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多嚢胞性卵巣症候群でも妊娠はできるの?

2021年6月11日

多嚢胞性卵巣症候群とは

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)とは、ホルモンや糖代謝の異常によって排卵が起こりにくくなる疾患です。排卵がなかなか起こらないために生理(医学的には月経というのが一般的です)不順になったり、生理が来なくなったりします。

多嚢胞性卵巣症候群の原因は明確にはわかっていませんが、いまのところは、「内分泌や糖代謝の異常によって、男性ホルモンが増加した結果引き起こされる」という説が有力です。実際、一部多嚢胞性卵巣症候群の患者さんは体毛が濃くなったり、ニキビができやすかったりするケースが少なくないのですが、これらは男性ホルモン増加の影響と考えられています。

多嚢胞性卵巣症候群は不妊の原因のひとつ

通常、女性の卵巣内には多くの卵細胞があり、基本的にはそのうちの1つが毎月成熟し、卵細胞を包む卵胞とともに排卵されます。しかし、多嚢胞性卵巣症候群の患者さんの卵巣では、ホルモン異常のためにあまりに多くの卵胞が発育することで却って卵胞の成熟が阻害され排卵が行われにくくなります。この排卵機能の低下は、生理不順などの月経異常だけでなく、不妊にもつながるものです。実際、不妊に悩んでいた方が病院で検査した結果、多嚢胞性卵巣症候群と診断されるケースも少なくありません。

妊娠は可能か?

多嚢胞性卵巣症候群の患者さんからはよく、「妊娠できますか?」という質問が寄せられます。これに関しては重症度や年齢などさまざまな条件によるところが大きいですが、適切な治療を受けることで妊娠の可能性を上げることはできます。症状が軽度かつ若い年齢の患者さんであれば自然妊娠することもありますが、一般的には専門の医療機関にて後述の治療を行っていきます。

治療にはどんなものがあるか?

妊娠の希望がある多嚢胞性卵巣症候群の方に対しては、排卵を促す排卵誘発剤が処方されるのが一般的です。排卵誘発剤で効果が得られない場合は、糖尿病薬やhMG-hCG療法(注射療法)、漢方薬の処方が行われることもあります。また、これらの薬物療法のほかにも腹腔鏡下手術で卵巣に穴をあけ、薬の反応をよくしたり排卵を促したりする治療法もあります。

なお、上記のような病院での治療と併せ、生活習慣を改善することも大切です。原因の項でも述べましたが、多嚢胞性卵巣症候群には糖代謝が関連していると考えられているため、糖分を過剰摂取していたり、肥満であったりする方は発症リスクが高い傾向にあります。健康的な食事をとり、定期的に身体を動かすといったことを心がけましょう。

おわりに:多嚢胞性卵巣症候群でも妊娠は可能。医師に相談しながら気長に治療しよう

多嚢胞性卵巣症候群は不妊につながる疾患ではありますが、専門医のもとで適切な治療を受けることで、妊娠を実現させた方も少なくありません。患者さんによっては治療に時間がかかってしまう場合もありますが、医師と連携をとりつつ、根気よく治療を続けていきましょう。

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