子育て
思春期に身近な人との死別を経験したら
2024年10月16日
思春期にとっての死別とは
思春期は心がゆらぎやすい時期でもあります。このため、この時期に身近な方が亡くなるのを経験することは、想像を絶するほどつらいものです。また、この時期は、周囲の友人の中に似たような経験をした人がほとんどいないこともあり、身近な人を失ったつらさを理解されない、あるいは声をかけてもらえなかったりで、とてつもない寂しさに襲われるかもしれません。
死別の乗り越え方
嘆き悲しむことは、死別から立ち直る際の自然な行動です。その形はさまざまで、どんなことをどれだけの間感じるべき、といった決まりはありません。ただ、一般的には以下のような感情が出ることが多いと言われています。
- 悲しみ
- 衝撃(特に死が予期せぬものであった場合)
- 罪悪感や後悔
- 怒り
- 心配
- 絶望や無力感
- 鬱
このような感情は、死別から間もない時期は特に激しいかもしれません。ただ、最終的には時間がこれらの感情を静め、忘れさせてくれます。そのとき、気分が回復していくことに対して罪悪感を覚える必要はありません。それは決して、亡くなった人の記憶を薄れたり、忘れたりするわけではないからです。
また、自分の健康状態について誰かと言葉を交わすことは、つらい時期を乗り越える上で役立ちます。「悲しい」という感情を誰かに打ち明けることは、死別を乗り越える上で重要です。家族、友だち、教師、医師など、誰に話すかを決めるのは難しいことかもしれませんが、予想外の相手からもらった言葉で立ち直るきっかけをつかむこともありますので、あまり悩まずに話してみるのがよいこともあります。
また、下記の 場合は、カウンセリングを受けるのがおすすめです。
- 感情の整理がつかない
- うつの可能性がある
- 食欲や睡眠欲が異常である
- 自殺願望がある
- 数カ月経っても気分が回復しない
また、学校で勉学に打ち込めない場合は、学校の先生にそのことを打ち明けて、心の負担を軽くしてもらいましょう。
自分の体調に気を配ることも大切
悲しい気持ちでいっぱいになっているとき、自分の体調をケアをする気など起きないかもしれません。ですが、死別からくる感情とうまくつきあっていくことはとても大切です。
食事
食欲がないかもしれませんが、普段どおりに食べることが大切です。お子さんの食が細くなっていないか気にかけてください。食欲がないと感じていても、体は食べ物を必要としています。特に成長期の子どもには栄養バランスの整った食事が欠かせません。
睡眠
心が動揺しているときは、眠れなくなるものです。不眠症対策についての情報をチェックしてみましょう。
友達と会う
友達に会い、いつもどおりの社会生活を続けていくことは思考をリフレッシュさせてくれますし、自分の近況を伝えることもできます。また、失った人のことを考えない時間ができたり、友達と笑いながら楽しく過ごすことができるようになっても、罪悪感を抱く必要はありません。明るさを取り戻している子どもに対して、責めるような言葉を言わないようにしましょう。
運動する
定期的な運動は気分をよくするとともに、よい睡眠をもたらしてくれます。感情的な時期を経ているので、身体的なことに集中してみることは息抜きになるかもしれません。ただし、寝る前の時間帯の激しい運動は控えましょう。
喫煙、飲酒、薬物などに逃げない
心が落ち込んでいるときは、喫煙や飲酒に走る衝動に駆られるかもしれません。ですがニコチンやアルコール、違法な薬物を摂取すると体への負担が大きくなります。特に若い体ではなおさらであり、気分が更に悪化し、体にも悪影響をもたらす結果になりかねません。思春期のお子さんが誘惑に負けないように、見守りながらサポートしましょう。
おわりに:自分の心とからだを大事にすることが大切です
大切な人を失ったとしても、自分の人生が終わるわけではないはず。悲しみや苦しさを乗り越えるためには、気落ちを回復させ、健康な生活を送ることが大切です。特に思春期というゆらぎやすい時期にある子どもには、周囲のサポートや見守ることが必要になるでしょう。