妊娠
避妊リングってどんなもの?ピルとの違いは?
2022年4月27日
避妊リングとは?
避妊リングとは別名「子宮内避妊用具」とも呼ばれ、子宮内にリング状の避妊用具を挿入しておくことで、受精卵の着床を防ぐ効果のある避妊具です。ピルと同じくらい確実な避妊効果を得ることができ、一旦挿入すると2~5年にわたって避妊効果を発揮し続けてくれます。
このため、生活習慣や持病などにより定期的・継続的なピルの服用が難しい人や、多忙で継続した通院が難しい人、今後長期的に妊娠を考えていない人にはおすすめの避妊方法です。
避妊リングって何種類あるの?
避妊リングには大きく分けて「ミレーナ®︎」「ノバT®︎」の2種類があり、どちらも子宮内に挿入するという点は共通していますが、避妊のための仕組みが異なります。
以下に「ミレーナ®︎」と「ノバT®︎」の特徴や作用の違いをそれぞれまとめました。
避妊リング「ミレーナ®︎」の特徴
女性ホルモンの一種である黄体ホルモンの薬剤を付加した避妊リングです。ピルの持つ「ホルモンの作用による避妊効果」と、避妊リングの持つ「異物反応による長期的な避妊効果」の両方を併せ持っており、IUSとも呼ばれています。
付加された黄体ホルモンは子宮内で少しずつ放出され、避妊と同時に経血となる子宮内膜を薄くし、月経による諸症状を抑える効果も発揮します。
避妊リング「ノバT®︎」の特徴
コイル状に巻き付けた銅線を子宮内に挿入することで異物反応を起こし、精子の活動を低下させたり、子宮粘膜の質を変えることで避妊効果を発揮する避妊リングです。
先に紹介したIUS「ミレーナ®︎」と違い「ノバT®︎」はIUDと呼ばれ、ホルモンの薬剤を使用せず、異物反応のみで高く長期的な避妊効果を期待できます。
避妊リングとピルの違いは?
女性ホルモンの作用によって避妊効果を得るという点は同じですが、避妊リングミレーナ®︎とピルには、以下のような違いがあります。
避妊リングミレーナ®︎とピルの違い
- 添付されている女性ホルモンの種類の違い
- ミレーナ®︎は黄体ホルモンのみだが、ピルは黄体ホルモンとエストロゲンの2種類が主流
- 使用方法の違い
- ミレーナ®︎は一度挿入すると5年間ほど有効だが、ピルは毎日決まった時間に飲み続ける必要がある
- 女性ホルモンが作用する範囲の違い
- ミレーナ®︎の女性ホルモンは子宮内にのみ作用するが、内服薬のピルは全身に作用するので、血液中のホルモン量が増え、作用が臓器など全身に及ぶ
- 使用できる人の条件、範囲の違い
- ミレーナ®︎に比べ、ピルは服用できない「禁忌」の範囲が広いといわれている
避妊リングにデメリットはないの?
ここまで紹介してきたミレーナ®︎・ノバT®︎など避妊リング(IUS・IUD)のメリットをまとめると、以下のようになります。
避妊リングを使用するメリット
- 女性の意思を主体として、90%以上の確率で避妊ができる
- 高年齢や持病があるなど、ピルが飲めない人でも使用できる場合がある
- 一度挿入すれば、長くて5年もの長期にわたって避妊効果が持続する
- ピルとは違い毎日飲む必要がないので、避妊に煩わされる心配がなくなる
しかし一方で、デメリットとしては以下のような要素が挙げられます。
避妊リングを使用するデメリット
- 挿入の処置は自分でできないので、通院して医師による装着と除去が必要になる
- 毎月の経血量や不正性器出血が増える可能性がある
- 副作用として月経過多や腹痛、不正出血、疼痛などを伴うことがある
- 妊娠・出産経験のない女性は、使用にあたって医師に相談しなくてはならない
また、以下の条件に1つ以上当てはまる人は「IUDを装着してはいけない」「IUD装着にあたって注意が必要な人」と判断されます。
- 銅に対してアレルギー反応、IUDに対して迷走神経反射を起こしたことがある
- 性器または子宮、その周辺に腫瘍や形態異常、何らかの炎症、感染症などがある
- 原因不明の不正出血や、貧血による月経過多が見られる
- 子宮外妊娠を経験したことがある
- 現在妊娠している、または妊娠している可能性がある
- 過去に出産経験が一度もない
- 授乳中である
- 先天性の心疾患、または心臓弁膜症がある
- てんかんの持病がある
- 血液を固まりにくくする薬を服用している
- 副腎皮質ホルモンの長期投与を続けている
- 産婦人科を含め、身体のどこかに重篤な疾患・持病がある など
避妊リングを使用できるかどうかは、最終的には医師の判断によって決定されます。特に将来的な妊娠を考えている場合は、避妊リングの使用にあたって気になることはすべて医師に確認し、判断を仰いだうえで使用するかどうかを決めてくださいね。
おわりに:避妊リングは一度の挿入で、長く高い避妊効果が期待できる!
飲み忘れの恐れや持病などにより、ピルの服用が難しい人にとって、同程度の高い避妊効果が長期的に得られる避妊リングは、魅力的な選択肢です。しかし、メリットが多い一方でデメリットもあり、使用に注意が必要な場合もあります。避妊リングに興味がある方は、産婦人科の医師に相談して効果やリスクをよく理解したうえで、避妊リングを使用するかどうかを決めてください。