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ウイルス性髄膜炎と細菌性髄膜の違いについて

2025年5月21日

感染性の髄膜炎にはウイルスが原因のものと細菌が原因のものがあります。また、髄膜炎は子どもがかかることが多いですが、大人もかかることもあります。この記事では、ウイルス性髄膜炎と細菌性髄膜炎の違いについて、年齢による違いもふくめて解説していきます。

ウイルス性髄膜炎と細菌性髄膜炎

髄膜炎とは髄膜(脳と脊髄を保護する膜)に炎症が起こる病気であり、感染症や自己免疫疾患など、様々な原因があります。感染症による髄膜炎の種類には、ウイルス性髄膜炎と細菌性髄膜炎があります。

ウイルス性髄膜炎

ウイルス性髄膜炎は比較的軽症ですむことが多く、深刻な状況に陥ることが少ないといわれています。 インフルエンザのような症状が現れますが、治療を必要としない場合もあります。

主な原因ウイルス

ウイルス性髄膜炎は、主に非ポリオエンテロウイルスというウイルス群によって引き起こされます。 これらのウイルスは、特に晩秋に発生しますが、 感染したすべての人が髄膜炎を発症するわけではありません。

細菌性髄膜炎

細菌性髄膜炎は内科的な緊急疾患であり、適切な治療が行われないと深刻な状態に陥る可能性があります。 多くの場合は肺炎球菌やインフルエンザ菌など、肺炎、および、咽頭・咽喉の感染症にみられるものと同じ細菌によって引き起こされます。 そのうちのいくつかはワクチンで発症率を下げることができます。

主な原因菌

細菌性髄膜炎には様々な原因がありますが、大人の場合は肺炎球菌やインフルエンザ菌などが主な原因菌になります。新生児の場合は、B群レンサ球菌・大腸菌・黄色ブドウ球菌・リステリア菌などが原因菌となることが多いといわれています。

症状の特徴

ウイルス性・細菌性・年齢による髄膜炎の症状の特徴は以下の通りです。

ウイルス性髄膜炎の症状

ウイルス性髄膜炎では、発熱・頭痛・吐き気・おう吐が主な症状として現れます。原因ウイルスや発症した人の状態によって症状は変わりますが、発熱は38度以上の高熱になることが多く、頭蓋内の病変に関与する症状や腹痛・下痢などが現れることもあります。一般的には経過は良好で、多くの場合は1週間程度で重大な後遺症を残さずに回復するといわれています。

細菌性髄膜炎の症状

細菌性髄膜炎では、ウイルス性髄膜炎と同様に発熱・頭痛・吐き気・おう吐などが現れますが、重症になることが多く、けいれん・意識障害・脳障害ような深刻な状態を引き起こし、命に危険が及ぶこともあります。また、呼吸器感染症・中耳炎・副鼻腔炎など、頭部に近い部位の炎症が発症前に起こることが多く、これらの細菌感染が髄液へ広がり、髄膜炎を生じることが多いといわれています。

年齢による違い

全ての年代の人が髄膜炎を発症する可能性がありますが、一歳未満の乳児とそれ以上の人では症状の現れ方が異なります。

1歳未満の乳児の場合には、機嫌の悪さ・むずがりがある一方、うとうとしている時間が長くなり、母乳やミルクの摂取量が減少します。また、40度以上の高熱やおう吐が現れ、細菌性髄膜炎ではけいれん発作が見られることもあります。また、身体的な特徴としては、脳圧の上昇によって大泉門の膨隆(大泉門:ひたいの上にある骨のつぎ目。赤ちゃんはまだやわらかくペコペコしている)が挙げられます。

それ以上の年齢の幼児・子ども・成人では、発熱・頭痛・おう吐が主要な症状として現れ、首が硬く動きにくくなるのが特徴です。乳児の症状と比較すると発熱の程度は軽いことが多く、けいれん発作や意識障害などの神経症状は見られないことが多いです。
しかし、症状の現れ方は人によって異なるため、特に小児の場合には発熱などの症状が3日以上続いた場合には早めに病院を受診するようにしましょう。

感染性の髄膜炎の治療内容

一般的に、感染性の髄膜炎を発症したときは以下の治療が行われます。

ウイルス性髄膜炎

軽度なウイルス性髄膜炎であれば、十分に水分をとって自宅で安静にするよう指示される場合もあります。重症と判断された場合は、帰宅するのに十分な健康状態になるまで、あるいは細菌性髄膜炎の可能性を考慮して入院が必要になることもあります(即座にこれらを区別することが難しい場合があります)。なお、ウイルス性髄膜炎にはワクチンがありません。食べ物・飲み物・食器・ストロー・タオルなどを他の子どもと共有しないようにし、こまめに手洗い・除菌を行い、感染を防ぐことが大切です。

細菌性髄膜炎

細菌性髄膜炎の治療では、迅速な対処が必要になります。基本的には、原因菌を特定したうえで適した抗菌剤の投与が行われ、必要に応じて点滴での水分補給も施されます。ただし、急速に進行する可能性があるため、原因菌の特定を待たずに経験的治療が開始されることもあります。なお、子どもの細菌性髄膜炎を予防するためには、ヒブワクチン・小児用肺炎球菌ワクチンの予防接種を受けることが推奨されています。

おわりに:重症化する髄膜炎もあるので、気になる症状がある場合は早めの受診を

特別な治療をしなくても回復する髄膜炎もありますが、細菌性髄膜炎のように重症化しやすい髄膜炎もあります。症状だけで種類を区別するのは難しいため、気になる症状があるときは早めに医療機関を受診するようにしてください。発症した場合は、こまめな掃除・除菌を心がけ、食事・食器・タオルなどの共有を控えて感染が広がることを予防しましょう。

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