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尿道下裂とは ~ 早期発見・早期治療がなにより大事! ~

2019年7月19日

尿道下裂ってどんな病気?

男の赤ちゃんに起こる、尿の出口がペニス(陰茎)の先ではなく下側(陰嚢側)にできる、生まれつきの疾患です。生まれたときに診断されることが多く、約300人に1人ほどの割合で起こります。胎児期のホルモン分泌の異常など陰茎の発達過程で問題が生じ、尿の出口が亀頭の先端までとどかずその手前にできてしまいます。

軽い場合は亀頭部手前のくびれあたりに(遠位型)、高度になると陰茎のつけねや陰のうに(近位型)出口があり、陰茎は下向きにおじぎした形になります。位置によって上部型(亀頭部からくびれまで)、中部型(くびれの下から陰嚢の手前まで)、下部型(陰茎との境から陰嚢、会陰部まで)に分類されることもあります。

原因ははっきりとわかっていませんが、近年では環境ホルモンの影響も指摘され、遺伝性はありませんが父親や兄弟にも多くみられます。

尿道下裂の場合、どんな症状がみられる?

見た目の違和感にはじまり、さまざまな症状がみられます。

3歳ころまで放置すると、尿道が短く陰茎の途中に出口があるため排尿時に尿が下に飛び散ってしまい、立ったまま用を足すことが難しいことが多くあります。成人になると陰茎が曲がってしまうことも多く、まっすぐ勃起できずに性交に支障をきたす場合があります。生殖器の形態異常は他人に相談しにくいため、成長とともに精神的なコンプレックスになる可能性もあります。

合併症として、近位型では陰嚢の中に精巣が入っていない「停留精巣」、陰茎が極端に短い「矮小陰茎」などが多く、陰嚢が2つに分かれ女児にみえる「二分陰嚢」などもみられます。高度の尿道下裂がある赤ちゃんには性の発達が一般的でない性分化疾患の可能性もあるので、染色体検査や精巣機能検査を行ったほうが良いとされています。

尿道下裂の治療法

治療は主に外科手術となります。全身麻酔の安全性を考慮し1~2歳前後に行うことが一般的です。

まず曲った陰茎を矯正し、尿道を伸ばして出口をつくり亀頭と陰茎包皮をつくります。手術法は200以上あるとされますが、大きく分けると、1度ですべてを行う方法と、陰茎の曲りをなおしたあとに残りの形成手術を行う方法に分けられます。
非常に繊細な難しい手術であり、熟練した専門医による手術が必要です。精神的な影響を考えて就園、就学前には治療を完了するのが原則となっており、通常はこれで完治します。

手術後の合併症としては、尿道の途中に穴があいて漏れる、尿道が狭くなる、亀頭がもとのように分かれた形に戻ってしまうなどがあります。また、もともと男性ホルモンが少ないため思春期以降も陰茎が短いことがありますが、このような場合にはホルモン療法を行うこともあります。

おわりに:早期発見、早期治療のためにも、早めに医師に相談しよう

尿道下裂は、赤ちゃんのうちの手術で完治可能な病気です。しかし放っておくと、成長過程で形や排尿の異常が精神的な問題、合併症や感染の原因となったり、成人期には性交の障害になってしまいます。早目に小児外科や泌尿器科の医師に相談して対処しましょう。

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