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漏斗胸の症状が、自然に治ることはあるの?

2021年6月23日

漏斗胸とは

漏斗胸とは、胸の中央部が漏斗(ろうと)状に凹んでいる状態のことをいいます。
凹みの状態は人によって異なり、深い、浅い、左右の形が違うなどさまざまです。幼児のころに咳などの症状をともなうことがありますが、命にかかわるというものではありません。

男子に多く、肋骨や胸骨(胸の中心の骨)と肋軟骨(肋骨と胸骨をつなぐ骨)の成長のズレ、肋軟骨の変形、遺伝など、原因としてさまざまなものが挙げられていますが、完全にはわかっていません。

生まれたときから見られる場合と成長するにしたがって凹みが現れる場合があり、全体の7割ほどは小児期に発症します。

漏斗胸の代表的な症状は?

幼少時に多い症状として

  • 風邪の咳が長引く
  • 風邪が長引くことによる気管支炎や肺炎の発症
  • 気管支喘息のような症状を引き起こす
  • 食が細い
  • おう吐することが多い

などが挙げられます。

また、学童期には、疲れやすい、運動についていけないなどのほか、症状をからかわれるなどして心に問題を抱えることがあります。
こうしたコンプレックスは将来に大きな影を落とすこともあるため軽視はできません。

また思春期以降には、ほとんどの人が猫背になるといわれています。
長く運動できない、疲れやすいなどに加え、胸の痛みを訴えることもあり、学業や仕事に支障をきたすほどの圧迫感に苦しむこともあるようです。

その他、肺炎や気管支炎、気管支喘息、消化器系の病気の発症リスクとの関係も指摘されています。

漏斗胸は自然治癒するの?

漏斗胸は3歳ころまでに自然に治ってしまうこともあり、基本的には治療の必要はないとされています。
ただし、6歳を超えると自然治癒の可能性はほとんどなく、成長にともない少しずつ凹みは大きくなっていきます。

変形が進むと圧迫から肺活量や気管、気管支などに影響が出たり、心臓の働きを少なくしたり不整脈を起こすことがまれにありますが、乳幼児では呼吸による「疑似漏斗胸」も可能性も考えられます。
3歳ころまではゆっくりと経過をみて、その後改善が見られないようであれば一度医師に相談することをおすすめします。

成人になると目立たなくなることもありますが、これは皮下脂肪で隠されただけで骨の変形が治ったわけではありません。大人になって変形自体が自然に改善するということはまずないでしょう。

漏斗胸はどうやって治療するの?

漏斗胸は軽度な場合には治療の必要がないことも多いですが、大きく胸部が凹んでいることで外見にコンプレックスがある方や心臓や肺の機能が悪くなっている方は治療が必要になることもあります。

漏斗胸の治療は、肋骨の柔らかい子供時代であれば大きな吸盤を胸部に装着して吸い上げる方法が行われることもありますが、基本的には手術が必要となります。

以前は肋軟骨と肋骨を切除して凹みを矯正する方法が行われていました。しかし、この方法は身体の負担が大きいため、近年では内視鏡を胸腔内に挿入して細いヘラのような棒で凹みを持ち上げる「Nuss法」と呼ばれる方法が主に行われます。

この方法では挿入した棒が2~3年をかけて徐々にへこみを改善し、十分な効果が得られたら抜去する再手術が必要となります。

おわりに:漏斗胸は将来コンプレックスにつながる可能性も。治療のタイミングは医師と相談しながら慎重に

漏斗胸は命に関わるような症状につながるわけではありませんが、見た目などのコンプレックスが原因で日常生活や学業に影響する場合があります。自然治癒するケースもあり、重症度などで治療方法も変わってくるので、治療のタイミングや治療方法については医師と相談しながら慎重に決めるようにしてください。

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