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糖尿病の人が夏に気をつけたほうがよいこととは?
2024年9月4日
糖尿病の人が夏に注意が必要な理由
日本の夏は気温と湿度の両方が高くなるため、屋外にいるだけで大量の汗をかきます。このため、健康な方でも大量発汗で失った水分をしっかり補給しないと、脱水状態に陥り血液がドロドロになり、血流が悪化します。血流が悪化して滞ると、脳や心臓の血管が詰まることで発症する脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まります。なお、脳梗塞・心筋梗塞の発症リスクと糖尿病の相関性について、それぞれ以下のような報告が国内外でされているといわれています。
- アメリカの糖尿病患者のうち、7割近くは脳梗塞・心筋梗塞で死亡している
- 日本人の糖尿病患者は、そうでない人に比べ脳梗塞・心筋梗塞発症リスクが2~3倍高い
- 日本の脳梗塞発症者の約半数、心筋梗塞発症者の約1/3に糖尿病が見られる
糖尿病がある人は健康な人に比べ、脳梗塞・心筋梗塞を発症しやすい傾向にあります。夏は、糖尿病以外の人でも脳梗塞・心筋梗塞の発症リスクが高まるため、もともとリスクの高い糖尿病の人にとって注意が必要な季節といえるでしょう。
脳梗塞や心筋梗塞の原因
脳梗塞や心筋梗塞は、いずれも血管が詰まり血流が著しく阻害される「梗塞」が原因で起こる病気で、この発症には動脈硬化が大きくかかわっています。動脈硬化は、動脈の最も内側の層にあたる内膜に大きなコブのようなものができることで血管が詰まってしまう病気です。内膜のコブは、タンパク質に包まれて血中に漂っているコレステロール「リポ蛋白質」からできています。リポ蛋白質は、血中の糖と結合して変化・酸化することで血管内膜に蓄積されていく性質を持っており、少しずつ蓄積されるうちに「プラーク」という塊となります。
なお、血中の糖の量が多い高血糖状態が続く糖尿病の人の方がプラーク形成が促進されやすく、血中のコレステロール値にかかわらず、慢性的に血糖値が高い糖尿病の人の方が、脳梗塞・心筋梗塞の原因である動脈硬化にもなりやすいといわれています。
糖尿病の人は熱中症にもなりやすい
糖尿病の人は、脳梗塞・心筋梗塞だけでなく、以下のような理由から熱中症のリスクも高いといわれています。
- 体温調節を司る、自律神経の働きが乱れやすい
- 皮膚の血流障害が起こりやすく、発汗に異常が出て熱がこもりやすい
上記のような特徴は、高齢者や乳幼児とも共通しています。糖尿病の人は、のどの渇きを感じる前にこまめに水分を摂ったり、夏場は不要の外出を避けたりするなど、熱中症対策を怠らないようにしましょう。
糖尿病の人が夏に気をつけること
夏は、水分をこまめに補給して脱水予防を心がけることが、脳梗塞・心筋梗塞・熱中症の予防につながります。のどが渇いていなくても、あまり汗をかいていないようでも、体内の水分は常に少しずつ失われています。また、補給した水分は20分ほどしないと血流に影響しません。以下に注意しながらこまめに水分を補給しましょう。
- のどがかわく前に水分を補給する(1時間に1回程度を目安に200mlの水分を摂るようにする)
- 糖分を含まない飲みもので水分を補給する(基本的には水で補給する)
- 状況に応じて、スポーツドリンク・経口補水液などで電解質も補給する(条件などは医師に相談する)
- お酒やコーヒーは利尿作用があり、水分として吸収されにくいため水分補給用としては控える
- 就寝前の大量飲酒を避け、飲酒した日は寝る前にコップ1杯の水を飲む
おわりに:夏は脱水に十分注意し、生活習慣も見直そう
大量に汗をかく夏は、健康な人でも動脈硬化や脳梗塞・心筋梗塞、熱中症などを起こしやすくなります。もともと脳梗塞・心筋梗塞を起こしやすく、自律神経の働きが乱れやすい糖尿病の人には非常に危険な季節と言えます。糖尿病の人は、そうでない人に比べ脳梗塞や心筋梗塞、熱中症やこれらの原因である脱水症状を起こさないようこまめな水分補給を心がけ、食生活・運動習慣・睡眠習慣などの生活習慣も見直すようにしてください。