出産
産後うつと育児うつの対処法 ― マタニティブルーとは違うの?
2019年5月1日
産後うつ・育児うつの症状は?マタニティブルーとの違いは?
体力が回復しきっていない産後、ホルモンバランスも不安定な中で睡眠時間を削りながら赤ちゃんのお世話をすることで、多くのお母さんが経験するのがマタニティブルーです(特に新米ママはなりやすいといわれています)。
マタニティブルーになると、イライラや不安感、憂鬱などの感情が芽生えますが、これらは一般的な症状であり、多くの場合は産後数週間で自然となくなっていくものです。お母さんのホルモンバランスが戻れば、元気に赤ちゃんのお世話ができるようになります。
一方、産後うつ(PPD)はこれよりもはるかに長引きます。産後3ヵ月以内に発症しやすく、下記のような強烈なネガティブな感情や身体症状が継続します。
- 悲しみ、絶望感
- 赤ちゃん(あるいは自分自身)の世話をする気が起きない
- 「自分は母親失格だ」と思う
- 強迫観念に駆られる
- 極度の疲労
- 不眠症
- 記憶障害
ごくまれに、産後精神病を発症してしまうお母さんもいます。産後精神病は産後うつよりはるかに重度のもので、母子両方を傷つける幻覚や妄想が症状に含まれます。
産後うつ育児うつになりやすいのはどんな人?
下記に該当する方は、産後うつのリスクが高いといわれています(該当しない方も発症する可能性はあります)。
- 個人的あるいは家系的にうつ病の経験がある(産後うつを含む)
- 深刻なPMS(月経前症候群)がある
- 妊娠中にうつ病になったことがある
- 困難な妊娠または出産をした
- 生活を支えてくれる人がいない(少ない)
- 赤ちゃんが慢性的な病気を持っている
産後うつや育児うつは、繰り返すこともあるの?
産後うつや育児うつは出産経験のある女性の約10%が経験する病気であり、決して他人事ではありません。また、産後うつや育児うつは症状がよくなったとしても、再発を起こしやすいのが特徴で、再発を重ねるごとに症状が悪化することも少なくありません。
特に、二人目以降の出産や、転勤などによる住環境の変化、職場復帰など生活パターンが大きく変わる時に再発を起こしやすいとされています。これらの「うつ状態」を放置すると、子供の成長に伴って育児がひと段落した後も、気分の落ち込みや不眠などのうつ状態を引きずることがあります。
育児中に、気分の変調を自覚した場合には、早めに心療内科や産婦人科などを受診して適切な治療を受けるようにしましょう。また、産後うつや育児うつは自身で症状を自覚しないことも多々あり、パートナーや家族など周囲の人は、異変に気づいたら病院受診に付き添うなどのサポートを心がけるようにしましょう。
産後うつ・育児うつのセルフチェック ― 病院に行くか迷ったらやってみよう
「産後うつかもしれない」と思ったら、まずは自分に下記の3つの質問を投げかけてみてください。
- 良くないことが起きたとき、不必要に自分自身を責めたことがある
- 特に理由もなく、怖くなったりパニックになったりしたことがある
- 特に理由もなく、不安や心配になったことがある
いずれかあるいはすべてに「はい」「ときどきそうなる」という場合は、専門医を受診しカウンセリングを受けることをおすすめします。
産後うつを治療するには?
もし産後うつだと診断されたとしても、安心してください。早く治療を受ければ受けるほど、産後うつは治る可能性が高いです。産後うつの主な治療法には、対話療法と抗うつ薬があります。また、光療法が取り入れられるケースもあります。
ほかにも、オリーブ油、サケ、マグロ、くるみなどに豊富に含まれるオメガ3脂肪酸は気分を良くする効果があるとされています。食事に取り入れるのがおすすめですが、サプリで摂取する場合は医師に相談してからにしましょう。
また、上記の治療以外にできるセルフケアを下記でご紹介します。 家族や友人に助けを求める 料理や洗濯などの家事を代わりにお願いしましょう。全部自分でやろうとしないことが大切です。周りのサポートを受けることで元気を取り戻し、育児と向き合えるようになったお母さんは数多くいるので、申し訳なく思う必要はありません。 自分のための時間をつくり、心身を休める 夜間はパートナーに赤ちゃんを看てもらい、睡眠時間を増やす 新鮮な空気と気分転換のため、少なくとも1日1回は家から出る 同じ立場のお母さんとお喋りして気持ちを発散する 保育園を上手く利用する
おわりに:早めに症状に気づいて早めに受診することが大切。周りにも助けを求めて!
当てはまる症状はあったでしょうか。マタニティブルーの段階であればそこまで深刻にとらえる必要はありませんが、育児をする気が起きないなどの状態が続くようであれば、産後うつの可能性があるので早めに病院を受診してくださいね。
産後うつを治すには早めに治療を始め、周りからのサポートを得ることが大切です!周囲の人もできるだけ早く変化に気づいてあげられるように、気をつかってあげましょう。