子育て
お茶やコーヒー、牛乳で薬を飲んじゃいけないのはどうして?
2024年10月30日
手元にお茶やコーヒーしかないとき、これで薬を飲んでもいい?
お茶やコーヒーにはカフェインが含まれているため、飲み薬と一緒に飲まないでください。なぜなら、服用する薬によっては、以下のようなトラブルが現れてしまうからです。
咳止め
テオフィリンやアミノフィリンの作用が増強し、不眠・ふるえ・吐き気などが生じる
風邪薬
麻黄やエフェドリンの作用が増強し、不眠・不整脈・情動障害などが生じる
抗うつ剤
フルボキサミンマレインが代謝を抑制し、不眠やイライラなどが生じる
解熱鎮痛剤
血中濃度が上昇してしまい、鎮痛効果や出血傾向が強くなる
このように、カフェインによって薬の作用が強く出てしまう場合があるため、予期せぬ健康被害が生じてしまう恐れがあります。そのため、薬を飲む際はお茶やコーヒーなど、カフェインを含む飲み物は避けてください。また、薬を服用する前にカフェインを含む飲み物を飲んだ場合は、飲み終えてから30分以上時間を空けて薬を飲んでください。
牛乳で薬を飲んではいけないのはどうして?
牛乳にはカルシウムが豊富に含まれているため、飲み薬と一緒に飲まないようにしてください。牛乳で飲み薬を飲むと、以下のようなトラブルが現れる恐れがあります。
便秘薬
胃の中でコーティングが溶けてしまい、胃内に有効成分が溶け出してしまう
抗生物質
カルシウムと結合することでキレートを形成し、薬の吸収や作用が低下する
抗真菌薬
薬の成分の吸収が促進されることで、強く作用が現れてしまう
骨粗しょう症薬
薬の効果を弱めたり、高カルシウム血症などの副作用を起こしたりする
このようにカルシウムは薬との相互作用を起こしやすく、それによって薬の吸収が阻害されたり、成分が増強したり、副作用が起きたりするリスクがあります。そのため、薬と牛乳を一緒に飲まないようにしましょう。また、薬を服用したら2~3時間程度は牛乳を控えましょう。
そのほか、薬と一緒に飲んじゃいけない飲み物は?
お茶やコーヒー、牛乳の他にも、薬と一緒に飲むのを避けるべき飲み物があります。たとえば、アルコール、グレープフルーツジュース、スポーツ飲料、ミネラルウォーターなどです。これらは薬との相互作用が確認されているので、薬と一緒に飲むのは控えましょう。
アルコールと薬の相互作用
アルコールは多くの薬に影響し、さまざまな問題を起こします。とくに、睡眠鎮静剤や抗アレルギー薬は危険で、場合によっては意識障害や昏睡状態などを起こす危険性があります。そのほか、呼吸障害、心停止、頭痛、おう吐、顔面紅潮、起立性低血圧、失神などを起こす恐れもあります。絶対にアルコールと薬を一緒に飲まないようにしましょう。
グレープフルーツジュースと薬の相互作用
グレープフルーツの果肉にはフラノクマリンという成分が含まれており、これが小腸での薬の代謝を阻害する働きがあります。その結果、薬物の血中濃度が高くなってしまい、低血圧、頭痛、めまいなどの症状が現れます。降圧薬(カルシウム拮抗薬)、脂質異常症治療薬、睡眠鎮静剤、抗てんかん薬などを使用する場合は注意してください。
スポーツ飲料と薬の相互作用
スポーツ飲料にはカルシウムなどが含まれており、これが薬の効果に影響する危険性があります。脱水症予防のためにスポーツ飲料を飲むのは良いですが、抗生物質などを服用するときは水で飲みましょう。また、薬を服用してから2時間程度はスポーツ飲料を控えてください。
ミネラルウォーターと薬の相互作用
ミネラルウォーターの中でも、硬度が高い水はカルシウムやマグネシウムなどが多く含まれています。そのため、骨粗しょう症薬などの効果を阻害する危険性があります。基本的に国産のミネラルウォーターなら心配ありませんが、海外のものには気をつけてください。
薬はお水かお白湯で飲もう!
飲み物にはたくさん種類がありますが、基本的に飲み薬を服用する際はコップ1杯程度(180~200cc)の水またはお白湯で飲みましょう。水やお白湯であれば、今まで説明したような相互作用の心配がありませんし、想定された通りの薬の効果を得ることができます。安全に薬を使用するためにも、水やお白湯で薬を飲むようにしてください。
おわりに:薬が飲みにくいなら、薬剤師などに相談を!
飲み薬は基本的に水または白湯で飲むことを前提に作られているので、水または白湯で飲むようにしてください。なお、「飲みにくい」という理由でジュースやスポーツ飲料にしているなら、一度、薬剤師や登録販売者などに相談しましょう。場合によっては飲み方に関するアドバイスをもらえるかもしれません。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。