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感染性胃腸炎になったときの食事のポイント ― おすすめレシピと薬の注意点について
2024年3月13日
感染性胃腸炎のときの食事の注意点
ウイルス性の感染性腸炎には、即効性のある治療薬はありません。ノロウイルスなど、ウイルス性の感染性胃腸炎の治療は、対症療法が中心になります。
ウイルス性の感染性胃腸炎 ― 、いわゆる「風邪の下痢」は、腸内のウイルスが便とともにある程度排出されてしまえば治まることが多いです。回復するまでの期間には個人差があるものの、以下で挙げる注意点に気をつけながら安静に過ごしていれば、数日~1週間程度で解消していきます。
こまめに水分と電解質を補給する
下痢が続くと、生命活動に必要な体内の水分・電解質も排便とともに排出され、脱水症状に陥る危険があります。脱水症状を防ぐためには、こまめな水分補給が大切です。自力で水分を摂れるようであれば、少し苦しいかもしれませんが少量ずつでかまわないので、こまめに水分と電解質を補給しましょう。白湯や麦茶などで水分を補給するときは、梅干・塩飴などと一緒に補給すると、塩分・糖分と水分を同時に補給できます。
失われた水分と電解質を効率よく補給するには「経口補水液」がおすすめです。スポーツ飲料で代用することもできますが、一般的にスポーツ飲料は経口補水液よりも電解質が少なく、砂糖が多く含まれています。吸収速度が劣るため、スポーツ飲料で代用するときは、水で薄めて塩を少し溶かして飲むようにしましょう。なお、軽度から中程度の脱水には経口補水液での補給が推奨されているため、もしものときのため、経口補水液を備蓄しておくことをおすすめします。
胃腸にやさしい、消化の良い食事を摂る
下痢をしているときには、できるだけ胃腸に負担をかけないようにすることが大切です。食事については腹痛があるうちは絶食し、下痢や嘔吐の症状が軽くなってきたら、おかゆ・野菜スープ・煮込みうどん・すりおろしたリンゴ・豆腐などの「胃腸にやさしい、消化の良い食事」を摂り、粘膜の炎症を悪化させないように心がけてください。
食事の回数は1日5~6回にわけ、1回の食事量をおさえて食べるようにし、食材を細かく切る、煮込んでやわらかくするなどすることでも、胃や腸への負担を減らすことができます。治りかけの時期はとくに注意するようにしてください。
胃腸に刺激を与えるような、冷たいもの・辛いもの・脂肪分の多いもの・消化しにくいもの(食物繊維が豊富な野菜・キノコ・こんにゃく・海草など)などは、下痢を起こしやすいので控えましょう。香辛料・ニラ・ニンニクなどの刺激の強いものも、腸管壁に刺激を与えるので避けてください。なお、コーヒー・炭酸飲料・アルコール類・かんきつ系の果汁ジュース・牛乳などの飲みものは、お腹がゆるくなりやすく、下痢を悪化させる可能性があるといわれています。感染性腸炎の治療中は飲まないようにしましょう。
感染性胃腸炎のときのおすすめレシピ
感染性胃腸炎は、胃や腸に炎症が生じている状態です。食事はなるべく消化が良く、胃や腸に負担をかけないメニューを選ぶようにしましょう。ここでは、おすすめのレシピを3つご紹介します。
※アレルギーや持病などで食事制限がある場合は、必ず医師に確認してください。
卵にゅうめん
にゅうめんとは、そうめんを温かいお出汁で煮た麺料理です。薄味の出汁でやわらかく煮込んだにゅうめんは、消化も良く、のど越しも良いので、吐き気がするときにもおすすめです。塩分は胃や腸に負担をかけますので、「塩分を控えめ」することを心がけましょう。しっかりお出汁をとると、旨味と風味が強くなり満足度も高まるので、塩分を減らしやすくなります。
- 鰹節、昆布、煮干しなどで、お出汁をとって旨味を抽出する(うま味調味料、出汁の素、白出汁でも可)
- 旨味たっぷりのお出汁を、しょう油・みりんなどでお好みに味付けする
- 味付けしたお出汁をひと煮立ちさせる
- ひと煮立ちしたお出汁に、ゆで上がったにゅうめん(そうめん)を投入してさらに10分ほど煮込む
- 仕上げに溶き卵を回し入れ、お椀やどんぶりに盛り付けて完成
にんじん雑炊
ビタミンやカロテンを多く含むにんじんは、体調不良時におすすめの食材です。すり下ろして食べることで消化が良くなり、胃や腸への負担を最小限に抑えることができます。
- 鍋に水、鶏がらスープの素少々、すりおろした人参、ご飯を投入する
- ぐつぐつ柔らかくなるまで20分ほど煮込む
- 十分に柔らかくなったら、しょう油や塩などで味を整える
- 細かく刻んだわけぎと溶き卵を投入し、お椀やどんぶりに盛り付けて完成
はちみつヨーグルト
吐き気が強く、固形物が食べられないときにおすすめのさっぱりメニューです。はちみつを加えることで胃を優しく保護してくれます。
※ 1 歳未満の乳児がはちみつを摂ると乳児ボツリヌス症になる恐れがあります。与えないようにしましょう。
- 無糖タイプのヨーグルトに、温めたはちみつを加え、よく混ざ合わせる
- 酸味のあるジャムを足すなどして、お好みで味を調整して完成
感染性胃腸炎の下痢に市販薬を使っても良い?
下痢の症状がつらいときは市販薬の下痢止めを使いたくなってしまうかもしれませんが、下痢止めは必ず医師の許可を得てから使うようにしてください。これは、感染性胃腸炎になったときは、腸の中の毒素や異物を取り除くために下痢が起きているため、下痢止めを使うことで追い出すべきウイルスを体に停滞させてしまい、症状が悪化する可能性があるからです。
症状によって異なりますが、病院では腸の働きを整える薬(整腸薬)や便の水分を吸い取る薬、腸への刺激を抑える薬などが処方されます。処方された薬剤は、医師の指示に従って正しく服用してください。
おわりに:感染性胃腸炎のときは、水分補給とおなかにやさしい良い食事、安静が基本
感染性胃腸炎には特効薬がないため治療は対症療法が基本になり、個人差はありますが、数日~1週間程度で改善されていくことが多いです。下痢による脱水症状の恐れがあるため、こまめな水分補給を忘れずに行い、消化に良い食べ物を摂って安静にして過ごすようにしてください。