子育て
なんとなくだるい、気分が重い…。これってもしかして9月病?
2024年9月18日
9月病ってどんな状態?原因は?
「9月病」とは、もともとは欧米を中心に起こっていた不調のことで、名前のとおり9月頃に起こる不調のことです。欧米では夏前に年度が終わり、夏期の長いバケーションを挟んで9月から新学年・新年度がスタートします。休み明けになると、日本の5月病のような症状が現れ、うまく仕事や学校に復帰できない人が増えるようです。
日本の学校教育は、明治以降に欧米の学校制度を規範にして始まったものです。日本の学校でも7月中旬から8月いっぱいの「長めの夏休み」をとる地域が多いですよね。社会人でも、お盆休みとして1週間程度の夏休みをとることは少なくないでしょう。
夏休み中の遊びやイベントごとに力を注ぎすぎで疲れ切ってしまったり、猛暑で体力を消耗したりする人は非常に多いようです。
日本でも、このような夏休み中の疲労や、休み明けの環境の変化についていけないことで、9月に仕事や学校が始まると心身の調子を崩し、体がだるい、気分が重いといった症状が出てしまう人が増えているといわれています。
2020年にコロナ禍の影響で外出の機会は減りましたが、お家時間の充実などもあり、この傾向は大きく変わらないようです。
気候の変化が原因の9月病もある
9月は季節の変わり目でもあります。7月や8月に比べて日照時間が短くなり、突然気温が下がったり、台風が多くなったりといった「急激な気候の変化」が、心身に影響を与え、心身の症状を引き起こすこともあります。
朝晩の冷え込みが始まる9月の後半からは、うつ症状や気分の波が激しくなるなど、精神的な不調がとくに悪化しやすく、精神科の医師も用心し始める時期ともいわれています。
うつ病に関係すると考えられているセロトニンや、睡眠に関係しているメラトニンなどのホルモンは、太陽の光を浴びると分泌量が変化するので、日照時間が明らかに減ってくるこの時期はこれらのホルモンが必要量分泌されず、情緒や睡眠のリズムが崩れやすくなります。
つまり、9月は、単に夏休み中の疲れが溜まり、仕事や学校が始まるストレスを感じやすい時期というだけでなく、脳機能としても抑うつ的な状態になりやすい時期ということです。夏休み中の遊びをほどほどにすることはもちろんですが、9月に入って仕事や学校が始まってからも、9月病対策が大切になってきます。
9月病の代表的な症状は?
9月病を発症する仕組みは5月病と似ているため、心身に現れる症状も5月病と似ています。具体的には、以下のような精神的な症状と身体的な症状が現れます。
- 無気力
- 疲労感
- 不安感
- 焦り
- 落ち込み
- イライラ
- 不眠
- 過眠
- 頭痛
- めまい
- 肩こり
- 食欲不振
- 動悸
9月病で現れやすいとされる症状は、「不眠や過眠などの睡眠障害」です。それまで何も問題がなかったのに、急に睡眠リズムが崩れた、寝つけなくなった、朝早く目が覚めてしまうなどの症状があるときは注意しましょう。寝不足やリズムの崩れが長引くようであれば、念のため医師に相談することをおすすめします。
9月病を乗り切るにはどうすればいい?
9月病を乗り切るためには、以下のポイントに気をつけながら、規則正しい生活を送ることが大切です。
規則正しい睡眠をたっぷりとるように心がける
- 睡眠障害が多い9月病では難しいが、夜ふかししないように気をつけるだけでもよい
- 寝る前に明るい光(スマホなど)を見ないようにする
- できるだけ、6~7時間の睡眠時間を確保する
栄養バランスのよい食事を3食きちんととる
- 栄養バランスを整えることで、心身の不調が回復しやすくなる
- 1日3食規則正しく食べることで、体内リズムが整いやすくなる
- 内臓も疲れているため、消化のよいものにする
トリプトファンを含む食品を積極的に摂取する
- トリプトファンはセロトニンやメラトニンの材料になる
- 必須アミノ酸のため体内で合成できないので、食事などできちんと摂る必要がある
- 肉・魚・大豆・豆製品・バナナ・アボカドなどを意識的に摂取することがおすすめ
体を冷やさない
- ネギ・しょうがなど体を温める食品を摂る
- 冷たい飲み物より温かい飲み物を選ぶ
- 水分補給は大切だが、冷たい水を飲みすぎないように注意
適度に体を動かす
- ウォーキングなどの有酸素運動がおすすめ
- こまめにストレッチをすることも効果的
- 仕事や日常生活の合間に、体を動かす機会を作るように工夫する
- だるいからと体を動かさずにいることも、あまりよくない
9月病は睡眠障害の症状が多いため、「規則正しい睡眠」はなかなか難しい課題ですが、夜更かしせず意識的に早めに布団に入る、寝る直前にはパソコンやスマートフォンを使わない、などの工夫でも睡眠に入りやすくなります。6~7時間の睡眠を、毎日同じ時間にとれるようにしましょう。
食生活では、消化が良く、栄養バランスが整った食事を3食きちんと食べる「規則正しい健康的な食生活」を送ることが大切です。また、暑い夏の名残でなにかと冷たい飲み物を摂りたくなりますが、内臓を冷やしすぎると血流が悪くなり、自律神経の不調や冷え性を引き起こす可能性があるので注意してください。
体がだるいからと体を動かさない状態が続くと、血流が悪くなることで9月病の症状が悪化する場合があります。デスクワークの合間にストレッチをする、エレベーターやエスカレーターではなく階段を使うようにするなど、ちょっとした工夫で運動量を増やしましょう。
また、だるさが抜けないときは、昼休みにデスクで10~15分程度の仮眠をとるのもおすすめです。ただし、30分以上眠ってしまうと逆効果になります。きちんと目覚められるように、アラームをセットしておきましょう。
おわりに:9月病対策は睡眠・食事・運動が大切。冷え対策も忘れずに
9月病は、5月病と同じように、長い休みのあとに仕事や学校が始まったことによる「環境が大きな変化」が原因です。ストレスや変化に体がついていけず、心身の不調が出てしまった状態のことを言います。また、9月特有の気候の変化も、9月病の原因になります。
9月病を予防するには、「規則正しい十分な睡眠」「規則正しい栄養バランスが整った食事」「冷えの防止」「運動の習慣化」が大切です。9月病は睡眠障害が起こりやすいので、睡眠へのケアがとくに大切になってきます。夜ふかしをしない、睡眠時間を確保する、トリプトファンを摂取することを達成できるようにするために、毎日の生活を見直してください。