子育て
セロトニンの作用と分泌量を増やす対策 ― 食事以外の対策も大切
2025年8月13日
セロトニンは、精神安定、気持ちや感情のコントロールなどに深く関わる神経伝達物質で、子どもの脳の発達や睡眠にも関係します。この記事では、セロトニンの作用と不足する原因、セロトニンを増やす対策について解説していきます。
セロトニンの作用 ― 心の安定に関わる神経伝達物質
セロトニンは、脳内の神経伝達物質のひとつで、精神安定、気持ちや感情のコントロールなどに深く関わっています。なお、驚き・恐怖などにはノルアドレナリン、快楽・喜びなどにはドーパミンなどの神経伝達物質が関わっています。
セロトニンは必須アミノ酸である「トリプトファン」からつくられ、大脳基底核(神経核の集まりで運動機能や学習などの機能を持つ)や視床下部(間脳に位置する自律神経などの調節を行う器官)などに多く存在しています。また、セロトニンには精神を安定させる作用があるため、分泌量が低下すると感情などに関する情報のコントロールがうまくいかなくなり、うつやパニック障害、睡眠障害、攻撃性が高まるなどの「精神的な症状」を引き起こす可能性があります。
また、セロトニンはメラトニンの原料になります。メラトニンは体内リズム(概日リズム)に関わるホルモンです。昼間に十分な量のセロトニンをつくっておくことで、メラトニンが夜間につくられやすくなります。
セロトニンが不足する原因について
セロトニンが不足する原因には、主に以下が挙げられます。
セロトニンの材料不足
セロトニンは、必須アミノ酸「トリプトファン」が材料になります。トリプトファンは体内でつくり出すことができないため、合成に必要なビタミンB6と一緒に食事で摂る必要があります。トリプトファンは、乳製品や豆製品などに多く含まれ、ビタミンB6はカツオやマグロの赤身、鶏や牛、豚のレバー、また小麦胚芽や玄米などに豊富に含まれています。栄養バランスが乱れた食生活が続いてトリプトファンやビタミンB6の摂取量が少なくなると、セロトニンが不足しやすくなります。
屋外での活動や運動不足
セロトニンは、日光を浴びたり、適度に体を動かしたりすることで分泌が促されます。昼夜逆転の生活をしている人、ほとんど外出せず室内でばかり過ごしている人、日常的に運動する習慣がない人などは、セロトニンの分泌量が低下しやすいといわれています。
セロトニンの分泌量を増やす対策
セロトニンを増やすためには、材料となるトリプトファンを摂ることが大切です。トリプトファンは、以下の食品に含まれていますので、塩分・脂質・糖質の摂り過ぎに気をつけながら、積極的に摂るようにしましょう。また、日光浴や適度な運動、人とのコミュニケーションなども、セロトニンの分泌を促すことに役立ちます。
- トリプトファンが豊富な食品の例
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- 大豆製品(豆腐、納豆、油揚げ、味噌、醤油 など)
- 乳製品(牛乳、ヨーグルト、チーズ など)
- 魚類(カツオ、マグロ、サケ など)
- 肉類(豚肉や牛肉などの赤身肉、ささみ、鶏レバー など)
- 卵
- 穀類(玄米、米パスタ、そば など)
- イモ類
- バナナ、アボカド
- ナッツ類、ごま
おわりに:食事でトリプトファンを摂って、セロトニン不足にならないようにしよう
セロトニンは体内でつくり出すことができないため、材料になるトリプトファンを食事で摂る必要があります。トリプトファンが乳製品や大豆製品などを積極的に摂取し、セロトニンの分泌を促すために日光浴や適度な運動を習慣化しましょう。ただし、トリプトファンは食品に豊富に含まれるため、サプリメントの過剰摂取には注意が必要です。サプリメントはあくまでも食事の補助として使うようにし、用量・用法は必ず守って使用しましょう。