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胃腸が痛い、さらに下痢や吐き気、熱が…胃腸の不調の原因を、症状ごとに解説
2025年10月29日
「なんだか胃腸が痛いかも」とお腹をさすることはよくありますよね。しかし、なんとなく「痛みの原因は胃だろう」と思っていたものの、実は別の臓器に異常が発生している場合もありえます。この記事では、胃腸の調子が悪いときに疑われる病気を紹介します。
胃腸が痛い原因は?
消化管とは食道、胃、腸など飲食物を消化・吸収するための臓器です。ひとつひとつの臓器の働きが関連しあい、体は栄養素を正常に吸収しています。消化管に異常が発生したときにみられる症状は、のどの痛みや違和感、げっぷ、胃や胸の痛み、胃もたれ、膨満感、嘔吐、便秘、下痢などさまざまです。
どの臓器に異常が発生しているか、何が原因で症状を引き起こしているかを自分で判断するのは難しいといえます。適切な処置を受けるためには、病院に行って痛みを感じる場所や症状が発生した時期、頻度、痛みの強さなどを医師にしっかりと伝えることが必要です。
次の項目では、痛みが発生する場所ごとに疑われる病気を説明します。痛みの種類を知ることで、いざというときに自分で症状を説明できるようにしておきましょう。
胃のあたりが痛い場合
胃のあたり、いわゆるみぞおちとは、腹部の上方の中央部分にあるくぼみです。みぞおちの周囲には、胃、十二指腸、胆のう、膵臓が集まっています。心臓に異常が発生した際にみぞおちが痛むことがありますが、心臓が正常である場合はそのほかの臓器に原因があると考えられます。
- 急激な痛み
- 胆石症、急性膵炎など
- 徐々に強くなる痛み
- 胃潰瘍、十二指腸潰瘍、急性胃炎など
- 食後の痛み
- 胃潰瘍、機能性ディスペプシア
- 空腹時の痛み
- 十二指腸潰瘍
腸のあたり(お腹の真ん中)が痛い場合
腸の周辺には小腸、大腸、腎臓が位置しており、細菌の感染による急性腸炎を原因として症状があらわれやすい部位です。そのほか腎臓や尿路が病気にかかると、お腹の真ん中あたりに痛みがあらわれることがあります。
下腹部が痛い場合
下腹部には、大腸、子宮、卵巣、膀胱などが集まっています。急性腸炎(細菌感染によって起きる腸の炎症)、右下腹部に痛みがあらわれる虫垂炎(盲腸炎)、下痢や便秘を繰り返す過敏性腸症候群、子宮や卵巣の疾患、膀胱の疾患などが下腹部の痛みの原因として考えられます。
消化器内科、泌尿器科など診察をどこで受ければ迷ってしまいますが、まずは内科か、かかりつけの医師に診てもらうとよいでしょう。
胃腸全体が痛い場合
腹部が全体的に痛む場合は重症の病気が疑われます。命に関わることもありますので、すぐに病院を受診してください。診察の際には、痛みがどこから始まったかを伝えると原因の特定がしやすくなります。
腹部全体の痛みを招く病気と症状
- 胃潰瘍、十二指腸潰瘍
- 穿穴(消化器の壁の穴)が開いている
- 腹膜炎
- 腹部の臓器を包む胸膜が炎症を起こしている
- 腸閉塞
- 腸がつまっている
食事の後、胃腸の痛みだけでなく下痢や吐き気、発熱が起きた場合
胃腸の不調は「食中毒」によって引き起こされるケースが多くみられます。食中毒とは「感染性腸炎」の一種で、主な原因は体に害を与える細菌またはウイルスに汚染された食べ物や飲み物を口にすることです。乳幼児と高齢者など免疫力が低い人が罹りやすいといえます。食後に腹痛、下痢、嘔吐、発熱、血便などがみられたら食中毒の可能性があります。食中毒を引き起こす代表的な細菌やウイルスと、その症状を紹介します。
- サルモネラ
- ヒトや家畜を介して感染します。鶏卵や肉を使用した食品に注意しましょう。症状は悪寒、嘔吐、腹痛、発熱などです。
- 腸炎ビブリオ
- 海産性の魚介類などに潜伏します。魚介類、魚介類の加工品、二次汚染された食品に気をつけてください。吐き気や嘔吐、腹痛、下痢があらわれます。
- 病原性大腸菌
- 牛の腸管が主な潜伏場所で、糞便に汚染された食肉や加工品、水を感染経路とします。O157は病原性大腸菌の一種です。発熱、吐き気や嘔吐、激しい腹痛、水っぽい下痢、血便があらわれます。
- 黄色ブドウ球菌
- ヒトや動物の傷口、のど、鼻腔内などに潜伏します。調理する人の手、汚染された手作りの食品から感染します。激しい吐き気や嘔吐、下痢、腹痛などが発生します。おにぎりなど。
- カンピロバクター
- 豚、牛、鶏の腸内に潜伏し、食肉や加工品、牛乳などから感染します。発熱、頭痛、下痢、腹痛がみられます。鳥刺しなど。
- ボツリヌス菌
- 河川、海岸、沼地、土壌に分布しています。低酸素状態の長期間保存食(缶詰、瓶詰、パック、ハムやソーセージ)が感染源です。誤った保管方法が原因となるケースもあります。吐き気や嘔吐、めまい、頭痛、物が二重に見える、瞳孔拡大などを症状とします。乳児は蜂蜜に注意しましょう。
- セレウス菌
- 河川や土中など自然界に分布しています。米や小麦などの農産物を原料とする食品から感染します。激しい吐き気や嘔吐、下痢、腹痛などがみられます。チャーハンの食中毒など。
- ノロウイルス
- ヒトの腸管内や貝類に潜伏します。カキなどの貝類、二次汚染された食品、ヒトの分泌物などから感染します。吐き気や嘔吐、腹痛、発熱、頭痛、筋肉痛がみられます。
- ロタウイルス
- ヒトの腸管に潜伏します。感染力が強く、便や手洗いしたあとの手を感染経路とします。嘔吐、水っぽい下痢、発熱、腹痛がみられます。
食中毒は夏と冬に要注意!
食中毒への感染は特に夏と冬に多く発生します。
- 夏に多い感染性胃腸炎
- 生食または加熱不十分な食品や水に付着した細菌が感染源となります。水っぽい下痢、激しい腹痛、血便がみられます。「溶血性尿毒症症候群」を発症すると、尿が出ない、むくみ、意識障害などの症状があらわれます。
- 冬に多い感染性胃腸炎
- ウイルス性の炎症と二枚貝の生食などが主な原因です。吐き気や嘔吐、腹痛、下痢、軽度の発熱がみられたら食中毒の可能性があります。
ストレスがあり、胃腸の痛みや下痢が出た場合
胃腸などの臓器には異常がないのに、腹痛や便秘、下痢を繰り返す場合はストレスを原因とする「過敏性腸症候群」を発症しているかもしれません。臓器の働きは、脳の視床下部から出された命令が自律神経に伝わることで正常に行われます。ところがストレスは視床下部に影響を与え、臓器の働きを乱しますので、ストレスが胃腸に不調を引き起こすことがありえます。
おわりに:胃腸に起きる不調の原因はさまざま。まずは症状を正しく把握しましょう
胃腸のあたりに起こる不調は珍しくはないように思えますが、原因の見極めは簡単ではありません。原因を正しく特定することで、症状の改善がしやすくなります。胃腸について理解し、気になる症状に正しく対応できるようにしておきましょう。