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小児がんのひとつ、横紋筋肉腫ってどんな病気?

2024年5月8日

横紋筋肉腫ってどんな病気?

筋肉は大きく「横紋筋」と「平滑筋」に分けられ、横紋筋は筋線維が集まって構成された横縞の模様がみられる筋肉です。横紋筋は、自分の意思で体を動かすときに使う「骨格筋」と、心臓の壁となって収縮させる「心筋」とに分けられます。

「横紋筋肉腫」とは、将来骨格筋になるはずの未熟な細胞から発生した悪性の腫瘍(がん)で、肉腫のひとつです。全身のあらゆる部位から発生し、特に、泌尿器や生殖器、鼻の中や眼の奥を含む頭頸部、腹部や胸部の内臓、四肢などによくみられます。

患者の約7割が10歳未満ですが、思春期の若者や成人にも発生することがあります。小児がんのうち5~8%のまれながんですが、小児の肉腫の中ではもっとも頻度が高いもので、日本での発生は年間90人程度と推定されています。

横紋筋肉腫は、遺伝的な素因によって発症リスクが高くなることが知られているものの、ほとんどの場合はっきりとした原因は不明です。

横紋筋肉腫を発症すると、どんな症状が出てくる?

症状は、できた部位によって異なります。一般に腫瘍が発生した部位に腫れや痛みなどがあらわれるほか、腫瘍がまわりの臓器を圧迫・閉塞することによりさまざまな症状が引き起こされます。

たとえば、膀胱に発生した場合には血尿や排尿困難、鼻の中に発生すれば鼻血や鼻づまり、眼の周りや奥に発生すれば腫れたり眼球が突出する場合もあります。そのほかにも頭痛、便秘、腹痛などさまざまな症状が起こり、場合によっては、リンパ節や骨など離れた部位に転移することもあります。

横紋筋肉腫を発症していた場合、どんな治療をする?

横紋筋肉腫には、化学療法である「抗がん剤治療」や「放射線治療」が比較的よく効くことから、これらと「手術」を組み合わせた「集学的治療」が行われます。

横紋筋肉腫は最初に腫瘍を取り除くことができれば治りやすいとされていますが、腫瘍がまわりの正常な部分や臓器を巻き込んでいる場合が多く、残らず取り除くことは難しいことがほとんどです。このことから、病理診断のために必要な部分だけを取って調べ(生検)、抗がん剤治療や放射線治療を行うべき部位と、最初に可能な限り手術で腫瘍を取り除くことを目指すべき部位について判断し、治療を進めます。腫瘍の部位によっては、手術ができない状態のまま抗がん剤治療と放射線治療を先行させて行い、それで治る場合もあります。

化学療法はすべての横紋筋肉腫に必須といわれており、複数の抗がん剤を併用した治療を繰り返す方法が採られます。放射線治療は、成長期の小児では放射線照射部位の成長が抑制されるなどの副作用があることから避ける傾向がありましたが、現在では再発予防に必要不可欠とされ、状態に応じた細かな規定をもとに実施されています。

おわりに:横紋筋肉腫は、小児の肉腫の中では最もよく見られるもの

横紋筋肉腫は、将来骨格筋になるはずの未熟な細胞から発生した悪性の腫瘍で、骨格筋だけではなく全身のあらゆる部位から発生します。小児がんの中ではまれな種類ではありますが、小児の肉腫の中では最も頻度が高い疾患ではあるので、お子さんに突然の血尿など気になる異変が見られたら、念のため検査を受けることをおすすめします。

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