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不注意優勢型ADHDとは ― 症状、治療法などを解説

2023年7月12日

不注意優勢型ADHDとは

ADDがADHDへと変化した経緯

ADDとは、日本語訳で「注意欠陥障害」と呼ばれる、1987年までのADHDの呼び名です。
診断名の変更は、アメリカ精神医学学会が発行する国際的な診断基準「DSM(精神障害の診断と統計マニュアル)」の改訂に従い行われました。現在の発達障害の呼び名はADHDの「不注意優勢型」に相当しており、その特徴として「注意の持続と衝動性の制御に問題が生じる障害」とされています。

ADDとADHDの表記の違いとは?

結論から言うと、ADDとADHDの表記の違いは、「多動性」が付随しているかいないかの違いとなります。ADHDとは、「注意欠如=Attention Deficit、多動=Hyperactivity、障害=Disorder」の略です。

  • ADD(Attention Deficit Disorder)=注意欠如障害
  • ADHD(Attention Deficit Hyperactivity Disorder)=注意欠陥多動性障害

不注意優勢型ADHDの症状

不注意

不注意とは、一定時間集中することが難しく、注意力がすぐに他事に向いてしまう症状のことです。

  • 物忘れが多い
  • 持ち物をなくしやすい
  • 整理整頓が苦手
  • 注意力がすぐ他事に逸れる
  • 集中することが苦手
  • 細部にまで気が回らない
  • ぼんやりしていることが多い

以上ような症状は、外からの情報を整理・保存・活用を司る、脳の「前頭前野」が弱いことが原因だとされています。前頭前野がうまく働かないと、記憶力に影響が及ぶので物忘れが多くなるとされています。

衝動性

ADHDの人は、感情や欲求をうまく制御することが難しく、衝動的に発言・行動してしまう傾向があります。そのため、周囲の人の怒りを買いトラブルになってしまうこともあるのです。

  • あまり考えずに思いついたことをを口に出す
  • 順番を守ることが苦手
  • 優先順位をつけるのが苦手
  • キレやすい傾向がある

以上のように、衝動的に感情を表に出してしまう傾向があるので、自分の思うようにいかないと癇癪を起こしてしまう場合があります。そのため、集団行動やチームプレイを苦手とする人もいます

二次障害

自分の障害を周囲にあまり理解されていないことで、ミスを責められたり厳しく指導されると、本人の自尊心に傷がついてしまう場合があります。
そして自尊心が低下すると、不登校、ひきこもり、うつ病、非行などをおこしてしまう場合があり、このような症状を二次障害と呼びます。

不注意優勢型ADHDは薬で治る?

ADHDの人の脳は、ドーパミンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質が不足している傾向があり、病院では主にその神経伝達物質の増加・活性化作用のある薬が処方されます
現在、日本で主に処方されている薬として、「アトモキセチン」「メチルフェニデート」「グアンファシン(小児のみに適応)」があります。
これらの薬の副作用については、処方されたときに医師や薬剤師に確認しておきましょう。

子供が不注意優勢型ADHDだった場合の接し方は?

まず初めに病院で問診を受ける際には、本人が抱えている困りごとや症状などについて詳しく医師が確認していきます。そうすることで、その後の療育や投薬治療の方針が決まるので、質問された際には正直に答えるようにしましょう。
困りごとを改善していく上で大切なのは、「本人の状態を正しく理解する」「安心して過ごせる環境を作る」「症状に対する適切な対処法を理解する」ことなのです。

「注意力」への適切な対処法

  • 必要なものがある時は周囲の人が一緒に確認する
  • 刺激物を減らし、集中できる環境を整える
  • 絵やイラストなどの視覚的な方法で支持を伝える
  • 指示内容やスケジュールをメモなどに書いておく
  • 忘れ物や紛失防止のため、持ち物にタグをつける

「衝動性」への適切な対処法

  • やるべきことを本人が思い出せるように声をかける
  • 簡単なルールを作り、それ以外では自由に行動できるようにする
  • 混乱してしまった時に、本人がリラックスできる方法を見つける

注意をする際には

  • よくない行動をしたときには、少し遠くから見守るようにして、良い行動をした際に褒めるようにする
  • 本人が興奮・混乱しているときには、まずはリラックスさせる
  • 指示を出す際には、一つずつ、具体的に出すようにする
  • 注意をする際には、近づいて、穏やかに、静かなトーンで話すようにする

おわりに:ADHDに関する悩みや困りごとは専門医に相談を

ADHDには不注意や多動性の症状があり、本人がどんなに努力しても改善できない特徴があります。しかし、専門の医師に診てもらい自分の症状を詳しく知ることで、その後の対処法や方針などを決めることができます。また、ADHDのお子さんがいる場合は、具体的な接し方のポイントなどを知ることで、お子さんとコミュニケーションがとりやすくなる可能性があります。困りごとや聞きたい事などがある場合は、専門の医師に相談しましょう。

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