子育て
子どもの世界はラクじゃない?子どもの心の病気と思春期の特徴
2022年10月5日
子どもの怒りの感情とうつ
子どもは、怒りの原因、怒りの程度、怒りの適切な表現方法を大人より知りません。身の回りの出来事、自分自身、他人についてなど、子どもでも悩むことはあります。そうした感情を溜めずに怒りをぶつけることもありますし、小さなストレスが重なって、やがて自分のキャパシティを越え、人生の不公平さ、自己の無力感にさいなまれ、うつ状態になることも考えられます。
イライラがつのって過敏になっていくと、飲酒や薬物乱用に走ることもありえます。これは怒りの感情に基づく場合が多いと考えられています。摂食障害や過食症、拒食症はうつ的な感情に起因していることが多いと考えられています。こうしたケースの場合、医師やカウンセラーに相談し、話し合うことが重要です。
保護者の対応が子どもの心の病気の予防につながる
子どもの心の病気の予防のためにも、保護者である自分の感情や反応をもっと意識するようにしましょう。子どもは脳が未発達な分、ストレスに無防備な面があります。
子どものそばにいる大人として、自分自身の情緒のコントロールを始めることが大切です。むやみに子どもを怒ったり、暗い様子で接したり、無口でいたり、こどもと顔を合わせない、というようなことは避けましょう。
「子は保護者の鏡」という言葉があります。欲求不満や怒り、イライラ、悲しみに直面したとき、自分自身で対処する方法を見つけましょう。 体はストレスホルモンをつくることによってストレスに抵抗します。ストレスホルモンは、危険などの状況に応じて体が反応するようになっています。
しかしストレスホルモンが多く作られすぎると、身体とメンタルが疲弊します。 その結果が、感情的、不安、過敏、うつ状態です。成長途上の子どもの体は、大人よりもストレスホルモンの影響が甚大になります。子どもに勉強やスポーツをさせたい場合、ハードな内容になると子どもの精神に悪影響になりうることを忘れないでください。
だらけ過ぎ、怠けすぎまで行くとそれも問題に見えるかもしれませんが、子どもにとってもリラックスは大事です。深呼吸や瞑想、ヨガなど、家庭で一緒にできるリラックス法を試してみるのもおすすめですよ。子どもとともにリラックス法を楽しみましょう。
治療方法
子どもの情緒面が気になるときは、学校のカウンセリング、支援団体、医師への相談などを試してみるのが安心です。情緒的な問題やメンタルヘルスを患っている子どものサポートになるでしょう。情緒的な問題が長く続くような場合は、医師に相談してください。適切な治療法を見つけてくれます。
感情のコントロール法には、次のような方法があります。
感情を溜めこみすぎないために
大人同様、怒りや悲しみを自分の内面に抑え込むのは、多大なエネルギーを必要とします。学校で問題を引き起こす可能性もあるのです。子どもが感情を内面に抱え込まないように、次のことを試してみてください。
- 自分の気持ちを吐き出させる
- 悩みの助けになることを伝える
- ずっと味方であることを伝える
感情に引っ張られないようにするために
感情に走れば後悔するかもしれないことを伝え、感情的な言葉を発したり、衝動的な行動に走ったりする前に、深呼吸して考えるようにさせてください。
- 行動する前に考えさせるようにする
- 人生を楽しませる
子どもがポジティブになるために
子どもが楽しめるための時間をつくってください。ピクニック、旅行、スポーツ観戦などを楽しみ、ポジティブなことに意識が向かうようにしましょう。
身体も健やかに保つために
身体の状態は、心の健康に影響をします。健康的な食事、十分な睡眠、定期的な運動で体をケアすることで、子どもの心に良い影響が出やすくなるでしょう。
思春期の子ども
思春期の子どもは、親にとって大きなストレスになることもあります。自分の子どもが反抗的だったり今までと違う様子を見せたりしていると、「うちの子どもは普通なのだろうか」と不安になることもあるでしょう。思春期の子どもの心の変化に、保護者はどのように対処すればいいでしょうか?
思春期の子どもが大人をイライラさせるのは普通!
「親は、世界で最も過酷な仕事」とも言われています。思春期の子育てを経験した方であれば、なおさら実感できるでしょう。
思春期の子どもの態度や振る舞いは、保護者をイライラさせることが少なくありません。思春期の子どもとのコミュニケーションでは、心が傷ついたり、心配させられたり、大きなストレスを感じることもあります。しかし保護者を悩ませる変化の中にこそ、思春期の成長の必須要素が詰まっています。つまり、思春期の子どもの様子がいつもと違うからといって、心の病気というわけではありません。
子ども自身も、ホルモンの急激な上昇に伴う身体の変化に混乱し、どうしようもなくなっていることもあります。思春期は、子ども自身がさまざまな感情や混乱の中にいる時期なのです。
思春期の子どもは、保護者と一緒にいる時間が減ってくることが多いです。一人でいたがったり、友人といる時間を優先したりします。保護者と一緒にいるときは、不機嫌だったり、暗くなったりすることもあります。性格が変わったように見えるのも自然なことなので、必要以上に心配することはありません。
思春期の子どもの保護者としての対応
子どもの思春期は、子育てに自信がある保護者でさえ対応に悩む時期です。まして、兄弟姉妹、仕事、人間関係、家族への義務、病気など、子育てとは別の大きなプレッシャーも抱えている保護者にとっては、たまったものではありませんよね。
まず、思春期に対する考え方を整えてみましょう。思春期の子どもの態度や変化は、基本的には子ども自身でどうにもできない生理的なものであり、好きでやっているわけではないことをわかってあげましょう。子どもの態度にイライラしたり、怒ったりする前に「これは子どもがわざとやっているのではないんだ」ということを思い出してください。子どもに拒否されていると感じても、過剰に心配しないこともポイントです。穏やかな態度を保ち、子どもに対する言葉かけに矛盾がないように心がけてください。
- 思春期の子どもへの接し方
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- 子どもの見本であることを忘れず、感情をコントロールする
- 心配していることは隠さない(過干渉は避ける)
- 親子の時間を共有する
- 子どもに一人で過ごす時間も与える
- 愛情を示す
- ボーダーラインをつくる
思春期の子どもに対して理想的な親であることは簡単なことではありませんよね。できるところから少しずつ試してみて、親子の良好な関係を維持してくださいね。
メンタルの異変?思春期の子どもの気になる症状
以下に挙げる症状は、一般的な思春期の子どもに見られる症状ではありますが、保護者が気にしてあげたい変化です。
- 思春期のうつ
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- 落ち込でいる様子や悲しい様子が続く
- 絶望感と無力感を口にする
- よく涙ぐむ
- 他人に対して敏感で、よく苛立っている
- エネルギーやモチベーションが低下した(例:以前興味があったことに興味を示さない)
- 動きや話すスピードが遅くなった
- 食欲または体重の変化(通常は減少しますが、増加することもあります)
- 不可解な苦痛と苦悩を抱えている
- 睡眠リズムの乱れ
- 何事にも興味がなかったり、学校での態度が悪い(例:授業をさぼる)
- 絶えず不平不満をこぼす
- 思春期の摂食障害
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- 食べることに夢中で、体重が増えている(過食)
- 周囲が痩せていると心配する状態でも、体重を減らそうとする
- 保護者と一緒に取らなかった食事について、何を食べたか話さない
- もっと食べるように言われると、不安、怒り、罪悪感を見せる
- 嘔吐、または下剤で体重を減らそうとする
- 思春期の自傷行為
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- 手首、腕、太もも、胸に切傷、アザ、たばこの火傷痕がある
- いつも長袖で、暑い時も肌を見せようとしない
- 落ち込み、意欲の欠如といったうつ病の徴候がある
- 食事に関してあまり話したがらない
- 異様な体重減少、体重増加
- 自分自身を責めていたり、満足できなかったりするなど、自己評価が低い
- 髪を自分で抜く
- 思春期の薬物乱用
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- 趣味やスポーツなど、以前好きだったものに興味を失った
- 外見や清潔さに無頓着になった
- 劇的な行動の変化が見られる
- 突然、新しい友人と付き合い出した
- 過度の疲労と食欲不振が見られる
- 学校に行かなくなる
- 瞳孔が開いていたり、目が赤くなっている
- 皮膚のただれが現れている
- 浪費するようになり、その理由を話さない
- お金を盗む(薬物購入のため)
思春期の子どもの様子が気になるときは、心配していることを本人に伝えたり、医師など専門家からアドバイスをもらうのもおすすめですよ。子どもに摂食障害が疑われる場合は、速やかに専門家のアドバイスを受けてください。
おわりに:思春期の子どもは程よい距離感を探りつつ、しっかりと見守るのが安心!
思春期の子どもとのコミュニケーションでは、戸惑うことや悩むことが多くて当たり前なことですよね。それぞれの家庭ごとに程よい距離感がありますので、トライ&エラーで子どもに接していきましょう。ただし重大なトラブルやメンタルの異変を見逃さないように、しっかりと子どもを見守るのが安心ですよ。