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ビタミンDが不妊改善につながるのはなぜ?どれくらい摂ればいいの?

2019年7月11日

ビタミンDが不妊の改善に効果があるって本当?

ビタミンDは不妊の改善の効果のほか、卵胞発育障害、着床障害、免疫性の不妊症といった不妊要因にも大きく影響しているという報告もあります。
以下で、これら4つのビタミンDの効果をご紹介していきます。

40歳以上の女性では、血中ビタミンD濃度が高いほどAMH値が高い

AMH値とは、卵巣予備能ともいわれ、子宮の中の卵のストックの値を示しています。そして、より正確に言うならば、AMHが高いほど、卵巣の中で育ってくる卵子の数が多いということになります。

つまり、実際に主席卵胞として排卵される卵は結果的に1つですが、たくさんの候補の中から卵を選ぶことができるということです。もともと卵巣に卵子が多くなくてはそもそもたくさんの候補が出てこないため、卵子のストックの数としてAMHが指標とされているのです。

さて、AMHが高くなると具体的にどのような良いことがあるのかというと、体外受精で排卵誘発をしたときに採れる卵の数が多くなることがあります。また、卵子のストックが多いと、主席卵胞がきちんと育つことができます。

40歳以上でビタミンD濃度が高い人ほど、このAMH値が高いという結果が出ています。つまり、卵巣に卵の十分なストックがあり、かつ、卵が育ってくる数が多いということです。当然、採卵を始めとして体外受精で質の良い卵子を確保できる確率も上がります。

体外受精での妊娠率が上がる

ビタミンDの血中濃度は、20ng/mL未満で欠乏、20ng/mL以上30ng/mL以下で不足、30ng/mLで充足とされています。

血中ビタミンD濃度が30ng/mLよりも多い充足の人は、30ng/mL以下の不足または欠乏の人と比べると妊娠率が高いというデータが出ています。原因ははっきりとわかってはいませんが、報告によれば臨床妊娠率で1.46倍、出産率で1.33倍と明らかに高くなっています。

習慣流産のリスクが下がる

習慣性流産の人では、血中ビタミンD濃度が低いことが指摘されています。また、血中ビタミンD濃度が下がると、抗リン脂質抗体、NK抗体、抗核抗体、抗DNA抗体の値が高くなります。これらは全て不妊の原因となりうる因子です。

そのため、血中ビタミンD濃度を上げてこれらの因子を下げることが大切なのです。

PCOSを改善する

PCOSとは、多嚢胞性卵巣症候群とも呼ばれ、未熟な卵胞がたくさん育つものの排卵されずに卵巣の中に溜まってしまう症状のことです。PCOSは食生活や生活習慣との関連が深いといわれており、これらを改善することでPCOSの症状も改善が見込めます。

具体的な報告では、ビタミンDとカルシウムの投与でインスリンの抵抗値、男性ホルモン値、月経周期の乱れ、排卵などが改善されたとあります。特に、PCOSはインスリンと男性ホルモンに起因すると言われていますので、これらの値を改善することはPCOSそのものの治療にもつながるのです。

1日あたりのビタミンD摂取量ってどのくらい?

厚生労働省が定めている1日のビタミンD摂取量の目安は、5.5μg(=220IU)/日です。また、妊娠中の女性は7.0μg(=280IU)/日を目安としています。

しかし、これはあくまでも健康を維持するのに最低限必要な摂取量であり、不妊症を改善する目的で摂取する場合、実際に1日にどのくらい摂取したら良いのかは報告にばらつきがあるため、明確な基準がありません。

十分に摂取することを考えるなら、25μg(=1000IU)/日程度が良いのではないかと考えられています。これは、ビタミンD3を同量内服し続けることで、冬に減りがちなAMH値が夏と同等のレベルを保つことができ、季節による変動が抑えられたという報告があるためです。

ビタミンD欠乏は妊娠中にも悪影響があるの?

ビタミンDが欠乏すると、妊娠高血圧症候群・妊娠糖尿病・帝王切開のリスクが高まります。特に、自然分娩では母体の骨格筋や平滑筋の筋力が重要となり、多くのカルシウムが必要です。ビタミンDが不足するとカルシウムの吸収が少なくなり、これらの筋力が下がってしまうのです。

そのため、ビタミンDは妊娠が成立するまでの間だけでなく、妊娠中は継続してしっかりと摂取することが必要です。

ビタミンDが豊富な食材は?

ビタミンDの豊富な食材は、以下のようなものが挙げられます。

  • 鮭(紅鮭)…38.4μg
  • かつお…22μg
  • しらす干し…61μg
  • にしん…50μg
  • きくらげ…128.5μg

※いずれも100gあたり

ビタミンDは圧倒的に魚介類に多く含まれています。また、油と一緒に調理すると吸収を高められるため、効率的に吸収することができます。

ビタミンDがたっぷり摂れるおすすめレシピ

ビタミンDの不足を防ぐには、食事に注意してビタミンDが多く含まれた食材を積極的に摂ることが大切です。
ここではビタミンDをたっぷり摂れるレシピを3つご紹介します。

きのこの梅和え

ビタミンDが豊富に含まれるきのこは、低カロリーでヘルシー。ダイエットにもおススメの食材です。梅と和えることでこれからの暑い時期にもさっぱりいただけ、保存がきくので常備菜にも最適なレシピです。

しめじやえのき、マイタケなどのお好みのきのこは、手で一口大に割きます。耐熱容器に入れてレンジで2~3分ほど加熱してしんなりさせ、良く温めたオリーブオイルで良く炒めます。そこに叩いた梅干しを投入してよく和えれば完成です。

切り干し大根

ビタミンDは野菜には微量しか含まれていませんが、干し野菜にすることで栄養分が凝集し、含有量が大幅にアップします。ビタミンDを摂りつつも野菜も摂りたいと言う人には切り干し大根がおススメです。

切り干し大根は、ぬるま湯に浸して柔らかくなるまで戻しておきます。人参、しいたけ、油揚げなどお好みの具材を適当な大きさにカットして良く炒め、そこにだし汁・砂糖・醤油・酒などを投入して煮込み味を整えたら完成です。

ぶりのムニエル

ビタミンDは魚介類に豊富に含まれています。塩焼きなど飽きやすいメニューの魚もムニエルにすることで洋風にアレンジすることができます。

ぶりの切り身は塩を振って水気を取り、臭みを除いておきます。下処理をしたぶりの切り身の両面に片栗粉をまぶし、溶かしバターで両面がこんがり色づくまで焼き、3分ほど蒸し焼きにすれば完成です。

ビタミンDは日光浴で作られる?

ビタミンDは、日光を浴びることで皮下脂肪のコレステロールからも作られます。紫外線はシミ・シワの原因ともなりやすいため日光浴を避ける女性は多いですが、一定時間日光を浴びることはビタミンDを増やし、カルシウムの吸収を良くするために必要なことなのです。

環境省が推奨しているのは、1日あたり両手の甲に日向で15分、日陰で30分程度、日光を浴びることです。また、骨粗鬆症財団や日本ビタミン学会では、夏期は木陰で約30分、冬期は約1時間程度の日光を浴びることが必要としています。

ビタミンDの過剰摂取に気をつけて!

ビタミンDは、脂溶性ビタミンであるため、水溶性のビタミンCなどと違って余剰分を尿中に排出することができません。そのため、摂取しすぎると逆に人体に有害となってしまうことがあります。

具体的な症状としては、高カルシウム血症や肝機能障害などが起こる可能性があります。厚生労働省では、摂取の上限量を100μg/日と定めています。サプリメントを何粒も飲んでいるとすぐに上限に達してしまいますので、必ず決められた目安量・上限量を守って摂取するようにしましょう。

おわりに:ビタミンDは不妊症だけでなく、妊娠後も良い効果あり

ビタミンDは、習慣性流産、PCOS、AMHの低下など、不妊にまつわるいくつかの症状に強く関与していることがわかります。そこで、血中ビタミンD濃度が「充足」していると判断される30ng/mL以上を保つことが、不妊症の改善に効果があると考えられます。

しかし、ビタミンDは摂取しすぎると過剰症を発症する危険性があります。摂取量や目安量を守り、効果的にビタミンDを摂取しましょう!

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