子育て
うちの子の様子がおかしい…。受験生に忍び寄る「受験うつ」とは?
2020年1月6日
受験うつとは
受験そのものへのプレッシャーや勉強の焦りなどから、中学校・高校・大学受験に際して子供が発症するうつ状態が「受験うつ」です。一般的に「受験によるうつ」と言うと大学受験の際に発症するイメージがありますが、受験うつは中学受験に臨む小学生でも発症することがあります。
受験うつは、特徴ごとに以下3つのパターンに分類されます。
プレッシャー型
周囲からの期待をプレッシャーに感じて発症する
モチベーション喪失型
勉強する気力も、合格する自信も喪失して発症する
比較・競争型
他の受験生と自身を比較して劣等感を持つことで発症する
受験うつの原因となるものは?
受験うつの原因は、受験までのプロセスで感じるプレッシャーや不安と言われています。受験にかかわるプレッシャーや不安が、受験に向けて頑張る子供にストレスとしてのしかかり、やがて受験うつを発症させるのです。
以下に、受験うつの原因となるストレスの一例をご紹介します。
- 自分が受験を控えていることによる、親や学校の先生の対応の変化
- 親や先生など、周囲の大人の期待を裏切りたくないという気持ち
- 受験勉強が思ったように進まなかったり、成績が思うように上がってくれない
- 受験勉強がうまくいかないために、自分には何の価値もないように感じてしまう
- 他の同級生と話していて、成績を比べて、自分が非常に劣っているように感じる
- 周囲の大人が、そして自分も、成績のちょっとした変化や失敗に敏感になる
- 受験勉強で辛い思いをしているのに、周囲の大人は「頑張れ」と言うだけで助けてくれない
受験うつでみられる症状は?
受験うつになると、子供の体と心に以下のような症状がみられるようになります。
体への症状
- 寝つきが悪い、熟睡できないなどの睡眠障害
- 拒食、もしくは過食
- 常にエネルギー不足のように感じ、強い疲労感がある
- 集中力がなくなり、いつもソワソワして落ち着きがない
- やたらと友達、家族と距離を置きたがる
心への症状
- 受験勉強をはじめ、何に対してもむなしさや無気力感を持つ
- 何にも興味、やる気が湧かない
- 集中力も記憶力も低下し、勉強への情熱ややる気がなくなった
- なぜか悲しみや絶望を感じ、頻繁に泣いてしまう
- 常にイライラや怒り、敵意を自分の中に感じる
- 自分は無価値な存在だと感じ、常に罪悪感がある
- 死にたい、消えたい、自殺したいという気持ちがある
もしかして受験うつでは…と思ったら
受験を経験する思春期は、体も心も大きく変化する時期です。このため、受験うつも単なる思春期による感情の揺れと見過ごされる傾向があります。しかし、受験うつは発症すると受験勉強に支障をきたすだけでなく、子供の心身を少しずつ蝕み、最悪の場合死に至らしめる可能性もある恐ろしいものです。
受験うつからくる症状に気付けずにいると、あなたのひと言が引き金となり、子供を自殺に追いやってしまうこともあり得ます。ある調査によると、多くの子供が高校受験や大学受験を経験する15~19歳の死因トップは自殺であることも明らかになっています。日ごろから子供の様子には気を配り、異変がないか注意深く見守るようにしてください。
子供に受験うつが疑われる変化がみられたら、まずは家庭で以下のように対処しましょう。
- まずは休養をとらせて、心身をリラックスさせる
- 生活を規則正しく整え、うつの原因因子を減らす
- 親の期待を押し付けず、温かい目で見守りプレッシャーから解放してあげる
- 不安に思っていることを聞いてあげる、または子供が信頼している人に聞いてもらうようアドバイスする
- 幸せホルモン「セロトニン」を多く含む乳製品や大豆製品、動物性タンパク質、バナナなどを積極的に摂らせて、脳のバランスを整える
上記の対処をしても子供のうつ症状が続くようなら、精神科や心療内科のある医療機関に相談し、専門家にサポートを求めましょう。
おわりに:子供の様子を注意深く観察し、受験うつの辛さから守ってあげよう
受験うつは、周囲の大人からのプレッシャーや劣等感、勉強への焦りや不安が原因で、子どもが発症するうつ症状のことです。受験という競争にストレスや辛さを感じるのは、大人だけではありません。受験に伴うストレスから、小学生でも受験うつになる可能性は十分にあります。日頃から子供を注意深く観察し、受験うつを疑うような変化がないか見守ってあげてください。もし異変があれば、心身を休められるようすぐに対処してあげましょう。