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レジオネラ菌が増殖しやすい環境と感染したときの症状 ― 予防のためにできる対策とは?
2024年6月19日
レジオネラ菌が増えやすい環境と感染経路
レジオネラ菌とは、河川敷や土手、森林地帯など、自然界に生息するカビの一種です。レジオネラ菌にはいくつか種類があり、それらを総称して「レジオネラ属菌」と言います。
自然界では、レジオネラ菌だけが大量に増えることはありません。しかし下記の2つの条件を満たすと、爆発的に増殖することがあります。この2つの条件を満たしやすいのが、循環式浴槽や加湿器、建物に設置されている冷却塔などです。レジオネラ菌はこれらの人工的な環境において増殖しやすく、不衛生な状態が重なるとさらに増殖しやすくなります。
1.近くに土壌か水があるところ
レジオネラ菌は元々自然界に存在するカビなので、土や水から養分を受け取ることができれば、その場所で生き続けることができます
2.温度・湿度(温度30℃以上、湿度50%以上)
一般的にカビは、温度が30℃以上かつ湿度50%以上の高温多湿の環境を好みます。レジオネラ属菌は20〜50℃の温度範囲で繁殖するとされ、36℃前後の温度で最も繁殖しやすいといわれています
レジオネラ菌の感染経路
レジオネラ菌は、レジオネラ属菌を含んだエアロゾル(細かい水滴)を、口から吸い込むことで感染します。プールや噴水、貯水槽などの1つの感染源から複数の人に感染が拡大していくことはありますが、人から人へと伝染することはないと考えられています。
レジオネラ菌に感染したときの症状
エアロゾルを吸い込んだ後、レジオネラ菌は肺に付着し、体温と血液の水分を媒介に10日ほどかけて繁殖します。そして一定量のレジオネラ菌が増えた段階で、肺の中で特殊な酵素を出し、徐々に肺の組織を攻撃していきます。この段階に入ると脳が危険を察知して抗体を出し、諸症状が出るようになります。
症状の種類には、「ポンティアック熱」と「レジオネラ肺炎」の2種類があります。
ポンティアック熱
頭痛や発熱、筋肉痛などが主症状で、基本的には軽症ですむ
レジオネラ肺炎
39℃以上の高熱や吐き気、呼吸困難、意識障害などが主症状。重篤化しやすく死亡例もあるため、乳幼児や高齢者など抵抗力の弱い人は特に注意が必要
レジオネラ菌に感染したときの治療法
レジオネラ菌に感染した場合は、ニューキノロン系やマクロライド系の抗生物質による薬物療法が行われます。また、肺炎を引き起こして呼吸状態が悪化したり脱水を引き起こしている場合には、酸素吸入や補液療法などの対症療法が並行して行われます。
多くは適正な抗生物質を投与すれば軽快しますが、治療開始が遅れた場合や重症化しやすい基礎疾患がある場合には死亡に至ることもあります。
レジオネラ菌の繁殖を防ぐための対策
先述の通り、レジオネラ菌の高温多湿を好んで生息・繁殖します。エアコンの室外機は排水をしっかりと行い、排水ポンプと周辺を掃除してきれいにすることで繁殖を抑えましょう。
そして一番の感染経路ともいわれる浴槽においては、専用の消毒剤を使い、浴槽内とシャワーヘッドを洗浄・乾燥させることが予防につながります。なお、外の配管からお湯を供給するタイプであれば、配管の汚れを除去する洗浄剤を使い、配管の中もきれいにすることが大切です。
おわりに:加湿器や浴槽などは定期的に掃除し、レジオネラ菌への感染を防ごう
レジオネラ菌に感染すると、肺炎を引き起こし重症化することもあります。加湿器や浴槽、エアコンの室外機など、高温多湿なところでレジオネラ菌は繁殖しやすいことがわかっています。定期的に洗浄を行い、感染を未然に防ぎましょう。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。