子育て大学

子育て

止血薬として使われるビタミンK製剤の特徴は?

2023年5月10日

止血薬としてのビタミンK製剤の働きは

ビタミンKは脂溶性ビタミンです。脂に溶けやすい性質を持ち、血液凝固作用(血液を固める作用)や骨の代謝などに関わる成分です。また、ビタミンKは特に血液を固めるための血液凝固因子(第II、第VII、第IX、第X因子)の生産に必要なビタミンでもあります。そのため、ビタミンKを摂取すると血液凝固因子の生産が促され、血が止まらない状態が改善することがあります。このことから、ビタミンK製剤は乳児ビタミンK欠乏性出血症(新生児などがビタミンKの不足により出血しやすくなる病気)や骨粗しょう症などの治療に用いられます。

ビタミンK製剤にはいくつか種類があり、症状や疾患によって使い分けるのが基本です。

止血薬で使われる主なビタミンK製剤は?

ビタミンK製剤の中でも、止血薬としてよく使われているのはメナテトレノン(商品名:ケイツー®︎)とフィトナジオン(商品名:ケーワン®︎)です。

メナテトレノン(商品名:ケイツー®︎)

乳児ビタミンK欠乏性出血症や分娩時出血などに使われます。

フィトナジオン(商品名:ケーワン®︎)

ビタミンK欠乏性出血や肝障害に伴う低プロトロンビン血症などに使われます。

どちらの薬も、ビタミンK不足による出血を防止します。ビタミンKが不足した場合、血液を固めるのに必要な「プロトロンビン」という蛋白質が生成できなくなります。結果的に血が止まりにくく、出血しやすくなります。特に、肝臓や腸などに病気がある方や、ビタミンKの吸収・代謝が弱い生後直後の赤ちゃんがビタミンK不足を起こしやすいです。赤ちゃんはビタミンK不足を起こすと、出血を起こしやすく、血便が出ることもあるので注意が必要です。

ビタミンK製剤である「ケイツー®︎」と「ケーワン®︎」は、このような場合の治療や予防のために使用される薬です。シロップ剤、カプセル剤、注射剤があり、状況に合わせて使い分けます。

また、他の薬の副作用による出血にも用いることがあります。抗凝血薬であるワーファリンが効きすぎた場合も出血しやすくなるため、ビタミンK製剤を用いて止血します。

強い抗生物質を長期使用するのも注意が必要です。抗生物質によりビタミンKが不足することがあり、その結果ビタミンKが関わる腸内細菌が減り、出血を起こすケースが見られます。この場合も、症状の改善のためビタミンK製剤が用いられることが多いです。

止血薬を服用中に起こる可能性がある副作用は?

ビタミンKを用いた止血薬を服用していると、まれに以下のような副作用が起こる場合があります。

消化器の症状

下痢や吐き気など、消化器に関する症状がみられることがあります。

注意すべき点

ワルファリンカリウム(商品名は主にワーファリン®︎)との併用を避けます。ワルファリンカリウムはビタミンKとは真逆の効果があるからです。ただし、ワルファリンカリウム製剤の投与中に「低トロンビン血症」が起きた場合などは併用することもあります

おわりに:止血薬として使われるビタミンK製剤は血液凝固作用があります

ビタミンK製剤はケガによる出血や、新生児の出血が抑制できない状態などを改善してくれます。切り傷などで血が止まらなくなった場合は、すみやかに病院に行き、診察を受けましょう。

同じカテゴリの記事

  • 子育て
    カンピロバクターによる食中毒の特徴と予防対策について 2025年6月18日 #下痢#吐き気#感染症#発熱#腹痛#食事
  • 子育て
    《子供の感染症あるある15》子どもの鼻水は病気のサイン?上手な対処法は 2025年6月18日 #感染症#鼻水
  • 子育て
    ビタミンKの働きとおすすめの食べもの ― 摂取のポイントと注意点について 2025年6月18日 #新生児#栄養#食事
  • 子育て
    抗アレルギー薬で使われるモンテルカストの作用・副作用と薬の種類について 2025年6月18日 #アレルギー#眠気#肌トラブル#薬#鼻水