子育て
子供のてんかんは治るの?どんな治療をする?
2023年5月10日
子供のてんかんは治るの?
小児のてんかん発作は、抗てんかん薬の服用や外科手術をすることで、治る可能性の高い病気とされています。ただし、てんかんには治療の効果が得られやすいタイプと、そうでないタイプがあるので注意が必要です。
子供のてんかんの治療法は?
治療で発作が消失するタイプ
- 中心・側頭部に棘波※(きょくは)を持つ良性小児てんかん(良性ローランドてんかん)
※棘波とは、発作が起きる時に脳の神経細胞が出す大きな電流(脳波)のこと。
- 小児欠神てんかん
良性ローランドてんかんは、基本的には、成人になるまでに完治します。
小児欠神てんかんの多くの場合は成人になるまでに治りますが、特に全身けいれんの症状がない人の方が治りやすいとされています。
治療で完全に発作が抑えられるタイプ
- 若年ミオクロニーてんかん
抗てんかん薬の服用を継続することで、発作を抑える事が可能になります。
治療で発作が抑えにくいタイプ
- ウエスト症候群、レノックス・ガストー症候群
難治性のてんかんと言われている発作ですが、近年発売された抗てんかん薬の使用により、治療の効果が得られやすくなっています。
小児てんかんの治療 ― 抗てんかん薬による治療ではどんな注意点がある?
小児てんかんの治療では、抗てんかん薬の服用が基本となり、発作型の抗てんかん薬が使用される事が多いです。ただし、欠神発作の治療ではバルプロ酸やエトサクシミドが使用されます。
治療を行う際の注意点
- 小児の場合は、成人と比べると体内で薬が分解・排出されるスピードが早いので、成人より多めの薬が処方されます。
- 体の成長に合わせて薬の量を調整する必要があるため、体重測定や血液検査を定期的に行います。
- 血中濃度をこまめに測定し、薬の量を調整します。
- 同じ成分の薬でもさまざまなタイプ(形状)のものがあり、錠剤、散剤、シロップ型、ドライシロップ剤などの中から、子供の飲みやすい形を選ぶことが可能です。
- 風邪薬などと併用すると、血中濃度が変化して発作が起こりやすくなる場合があります。そのため、他の薬を飲む際には医師に相談する必要があります。
点頭てんかんはどんなてんかん!?どうやって治療するの?
3歳未満の乳児に起こる点頭てんかん発作では、
- 数日~数週間単位で笑わなくなる
- 不機嫌になる
- 首がすわらなくなる
- 座れなくなる
などの発達の退行症状が起こります。退行症状は、ヒプスアリスミア※に見られる脳波異常が長時間続くことにより起こるとされています。点頭てんかんは、発症から1ヶ月以内に治療する必要があり、放置しておくと精神運動の発達に異常をきたす恐れがあります。そのため、点頭てんかん発作の疑いがある場合は、すぐに専門医の診察・治療を受けることが大切です。
※ヒプスアリスミアとは、様々な振幅のある徐波が無秩序・持続的に出現することにより、脳波に棘波や鋭波が混じる異常症状です。
レノックス・ガストー症候群の治療は難しいの?
レノックス・ガストー症候群は、てんかん性脳症の一つで、潜因性または症候性全般てんかんに分類されます。強直発作など様々な種類のてんかん発作が起こるため、1つの薬だけで発作症状を抑えることは難しく、何種類かの薬を併用することがあります。また、精神運動発達障害なども伴うため、本人の症状に合わせた治療を受けられる設備やスタッフのいる専門医療機関を受診することをおすすめします。
おわりに:治りやすいタイプの発作は成人までに完治する
小児てんかん発作は、治りやすいタイプと治りにくいタイプのものに分かれます。治療により効果が得られるタイプの発作は、成人までに完治することが多いですが、難治性の発作の場合は治療による効果があまり得られないことがあります。治療では、抗てんかん薬の服用が基本となり、症状に合わせて専門の治療が行われます。