妊娠
ダウン症かどうかはいつ分かるの?どんな検査をするの?
2019年5月1日
ダウン症かどうかは出産前から分かるって本当?
出産前に赤ちゃんの病気や障害を把握する出生前診断でわかるのは、染色体に異常があるダウン症や、赤ちゃんの臓器に器質的な以上がある場合(心疾患や二分脊椎など)、特定の遺伝性疾患などです。ダウン症の可能性を判定する出生前診断や、確定診断で用いられる検査について以降でご紹介します。
ダウン症の可能性を見る検査
ダウン症である可能性をチェックするものが次の検査です。いずれも確定診断はできず、必要であれば羊水検査を行うことになるでしょう。
- エコー検査 妊娠10〜15週ごろに実施できます。エコー検査は改めて行うというよりは検診の過程で行われます。手足の障害や、顔の特徴、首の後ろのむくみなど、視覚的に確認できるものをチェックします。
- 母体血清マーカー 妊娠15〜21週ごろに実施できます。母体の血液から胎児の染色体異常を調べる検査です。確定はできません
- 新型出生前診断(NIPT) 妊娠10〜18週ごろに実施できます。母体の血液から特定の染色体異常を調べる検査です。確定はできません
ダウン症の確定診断に用いられる検査
ダウン症の確定診断に用いられる検査は以下の通りです。いずれもお腹に針をさす方法のため、流産のリスクがあります。
- 羊水検査 妊娠15〜18週ごろに実施できます。お腹に針をさして子宮内の羊水をとり、羊水から胎児の細胞の異常を検査します。
- 絨毛検査 妊娠10〜15週ごろに実施できます。お腹に針をさして胎盤になる前の絨毛という組織を取ります。
新型出生前診断(NIPT)とは?
新出生前診断は、2011年にアメリカで始まり、日本でも2013年に臨床研究として始まった新しい検査です。
母体の血液から遺伝子を解析して、赤ちゃんの染色体異常を判断します。この検査は陰性(-)の結果については99.9%の確率で「ダウン症ではない」といえます。しかし、陽性(+)時にダウン症であるという確定はできず、確定をするためには羊水検査を受けなければなりません。
新出生前診断は実施している病院も少なく、受けるためにも以下のいずれかの条件を満たしている必要があります。
- 35歳以上の妊婦
- 21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーといった染色体異常のある赤ちゃんを妊娠、出産したことがある妊婦
- 医師によって、胎児に染色体異常の可能性を指摘された妊婦
ダウン症だと分かる確率はどれくらい?
従来の検査においても、新出生前検査においても、血液検査や超音波検査のみでダウン症だと100%確定できる検査はありません。身体に負担の少ない検査から行い、確定診断までには複数の検査を用いることになります。それぞれの検査においてダウン症である確率を紹介しておきましょう。
エコー検査
エコー検査でダウン症かどうかを判断することは大変難しく、精度は約50%程度といわれています。特に首のむくみの測定が難しく、たとえ正確に測れたとしてもダウン症であると確定するには至らない検査です。
母体血清マーカー
母体血清マーカーは血液中の3つの成分の分析を行うトリプルマーカーテスト、4つの成分の分析を行うクアトロマーカーテストがあります。測定する血液中の成分が多いクアトロテストは、トリプルマーカーと比べて、ダウン症の診断精度が高くなります。しかし、いずれにおいても85〜87%の確率であり、確定診断には用いられません。
羊水検査
羊水中にある胎児の細胞を用いる検査です。そのため陽性(+)であれば、ダウン症であると確定できます。
絨毛検査
胎盤を作る絨毛を採取して解析する検査です。陽性(+)であれば、ダウン症であると考えてほぼ間違いありませんが、胎盤と胎児の細胞が異なる場合もあるため、結果は100%正しいとは言えません。
おわりに:検査によって精度やリスクは異なる。医師とよく相談を
出生前検査は、ダウン症や先天性奇形などいくつかの疾患の診断を行います。2013年に始まった新出生前診断を用いても、確定診断までには複数の検査を行うことになるでしょう。また、羊水検査や絨毛検査は確定診断に用いられていますが、流産のリスクがあることには注意が必要です。