子育て
乳糖不耐症は何科で検査すればいいの?どんな治療方法がある?
2021年9月24日
乳糖不耐症は何が原因?どんな症状が起こるの?
乳糖不耐症とは、乳糖を分解する消化酵素であるラクターゼの欠乏もしくは活性の低下により、下痢や体重増加不良を引き起こす疾患です。
乳糖(ラクトース)はミルクなどの乳製品に含まれる糖です。摂取すると、小腸上皮細胞で作られる消化酵素ラクターゼの働きによって、グルコースとガラクトースに分解されます。
これらは腸壁から吸収されて血中に流れますが、ラクターゼが欠乏もしくは活性が低下すると、乳糖をうまく分解できないまま腸内にとどまります。その結果乳糖の濃度が高くなって腸内の水分が増え、下痢を引き起こしやすくなります。また、分解できなかった乳糖が大腸の中で発酵してガスを作ると腹部膨満にもなります。
母乳でも症状がでるの?
母乳には赤ちゃんの成長や免疫力の向上に良い成分が多く含まれています。
しかし、乳糖も含みますので乳糖不耐症の赤ちゃんが母乳を飲むと下痢などの症状が現れることがあります。
母乳で症状が出るような場合には、乳糖を完全に除去したミルクで育児をするようにしましょう。小児科や薬局などで様々なタイプの代用ミルクが販売されていますので、医師と相談しながらどのようなタイプのものがよいか成長に合わせて選ぶようにしてください。
乳糖不耐症の症状
乳糖不耐症の症状は、年齢によって異なりますが、次のような症状が現れます。
- 下痢
- 嘔吐
- 腹部膨満感
- 腹痛
- お腹がゴロゴロ鳴る
- 体重増加不良(乳幼児)
これらの症状は乳糖を含んだ飲み物や食べ物を口にすることで現れるのが特徴です。
乳幼児の場合には哺乳するごとに激しい下痢が生じるため、脱水状態に陥ることも珍しくありません。
乳糖不耐症は生まれつきで起こるものだけじゃない!?
乳糖不耐症には、先天性のものと後天性(二次性)のものがあります。
先天性の乳糖不耐性
先天性の乳糖不耐症は、遺伝的要因によりラクターゼがないか、活性が阻害されている状態です。乳糖の分解や吸収ができない状態を引き起こしますが、疫学的には極めて稀であるとされています。
後天性の乳糖不耐性
後天性(二次性)の乳糖不耐症は、感染症などによって小腸の粘膜が損傷することが原因で発症するものです。特に乳幼児期において、後天性(二次性)の乳糖不耐症が多い傾向があります。
後天性(二次性)の乳糖不耐症の場合、原因となった感染症が治れば、乳糖不耐症の症状も回復へと向かいます。
乳糖不耐症の検査方法
乳糖不耐症の検査では、乳糖を除去したミルクや乳製品を摂ったときに症状が改善するかどうかを評価します。もし改善したら、乳糖不耐症の疑いがあると判断します。
また、小腸で分解、吸収されなかった乳糖が大腸で発酵すると便中のpHが酸性になりやすく、また糖も多く含む傾向があるため、便中のpH測定や糖の測定をすることもあります。
そのほか、大腸で発酵したガスには水素が含まれており、呼吸によって外部に排出されることから、息に含まれる水素ガス濃度を測定する呼気水素ガス測定検査が行われることもあります。
乳糖不耐症の治療方法
乳糖不耐症の治療では、先天性および後天性(二次性)どちらの場合も乳糖を避けることに重点が置かれます。
先に述べた通り、乳糖不耐症は後天性(二次性)のものが多いことから、少なくとも消化管症状が治るまでの間は、乳糖を含まないミルクや乳製品を摂るようにします。
ヨーグルトはラクターゼを含んでいますし、チーズは乳糖が比較的少ないので、少量であれば摂取できることがあります。また、アレルギー用のミルクの主成分は大豆で、乳糖を含まないので摂取しやすいでしょう。
その他の治療法として、β-ガラクトシダーゼを成分とする乳糖分解酵素薬を用いた治療法があります。この治療法は、先天性の乳糖不耐症の改善につながる可能性があります。
乳糖不耐症は、何科を受診すればいい?
乳製品を摂取した後に下痢や腹痛などの症状が頻回に現れる場合には、乳糖不耐症が疑われます。乳糖不耐症が疑われる場合には、小児の場合は小児科、成人の場合は消化器内科などを受診するとよいでしょう。
とくに乳幼児の場合には、頻回の下痢が原因となって脱水症状や発育不良に陥ることもあるため、疑われる症状が見られた場合にはなるべく早めに小児科を受診するように心がけてください。
おわりに:治療には、乳糖を含む食品を控えることが大切
乳糖不耐症は、腸内が損傷を受けて乳糖を分解する消化酵素がうまく働かないために起こるものが一般的です。腸内環境が回復すれば症状がおさまるので、治療中は乳糖を含む食品を控えて回復を促しましょう。
早い段階で対処を始めた方がいいので。、乳糖不耐症と思われる症状があるときは、早めに病院を受診するようにしてください。