子育て
点頭てんかんの症状に気づくには、どんなことに気をつければいい?
2021年5月6日
点頭てんかんとは?
点頭てんかんは1歳未満の赤ちゃんに発症する小児てんかんの一種です。
1841年にイギリス人医師のウエスト医師が自身の息子の病状を発表したことから、ウエスト症候群と呼ばれることもあります。生後3~11ヶ月に最も発症しやすく、2歳以上の発症は稀です。
点頭てんかんは深刻な「てんかん性脳症」につながる危険性があります。
「てんかん性脳症」とは赤ちゃんから幼児期のてんかん発作によって発症する、治療の難しい疾患です。特異的な脳波の形を現し、精神の発達を遅らせたり重症になると運動障害を引き起こす可能性があります。
点頭てんかんの発作や症状の特徴って?
点頭は「うなずく」という意味で、点頭てんかんはその名の通り特徴のある発作が見られます。
- 突然頭を前に倒して頷くような仕草をする
- 両手を振り上げる
- 体を折り曲げてお辞儀をするような体勢になる
発作時にも意識があるため、また、一般的に知られているてんかんの発作とは様子が異なるために、発見や治療が遅れてしまう傾向が高いです。
気をつけるべき症状
点頭てんかんでは次のような症状や様子の変化が見られます。気になる項目がある場合は、できるだけ早く病院を受診して検査をけるようにしましょう。
- ぼんやりした状態が増える
- 笑いかけや呼びかけに対する反応が乏しくなる
- 首のすわりが悪くなる
- お座りができなくなる
- 機嫌が悪いことが増える
点頭てんかんはどうやって治療するの?
点頭てんかんの診断は発作の様子や、発達の停滞・発達の有無、脳波を調べることで行います。
基本的には発作を観察し、その後他のてんかんやてんかん以外の痙攣の可能性がないかどうかを確認するために脳波やMRI検査を行うことが多いです。
点頭てんかんは投薬または外科手術で治療を進めていきますが、日本では副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)による治療が有効とされています。
ただ、ACTHは副作用が出やすいことから、より副作用の少ないビタミンB6による療法、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)の注射、ケトン食療法などが選択されることも多いです。
頭部の画像診断で脳に異型細胞が発見された場合、切除が可能であればてんかん外科治療が行われることもあります。
大人になったら点頭てんかんは治る?
点頭てんかんは発症から1ヵ月以内に治療を開始しないと、その後の精神発達や身体的な発達に影響を及ぼすという結果を示す研究もあります。
脳に修復できないような変化が発生しないうちに、できるだけ早く治療を行うことが大切です。
「点頭てんかんの発作かも・・・?」と感じたら、早急に専門医に相談しましょう。
可能であれば発作と疑われる赤ちゃんの動作を動画で撮影しておくと、医師がより正確な診断をしやすくなります。
おわりに:お子さんに気になる症状が見られたら、早めに病院で診察を
点頭てんかんの恐さは、発見が遅れると精神発達の遅れや運動障害につながるところにあります。また、一般的なてんかんと症状が異なり見過ごしてしまいがちなところも注意が必要な点です。
お子さんに気になる動きや点頭てんかんが疑われる症状がある場合は、速やかにかかりつけ医に相談し、専門医や機関を紹介してもらいましょう。