖尿病を発症する可能性がありますが、以下のような場合、そのリスクが高まるといわれています。
- 体格指数(BMI)が30を超えている
- 過去に4.5kg以上の赤ちゃんを産んだことがある
- 妊娠糖尿病経験者
- 両親のどちらか、または兄弟が糖尿病である
これらのいずれかが当てはまる場合は、妊娠中に妊娠糖尿病の検査を受けることをおすすめします。
妊娠糖尿病の治療方法
妊娠糖尿病は、血糖値を注意深くコントロールすることで発症リスクを減らせることは上記で説明した通りです。
治療は食事療法と運動療法から開始しますが、食生活や運動を変えても血糖値を十分に低下させることができない場合は、薬物治療(内服もしくはインスリン注射)が必要になることがあります。
食事療法
妊娠糖尿病と診断された場合、最初に行われるのは食事療法です。食事療法の基本は、適正なカロリー摂取を厳守し、野菜や和食を中心とした食生活を心がけることです。
適正カロリーは、「標準体重(kg)×30+付加量」で計算されます。付加量は妊娠16週未満では50kcal、16~28週未満では250kcal、28週以降では450kcal、授乳期では350kcalと定められています。しかし、妊娠前から肥満の人は付加量が0になるなど、その人の状況によって食事療法のやり方は異なります。かかりつけの産婦人科や管理栄養士などの指導に従って行うようにしましょう。
運動療法
妊娠中はお腹のハリがある人や子宮頸管が短い切迫流産・早産気味の人は運動を控えた方がよいとされていますが、特に異常がない場合は適度な運動であれば行うことが可能です。
妊娠糖尿病の場合も、運動をすることで血糖値を下げる効果が期待できますので医師の許可がある場合は、積極的に取り入れるようにしましょう。
おすすめは、ウォーキングなどの有酸素運動で一回30分~1時間程度の運動を週に3回程度行うとよいです。
ただし、糖尿病による網膜症や腎症などの合併症がある人は運動を行うことができない場合もあるので必ず医師の指示に従うようにして下さい。
薬物療法
食事療法や運動療法を行っても良好な血糖コントロールが得られない場合は、薬物療法が行われます。
一般的な糖尿病の薬物療法は、まず血糖値を下げる効果のある内服薬を服用し、十分な効果が見られない場合にインスリンの自己注射が行われます。しかし、血糖値を下げる内服薬は胎児に奇形などの影響を及ぼすことがあるため、胎児にとっても安全なインスリン自己注射が最初から行われます。
産褥期(出産後すぐ)の注意点。治療はいつまで続ければいい?
妊娠糖尿病は通常、出産後に自然に改善していきます。ただし、妊娠糖尿病の既往がある方には以下のリスクがあります。
- 次の妊娠で再び妊娠糖尿病を発症する
- 糖尿病を発症する可能性がある
出産後6〜13週間の間に、血糖値の状態をチェックするために血液検査を受ける必要があります。また、結果が正常であっても、その後毎年検査を受けたほうがいいでしょう。喉の渇きが増したり、ドライマウスになったりなど、以下のような高血糖の症状がみられる場合は、次の検査を待たずに医師に相談してください。
- のどの異常な渇き
- お手洗いが近くなる
- ドライマウス
- 疲労感 など
糖尿病の初期は症状が現れないことも多いです。できるだけ早く治療を開始するためにも、必ず定期的に検査を受けましょう。そして、出産後も、体重増加や肥満を防ぐために、バランスの良い食事と適度な運動を心がけてください。
おわりに:妊娠糖尿病は出産後に自然に治まる。ただし、産後も食事や運動には注意!
妊娠糖尿病を発症してもほとんどの場合、健康的な赤ちゃんを出産することができるので、不安になり過ぎる必要はないでしょう。医師のアドバイスを受け、リスクを軽減することが重要です。また、一般的には出産後に血糖値は改善しますが、妊娠糖尿病の既往歴がある人は糖尿病リスクも高くなるので、退院前と産後6週間の検査で、血糖値の検査を受け、その後の食事や運動についてもアドバイスを受けましょう。