子育て
EPAってどんな効果がある栄養素なの?
2022年6月15日
EPAってどんな栄養素?
EPAは「エイコサペンタエン酸」の略称で、サバやアジ、イワシなどの青魚に多く含まれるn-3系脂肪酸のひとつです。体内でほとんど作ることができず、食事などから補給する必要があるため、「必須脂肪酸」といわれています。血液をサラサラにし、中性脂肪値を下げる効果が期待されており、血管年齢の老化を防いだり、心臓病や脳梗塞、動脈硬化の予防に役立ったりする成分とされています。
EPAが注目されるようになったのは、グリーンランドのイヌイットの人々を対象に行った疫学検査の結果がきっかけです。1960年代、デンマークのダイアベルグ博士らが行った調査で、イヌイットの血液中に含まれるEPAがヨーロッパ人に比べて極めて多いことが明らかになりました。
イヌイットは、野菜をほとんど摂らず、アザラシの肉などを主食にしているにもかかわらず、心筋梗塞で亡くなる方がヨーロッパに比べて非常に少なかったのです。調査した結果、アザラシが主食としている青魚由来のEPAをイヌイットが摂取しているためではないか、と分析されました。これによって、EPAは、血管・血液の健康を維持する効果がある栄養素として考えられるようになったのです。
DHAとは何が違うの?
EPAとともに話題になる成分としてDHAがあります。DHAはドコサヘキサエン酸の略称で、EPAと同じく青魚から摂取できる成分です。その効果までもが混同されがちですが、それぞれの成分には特徴があります。
DHAは、脳血液関門と言われる脳への入り口を通り抜け、脳神経に働きかけることができるといわれています。一方、EPAは脳血液関門を通り抜けることができないため、脳への働きかけはできませんが、血小板凝集抑制効果が非常に高くなっています。血液をサラサラにし、心筋梗塞や虚血性心疾患を予防する力は、DHAよりもEPAの方が優れていると言えます。
EPAの効果にはどんなものがあるの?
EPAの働きとして、以下にご紹介する4つの効果が明らかになっています。
血液中の中性脂肪値を下げる
年齢を重ねるにつれて、血管にはコレステロールや中性脂肪が蓄積します。血管内には、脂質を運搬するリポタンパクというものが移動していますが、これらが血管壁の内部に取り込まれ、老廃物として処理しきれなくなってしまうことで血管を太らせ、通り道を狭くしてしまうのです。EPAを摂取すると、中性脂肪の濃度を下げることができます。
血圧を低下させる
EPAは、赤血球の膜の流動性を高めて血液粘度を下げる働きがあると言われています。分かりやすく言うと、ドロドロからサラサラの血液になるということです。無理に押し出さなくても、血液が血管内をスムーズに流れるようになるため、血圧を下げることにつながります。
血栓をできにくくする
血栓は血管内に出来てしまう血の塊で、血管をつまらせて心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす原因になります。EPAは、体内の血小板の活性を鎮めることができるため、血栓をできにくくすることができます。
プラーク(血管内腔に出来てしまった盛り上がり部分)を破裂しにくくする
プラークは、血管内に溜まった脂肪などが固まって盛り上がってしまった部分のことです。このプラークのカーブが大きくなればなるほど、血管内は狭くなるだけでなく、破裂すれば血栓となって血管をつまらせてしまいます。
EPAを摂取すると、プラーク内の脂質においてEPAの割合が高くなり、表面を覆う繊維性被膜の厚みが増します。そのため、プラークのカープが平坦に近くなり、安定化して破裂しにくくなると考えられています。これは、最近の研究で発見された新しいEPAの働きと言われています。
効果的に摂るコツは?
EPAは、青魚に多く含まれている成分です。そのため、効率よく摂るには、やはり魚を食べるのがおすすめです。特に、EPAやDHAは煮たり揚げたりすると成分が外に逃げてしまうため、新鮮な魚を生で食べるのがよいでしょう。鯖缶などの青魚の缶詰を、汁ごと調理して食べるのもおすすめです。ただし、水銀などの金属が含まれていることもありますので、妊娠中の方は摂取量に注意しましょう。
おわりに:EPAは血液中の中性脂肪値を下げ、血管系の病気の予防に有効な成分です
EPAはエイコサペンタエン酸の略称で、サバやアジ、イワシなどの青魚に多く含まれるn-3系脂肪酸のひとつです。血液をサラサラにし、中性脂肪値を下げる効果などが期待され、血管年齢の老化を防いだり、心臓病や脳梗塞、動脈硬化の予防に役だったりする成分とされています。効率よく摂るには、新鮮な魚を生で食べたり、青魚の缶詰を汁ごと食べられるよう調理したりするのがおすすめです。