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メタボリックシンドロームに効果があるとされるテストステロンとは?

2023年12月13日

日本の国民病「メタボリックシンドローム」

太っている人がメタボとは限らない

ここ数年、メディアやCMで良く耳にする「メタボ」。最先端の研究では、メタボは男性ホルモンと非常に深い関係があることが分かっています。このコラムでは、中高年の多くの男性が悩むメタボと男性ホルモンの関係について5回にわたり考察していきます。

メタボとは〇〇型肥満

メタボという言葉は、今では太っている人の代名詞のように使われていますが、そもそもどのような症状を意味するのでしょうか。
メタボの正式名称は「メタボリックシンドローム」です。日本語では「内臓脂肪型肥満」のことで、腸のまわりや腹腔内にたまる「内臓脂肪の蓄積」によって複数の病気や異常が重なっている状態を表します。

代表的な病気としては、高血圧や糖尿病、脂質異常症(高脂血症)などの生活習慣病を複数、抱えている人のことをいいます。それぞれの病気が病気の診断基準を満たさない“予備群”や“軽症”の場合でも、2つ3つと病気が複数重なっている場合は、メタボリックシンドロームとみなされます

メタボリックシンドロームの特徴は、お腹がぽっこりとせり出していること。内臓のまわりに脂肪がたまる、その体型から「りんご型肥満」とも呼ばれています。

■2つの肥満タイプ
内臓脂肪型肥満/りんご型肥満…内蔵に脂肪がたまる肥満、お腹がぽっこり出るのが特徴

皮下脂肪型肥満/洋なし型肥満…腰まわりやお尻、太ももなどの下半身に脂肪がたまる肥満

<出典>「健康日本21/メタボリックシンドローム・ネット(http://www.metabolic-syndrome.net/index.html)」

メタボの診断基準とは?

日本では、腹囲(おへその高さ)が男性85cm女性90cmを超えていること、これに加えて、高血圧・高血糖・脂質異常のうち2つ以上が基準値を超えるとメタボリックシンドロームと診断されます。
診断でもっとも重視されるのが、腹囲です。高血圧、高血糖、脂質異常の病気があってもウエストまわりが細い場合は、メタボとは呼びません。おなかが出ている内臓脂肪型の肥満だけがメタボリックシンドロームと診断されます。

■メタボリックシンドロームの診断基準

<必須項目(以下が当てはまる場合)>

ウエスト周囲径(内臓脂肪蓄積) *内臓脂肪面積 男女ともに≥100cm2に相当男性85cm以上 女性90cm以上

<選択項目(以下のうち2つ以上が当てはまる場合)>

1.高血圧 最高血圧130mmHg以上 または 最低血圧85mmHg以上
2.高血糖空腹時の血糖値110mg/dL以上
3.脂質異常 中性脂肪150mg/dL以上 または HDLコレステロール40mg/dL未満

<出典>「健康日本21/メタボリックシンドローム・ネット(http://www.metabolic-syndrome.net/index.html)」

【参考文献】

「健康日本21/メタボリックシンドローム・ネット(http://www.metabolic-syndrome.net/index.html)」

「厚生労働省/e-ヘルスネット(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-01-003.html)」

日経トレンディ「男性ホルモンが増えれば、メタボを予防できる!?/<監修>順天堂大学医学部辻村晃先(http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20150422/1063907/?ST=trnmobile&P=3)」

知ってますか?メタボは動脈硬化につながること

中高年の2人に1人がメタボ

国民健康保険の調査では、40~70歳の男性の2人に1人、女性の5人に1人がメタボリックシンドロームだと報告されおり、もはや国民病とも言えるでしょう。

<出典>「健康日本21/メタボリックシンドローム・ネット(http://www.metabolic-syndrome.net/index.html)」

メタボの改善は重大な病気の予防につながる

メタボリックシンドロームは、動脈硬化を急速に進行させ、命にかかわる病気を引き起こす原因となります。そのため、単なる生活習慣病と捉えて軽く考えるのは、とても危険なことです。動脈硬化が進行すると、心筋梗塞や脳梗塞をはじめ、心疾患や脳血管疾患を発症するリスクが高まります
肥満、高血圧、高血糖、脂質異常のうち、1つ当てはまる場合の心疾患の発症リスクは、5.1倍。これに対して3つ当てはまる場合は、35.8倍に跳ね上がっています。
こうした研究結果から、厚生労働省では命にかかわる重大な病気を未然に防ぐため、メタボリックシンドロームの予防を広く呼び掛けています。

【参考文献】
「健康日本21/メタボリックシンドローム・ネット(http://www.metabolic-syndrome.net/index.html)」
日経トレンディ「男性ホルモンが増えれば、メタボを予防できる!?/<監修>順天堂大学医学部辻村晃先(http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20150422/1063907/?ST=trnmobile&P=3)」

メタボの原因は、男性ホルモンの減少?

太った人は男性ホルモンが少ない

最先端の研究では、メタボと男性ホルモンには深い関係があることが分かっています。
男性ホルモンの代表格が、テストステロンです。このテストステロンは、男性らしい体をつくるために欠かせないものです。
テストステロンの働きとしては、

  • 筋肉を増やし、男性らしい体をつくる
  • たんぱく質を筋肉や内臓に変える働きを助ける
  • 新陳代謝を高める
  • 内臓脂肪を抑制する

などがあります。

日本人のメタボとテストステロンの関連性

日本人の中高年男性を対象にした調査では、メタボの有無に関係なく、体格を表す指数「BMI値」の上昇とともに、テストステロン値が減少することが報告されています。この調査は、平均年齢52歳の中高年男性を対象としてものです。
メタボと強度の肥満を抱えた男性のテストステロン値は、150~300ng/dl。低テストステロン値の基準は300ng/dl以下ですが、やせた男性と比べてかなり低いと報告されています。
糖尿病あるいは空腹時血糖 110mg/dl以上、中性脂肪150mg/dL以上、BMI30kg/m 以上の人は、低テストステロンと関連性があることが分かっています。
<出典>大東製薬工業(http://www.daito-p.co.jp/blog/2006/07/post-13.html)

【参考文献】

大東製薬工業(http://www.daito-p.co.jp/blog/2006/07/post-13.html

日経トレンディ「男性ホルモンが増えれば、メタボを予防できる!?/<監修>順天堂大学医学部辻村晃先(http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20150422/1063907/?ST=trnmobile&P=3)」

テストステロンが肥満の改善に役立つ

テストステロンの補充がメタボの改善に

このような研究からテストステロンがメタボリックシンドロームの改善や予防に役立つのではないかと言われています。そして、米国ではこうした推測を裏づける研究が「Endocrinol」で、すでに発表されています。
この調査は、メタボと診断され、テストステロン値が低いと診断された男性を対象に行ったものです。調査対象は、5~65歳の40人の男性です。この調査では、テストステロンを補充した人とテストステロンを補充しない人を各20人のグループに分けて調査を行っています。以下は、その調査結果を表したグラフです。

グラフのなかの上部の折れ線グラフが、テストステロンを補充しないグループ、下記の折れ線グラフがテストステロンを補充したグループの変化です。補充しないグループは、あまり変化がないのに対して、テストステロンを補充したグループでは、60カ月で腹囲が平均9.6cm細くなっています。

ダイエットにも効果が期待

上記は、体重の変化です。補充しないグループは、あまり変化がないのに対して、テストステロンを補充したグループでは、60カ月で平均15kg体重が落ちています。

【参考文献】順天堂大学医学部附属浦安病院泌尿器科の辻村晃先任准教授
日経トレンディ「男性ホルモンが増えれば、メタボを予防できる!?/<監修>順天堂大学医学部辻村晃先(http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20150422/1063907/?ST=trnmobile&P=3)」

健康の源はテストステロンから

低テストステロンによる健康リスク

男性ホルモンの1つであるテストステロン。それでは、なぜテストステロン値が低いとメタボリックシンドロームになりやすいのでしょうか。
それはテストステロンに、脂肪を分解する働きがあるからです。このほかにも、インスリンへの抵抗性が増強するため、高血糖、高血圧、脂肪異常など、生活習慣病の発症のリスクが高まることが分かっています。
ご紹介してきたように、男性ホルモンの減少には様々な健康リスクがあります。ここで、低テストステロンが引き起こす健康リスクについて、改めてまとめておきたいと思います。

前回のレポートでは、テストステロンの補充がメタボを改善することをご紹介しましたが、メタボが改善されれば、当然、生活習慣病や動脈硬化などの健康リスクが軽減されわけです。実際に、テストステロン値の高い人は、寿命が長いということも分かっています。

アンチエイジングに役立つホルモン

ホルモン先進国であるアメリカでは、LowT=「低テストステロン」という言葉が一般的になっています。肥満を改善するための1つの治療として広く知られており、注射や薬による補充治療がすでに始まっています。
テストステロン補充治療の効果は、テストステロンの量、治療の頻度によっても異なりますが、テストステロン注射薬を提供しているWellness MGT社では、6か月の継続投与で平均15%減少の脂肪を減少したと報告されています。また、治療体験者からもダイエットについての効果が多数、報告されています。
日本でも、テストステロン値はメンズヘルスケアを扱う専門外来で検査することができます。もしテストステロン値が低い場合は、治療も可能です。

【参考文献】

内科臨床誌 メディーナVol.48「テストステロンの減少が生活習慣病のリスクを高める」

Wellness MGT社「HGH(https://www.hgh.biz/)」

日経トレンディ「男性ホルモンが増えれば、メタボを予防できる!?/<監修>順天堂大学医学部辻村晃医師(http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20150422/1063907/?ST=trnmobile&P=3)」

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