子育て
子どもも膀胱炎になることがあるって本当?
2021年6月2日
子どもが膀胱炎を発症する原因は?
膀胱炎の原因は尿道口からの細菌感染であることがほとんどです。細菌感染を引き起こす主な細菌は大腸菌ですが、その他のさまざまな菌が膀胱炎を引き起こします。これは、肛門が尿道の近くにあることによって大腸菌などが尿道から膀胱へと入り込みやすいためです。
通常は膀胱に細菌が入っても排尿するとき一緒に洗い流されますが、尿を我慢してしまうことなどが原因で細菌が繁殖することで発症につながります。
特に女の子の場合は男の子よりも尿道が短くて肛門と膀胱の距離が近いため、後ろから前にお尻を拭くと尿道付近に大腸菌がつきやすくなり、膀胱炎になりやすいと言われています。
子どもには、十分に水分補給をすること、尿を我慢しないこと、女の子にはうんちのあと前から後ろに拭くことを習慣づけるようにしてあげると良いでしょう。
子供が膀胱炎になるとどんな症状が見られるの?
赤ちゃんは言葉で痛みを伝えることができないので気づくのが難しいですが、なんとなく機嫌が悪くなる、排尿時に泣くなどの変化が見られたら膀胱炎になっている可能性があります。
そのような変化があれば、できるだけ早く医師に診てもらいましょう。
小学生以上の子どもであれば以下のような症状が見られます。
◆トイレに行く回数が増える
◆排尿時に痛みを伴う
◆尿が出にくくなる
◆お腹や背中に痛みが出る
加えて、尿がいつもより臭ったり排尿時に強い痛みや血尿が出たりということもあります。
また、膀胱炎と同時に発熱がみられる場合は腎機能にも感染が及んでいる可能性が高いので注意が必要です。
子どもは自分の症状を気にしていなかったり、気にしていてもうまく説明できないことが多いため、膀胱炎を発見するには親が変化に気づくかどうかが重要です。日頃から子どもの排尿の回数が通常時より増えていないかどうかを注意して見ているようにしてください。
子どもが感じている残尿感や痛みに関しては、おかしいなと思ったときに直接聞いてあげましょう。
子どもの膀胱炎はどうやって治療するの? 予防はできるの?
膀胱炎は問診で症状を確認し、尿検査で細菌や白血球や赤血球の状態を確認して診断されることが多いです。
子どもが自分で排尿できる場合は、中間尿の採取だけで診断されますが、まだおむつか取れていないようなトイレトレーニングが済んでいない子どもについては、ビニールバッグでの採尿が選択されることが一般的です。ただし、ビニールバッグでの検査は精度が落ちるため、カテーテルで採尿が行われる場合もあります。また、必要に応じて超音波検査や他の画像検査を追加することもあります。
そして、検査で原因菌が特定された場合は原因菌の除去に適した抗生物質(抗菌薬)が処方されます。通常は抗菌薬の服用(3日~10日間程度)で改善しますが、発熱を伴う場合は腎盂腎炎などの重篤な症状に発展している可能性があるため抗菌薬の服用期間が長引くこともあります。また、食欲がない場合は脱水の危険性があるため点滴で抗菌薬を投与されることもあります。
子どもの出血性膀胱炎(アデノウイルスが原因)はウイルス性のものが多いため、抗菌薬では治療ができません。現段階では特効薬が見つかっていない状態です。
子どもの膀胱炎予防するには、どんなことに気をつければ良い?
自分でトイレができるようになる幼児の頃から健康的な排尿習慣をつけさせるようにしてください。
子どもが膀胱炎を発症する一番の原因となるのは尿を長時間がまんすることです。排尿は膀胱や尿道から細菌を取り除く重要な作業なので、1日に6回以上はトイレに行かせるようにしましょう。また、十分に水分を補給することも重要です。特に女の子には、お尻を拭くときは前から後ろに拭くように教えてあげてください。
さらに、便秘になると骨盤内で充血が起きて細菌が繁殖しやすくなることで大腸菌が増えやすくなります。そのため、普段から食物繊維をたくさんとるなどして便秘を防ぐことが大切です。食物繊維をきちっと摂り、適度な運動を行なわせるようにしてください。
おわりに:トイレの回数が多い、排尿時に痛がるなど、いつもと違う様子ならば膀胱炎の可能性アリ
トイレの回数が増える、排尿時に痛がる様子があるなど、お子さんがいつもと違う状態であれば早めに病院で診てもらうと良いでしょう。
また、トイレを我慢しないこと、水分補給をすること、お尻の正しい拭きかたなどの、膀胱炎にならないための対策を教えてあげてください。