妊活
不妊のホルモン検査でどんなことを調べるの?検査方法は?
2023年7月12日
不妊のホルモン検査で調べるものは?
不妊の検査は男女どちらも受けることができますが、今回は女性のホルモン検査について紹介します。
妊娠の仕組みはいくつかの段階に分かれており、成熟した卵子が卵巣から排卵されることが第一段階となります。
ホルモン検査では、卵子が成熟しているか、自力排卵が行われているかを調べます。卵子や卵胞(卵子を包む細胞の集まり)の発育と自力排卵には、ホルモンの働きが欠かせません。妊娠に必要なホルモンが正しく働いているかを知ることが、不妊治療を始めるうえでとても大切なのです。
妊娠の仕組みに影響する代表的なホルモン
- 卵胞ホルモン(エストロゲン(E2))
- 卵巣から分泌されるホルモンです。卵胞が成熟するにつれて検査のE2の値が上がり、排卵がきちんとされているかの目安となります。
- 卵胞刺激ホルモン(FSH)
- 脳下垂体から分泌されます。卵胞ホルモンの分泌を促し、卵胞の成熟に影響します。
- 黄体化ホルモン(LH)
- 卵胞ホルモンの分泌量が十分に上昇すると、脳下垂体から分泌されます。黄体化ホルモンは卵胞を刺激し、排卵を促します。
- 黄体ホルモン(プロゲステロン(P4))
- 卵巣から分泌されます。子宮内膜に働きかけ、受精卵が着床できるように準備を整えてくれます。排卵後に卵胞が黄体化すると、検査でP4の値が高くなります。
不妊のホルモン検査はどんなふうに行うの?
ホルモン検査は不妊治療の初期に行います。ホルモン検査で原因を特定することにより、具体的な治療法を検討できます。気をつけたいのが、検査の対象となるホルモンによって、検査に適した時期が決まっていることです。月経周期を軸に考え、内分泌検査(血中ホルモン検査)の実施時期を調整する必要があります。
- 黄体化ホルモン、卵胞刺激ホルモン、卵胞ホルモンの検査
- 検査時期は月経3日目前後です。採血で血中ホルモン量を調べ、卵巣機能の状態を確かめます。値が高すぎたり低すぎたりすると、排卵障害のおそれがあります。
- 黄体ホルモンの検査
- ホルモンの分泌が最もさかんになる排卵一週間後に採血を行います。黄体機能がきちんと働いているか(着床が正常に行われるか)を確かめます。
正常なホルモン検査の基準値ってどのくらい?
検査の結果、ホルモン分泌の値が高すぎる、または低すぎると妊娠の仕組みが正常に働いていない可能性があります。正常とされる分泌量の基準値は、以下のように考えられています。
- 卵胞ホルモン(エストロゲン(E2))
- 成熟した卵胞は、200~pg/mlの卵胞ホルモンを分泌します。これを下回る場合は未成熟排卵の可能性があります。月経周期により分泌量は変動するため、検査は月経3日目前後に行います。
- 卵胞刺激ホルモン(FSH)
- 正常時には、10mIU/ml以下です。値が15~20mIU/mlを超えると、卵巣の機能が低下し排卵障害を起こしている可能性があります。閉経した女性では卵胞刺激ホルモンの値が25mIU/mlを超えると考えられています。
- 黄体化ホルモン(LH)
- 正常時には、10mIU/ml以下です。10mIU/mlを超えると排卵障害が考えられます。
黄体化ホルモンと卵胞刺激ホルモンとを比較した分泌量の比率(LH/FSH比)も、大切な検査項目のひとつです。通常は LH<FSH となります。LH>FSH という結果が出た場合、「多嚢胞性卵巣症候群」など排卵障害の可能性があります。 - 黄体ホルモン(プロゲステロン(P4))
- 月経周期によって分泌量が変動します。排卵後に値は上昇し、10ng/ml以上が正常値とされます。正常値を下回る場合は「黄体機能不全」のおそれがあります。
おわりに:妊娠を司るホルモンはさまざま。検査時期も異なります
妊娠にはさまざまなホルモンの働きが影響しています。不妊治療はまず、ホルモンが正常に働いているかを調べることから始まります。検査時期は調べたいホルモンによって決まっていますので、ご自身の月経周期を把握しながら検査を受けるようにしましょう。