妊娠
子宮内膜症の主症状を解説 ~痛み、月経困難症状~
2022年1月5日
子宮内膜症になるとどんな痛みが生じるの?
子宮内膜症を発症した場合の代表的な症状の1つとして、痛みが挙げられます。
痛みの出る部位は人によってさまざまですが、痛みの程度は強いことが多く、特に生理や性交、排便時に下腹部や骨盤周辺が痛むことが多いといわれています。
特に生理時には激痛を伴うケースもあり、また生理の回数を重ねるごとに痛みの症状が重くなっていく傾向があるのも特徴と言えます。
子宮内膜症ではなぜ痛みが出るの?
子宮内膜症とは、赤ちゃんの成長に必要であり、生理によって排出される子宮内膜が、本来できるべき子宮の内側とは違う場所に発生してしまう病気です。
子宮内膜が子宮の外側、卵管、卵巣の周囲や腹膜など他の臓器・組織にできてしまうと、周りの組織と癒着を起こして、激しい痛みを引き起こすといわれています。
10代後半から30代までの妊娠・出産に適した年代の女性の発症例が多く、年齢を重ねて40~50代以上の閉経期に入ってくると、発症率が下がる傾向があります。
このように、発症者に若い世代が多いため、痛みのために日常生活や就労に支障が出て、大変な思いをするケースも多い疾患です。
重い月経は子宮内膜症のサイン?!
子宮内膜症を発症している人には、下腹部痛だけでなく、頭痛、吐き気、嘔吐、下痢や肛門痛など、総じて生理中の症状が重くなる傾向が見られます。
このため、生理のたびに上記のような症状が出る、また回を追うごとに症状が重くなっている気がするという自覚症状があるなら、子宮内膜症の初期段階かもしれません。
そのまま放置しておくと病状が進行し、生理以外のときにも下腹部痛、頭痛などの症状が治まらなくなり、子宮内膜症が重症化してしまう可能性が高くなります。
生理中に動けないほどの下腹部痛がある場合は「体質だからこんなもの」と放っておかずに、症状が重くなる前に、できるだけ早く婦人科で診察を受けてください。
子宮内膜症を放置すると不妊の原因になる?!
子宮内膜症は、はじめは子宮の外側や卵巣・卵管など、子宮周辺の組織や臓器に内膜ができて剥離し、血腫ができてほとんど自覚症状がないまま進行していきます。
その後、増殖と剥離を繰り返しながら内膜の浸食域はどんどん広がり、時間の経過とともに膀胱や直腸、小腸など骨盤内の臓器全体にまで広がっていきます。
内膜の浸食が広域になり骨盤周辺の臓器が癒着を起こすと、卵管もふさがれるようになり、卵子が通れなくなるために不妊症の一因となってしまうと考えられています。
ある報告では、子宮内膜症が不妊症原因の半分近くを占めるともいわれています。
このことからも、子宮内膜症が痛みだけでなく不妊まで引き起こす、女性にとって非常に辛い疾患であることがわかります。
おわりに:生理時の症状が重く、どんどん悪化しているなら、子宮内膜症を疑うべき
子宮内膜症は、生理時の激しい下腹部痛、頭痛、発熱、嘔吐などの辛い症状だけでなく、将来的な不妊の一因ともなる恐ろしい病気です。子宮内膜症は、できるだけ早期の段階で治療を始めることで、痛みや不妊など深刻な症状が軽減されやすくなります。疑わしい症状があるなら、すぐに病院で診察を受けてください。