子育て
子供の溶連菌感染症の症状は?家庭内の感染を防ぐ方法はある?
2020年2月10日
子供の感染が多い溶連菌感染症とは
溶連菌(溶血性連鎖球菌)感染症は、主にA群β溶血性連鎖球菌が原因で生じる感染症です。喉に感染することが多く、咽頭炎や扁桃炎、発熱を伴う発疹などの病気を引き起こします。
溶連菌にはα溶血とβ溶血の2種類があり、ヒトに感染する可能性のある溶連菌はさらにA群・B群・C群・G群などに分かれます。
しかし、溶連菌感染症の9割以上がA群によって引き起こされるので、「溶連菌感染症」はA群溶血性連鎖球菌(A群β溶血性連鎖球菌)のことを指すのが一般的です。
子供の溶連菌感染症の症状
代表的な症状は38℃以上の高熱とのどの痛み、手足などにあらわれる発疹、舌の表面にできるいちごのようなブツブツした赤み(いちご舌)などです。
多くの場合、罹りはじめは上記に加えて食欲不振や吐き気などといった風邪のような症状がみられます。
その他には扁桃腺や首のリンパ節の腫れ、急性期後に発疹のあとの皮が向ける(落屑:らくせつ)などの症状があります。
溶連菌には潜伏期間があるため、発症には感染から2~5日ほどかかることが多いです。
溶連菌が疑われるサイン
子供は学校や幼稚園などで溶連菌に感染する機会が多いですが、症状を正確に訴えることができない場合もあります。
溶連菌感染症は合併症の予防のためにも早期の治療が大切であり、以下のような症状が見られる場合は、なるべく早めに病院を受診して検査を受けるようにしましょう。
- 喉が痛み、つばが飲み込みにくくなることでよだれの量が増える
- 飲食の量が減り、特に水分を飲みたがらない
- ぐったりしていて元気がない
- 機嫌が悪くなる
- 高熱が出る
- 舌が赤くなる
溶連菌の合併症に注意
医師の判断にもよりますが、診断後には解熱剤やのどの薬に加えて抗生物質が処方されることが多く、薬を飲み始めると2~3日で熱が下がる・のどの痛みが和らぐなど、症状の改善がみられます。
しかし、症状が軽くなったからといって勝手に服用をやめてしまうと、合併症を発症することになるので注意が必要です。
代表的な合併症はリウマチ熱(発熱と手首、ひじ、ひざ、足首、肩などの関節痛)と急性糸球体腎炎(細菌感染によって生じる腎臓の炎症のこと。腎炎の他、全身性の炎症があらわれる)です。
特に子供は「もう治った」などと言って薬を飲むのを嫌がるかもしれませんが、合併症を防ぐためにも処方された抗生物質はきちんと飲み切るようにしてください。
尚、抗生物質を飲み始めて2~3日が経過しても症状が改善しない場合には、薬が合わない又は体が水分不足になっている可能性があるので、もう一度病院で診察を受けた方が良いでしょう。
学校や保育園に行ってもいいタイミングは?
厚生労働省のガイドラインでは、目安として抗生物質の内服後24~48時間経過していれば(ただし、治療の継続は必要)学校や保育園に行っても良いとされています。
しかし、上の項目で説明したように、溶連菌感染症は完治しないと合併症を招く危険性が高いです。
そのため、登園・登校の前には、事前に医師の診察を受けるようにしましょう。
一般的に完治したかどうかを確認するには発症から2~3週間ほどを要し、尿検査をして血尿が出てないかどうかをみて判断することが多いです。
溶連菌は、家庭内での感染の対処も重要!
溶連菌は感染力が非常に強い細菌です。このため、大人・子供に限らず家庭内でも感染させ合うことがあります。
家族に感染者がいるときは、飛沫感染・接触感染ともにしっかりと対策を行って感染を広げないようにしましょう。
対策方法としては、感染者に近づくときはマスクを着用し、こまめに手洗いと手指消毒を行いましょう。また、食器の使いまわしや飲み物の飲みまわしは避け、電気スイッチやドアノブなど手が触れやすい部分はアルコール消毒をするとよいでしょう。
おわりに:溶連菌は合併症の危険も。学校に行くタイミングは医師に相談しよう
溶連菌感染症はきちんと治さないと重篤な合併症につながる危険性があります。
子供を学校や保育園に行かせるタイミングは自己判断をせず、医師に相談しましょう。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。