妊娠
妊娠糖尿病は予防できる?予防のためのおすすめレシピはある?
2019年4月30日
妊娠糖尿病の診断基準と発症のメカニズムは?
妊娠糖尿病とは、妊娠中に血糖値が高い状態で注意が必要な糖代謝異常のことを言います。特に妊娠中は胎盤で血糖値を上げやすいホルモンが分泌されるため、妊娠中期を過ぎるとインスリンが効きにくい状態となり、血糖値が上がりやすくなってしまう特徴があります。
特に妊娠後期になると高血糖になる場合があり、一定の基準値を超えることによって妊娠糖尿病と診断をされます。妊娠中に発症したり発見した糖尿病に比べると軽度ですが、赤ちゃんや母体に悪影響を及ぼすので注意が必要です。
通常、妊娠中期以降はすい臓がインスリンを多く分泌して血糖値を上げないよう調整をするのですが、すい臓から必要な量のインスリンを分泌することができなかったり、インスリンの働きの悪い体質だったりすると、血糖値が上昇してしまい妊娠糖尿病となってしまうのです。この膵臓からのインスリン分泌が出来ない状態やインスリンの働きの悪い状態を糖代謝異常と言います。検査をして初めて妊娠糖尿病と分かる場合も多く、妊娠糖尿病の検査は妊娠初期から行われます。
妊娠糖尿病の基準値
妊娠糖尿病は75gOGTTという検査の値によって診断が下されます。
75gOGTT検査とは、ブドウ糖を含んだ飲料を服用し、服用前、一時間後、二時間後の血糖値の推移を調べる検査です。
通常、ブドウ糖を多く体内に取り入れると、一時的に血糖値が上昇しますが、インスリンの作用によって徐々に血糖値の低下が生じます。しかし、妊娠糖尿尿の場合はインスリンの量や働きが十分ではないため、血糖値が高い状態が続くのです。
具体的には、以下の数値のいずれかに当てはまるものを妊娠糖尿病と診断します。
空腹時血糖値
92mg/dL以上
一時間後血糖値
180mg/dL以上
二時間後血糖値
153mg/dL以上
運動と食事で妊娠糖尿病を予防できる?
妊娠糖尿病を完全に予防するのは難しいことです。というのも、妊娠糖尿病になりやすい人の特徴として、家族に糖尿病がいる人、35歳以上の高齢出産の人、以前に大きな赤ちゃんを産んだことがある人、原因不明の死産や流産・早産の経験がある人、羊水過多の人といった自分ではどうしようもできないことが挙げられるためです。
ただ、その一方で肥満や妊娠高血圧症候群の人も妊娠糖尿病になりやすいといわれています。
この場合には、食事に気を遣って適度な運動を行うことで予防をすることができます。特にカロリーオーバーや甘いお菓子をはじめとする糖質の摂りすぎにならないようにしましょう。食事は和食中心でバランスの良い内容を食べ過ぎない程度に摂取することがポイントです。甘い物を食べ過ぎないことに加えて、塩分の過剰摂取も気を付けなければいけません。
なお、運動は意気込んでやらなければと負担に思うことはありません。普段の家事や散歩など無理なく生活に取り入れましょう。そして良質な睡眠もとても重要なことです。つまり規則正しい生活が糖尿病予防につながります。
妊娠糖尿病予防のためのレシピ
妊娠糖尿病を予防するには、毎日の食事に注意する必要があります。摂取カロリーを厳守することはもちろんですが、糖質が少なく、栄養が豊富なメニューを選ぶようにしましょう。
ここでは、妊娠糖尿病予防におすすめのレシピを3つご紹介します。
野菜たっぷりの素麺
素麺は少なめの半量にして、野菜をたっぷりトッピングすれば満足感のある主食になります。
大根は適量をすりおろして大根おろしにしておきます。素麺半束をゆでて、だし汁と醤油、みりんなどでお好みに味付けしたタレに投入し、その上になめこや大根おろし、トマト、レタスなどをトッピングすれば完成です。
チキンサラダ
鶏むね肉はカロリーと糖質が低いものの、良質なタンパク質を含みます。カロリーを抑えつつもしっかり栄養を摂るのにおすすめの食材であり、「お肉が食べたい」という食事制限中の希望も叶えてくれる優秀な食材です。
鶏むね肉は皮を除いて薄切りにします。蒸し器にもやしやキャベツ、カボチャなどお好みの野菜を敷き、その上にスライスした鶏むね肉を散らばせ、15~20分ほど蒸したら完成です。蒸しあがった胸肉は、野菜と一緒にポン酢でさっぱりいただきましょう。
ミルクプリン
食事制限中でもおやつは楽しみたいものですよね。カロリーや糖分が気になるところですが、甘みのある牛乳を使用することでカルシウムなどの栄養をしっかり摂れる一品を作ることができます。
牛乳に適量のはちみつとバニラエッセンスを加えてお好みに味付けし、表示通りに戻した粉ゼラチンを投入。よくかき混ぜて冷蔵庫で冷やせば完成です。
赤ちゃんと母体のためにも予防が重要!
妊娠糖尿病がいくら糖尿病に比べて軽度と言っても、赤ちゃんと母体には命に関わる重大な影響を及ぼします。母体への影響として考えられるのは、妊娠高血圧症候群や羊水過多、帝王切開率の上昇、膀胱炎などの合併症、そして早産や流産を引き起こすこともあります。
また、妊娠糖尿病となってしまうと、赤ちゃんも合併症を起こすことがあります。まず巨大児になるリスクが高くなり、巨大児になると出産時に帝王切開になる確率がぐんと上がります。また、出産の際に赤ちゃんの肩が引っかかって難産になる肩甲難産を引き起こすこともあります。新生児低血糖をはじめとする新生児の異常、小児期から成人の肥満、そして最悪の場合、子宮内胎児死亡を引き起こすこともあります。
それくらい、母体にも赤ちゃんにとっても妊娠糖尿病はとても怖い病気なのです。そのため、食事と運動に気をつけて発症予防に努め、定期検査で早期発見・治療を行うことで、母体や赤ちゃんへの合併症のリスクを防ぐことが重要になります。
おわりに:妊娠糖尿病は生活習慣の改善で予防できることもある!
妊娠糖尿病は年齢や家族歴などによって発症リスクが高い人もいるので、完全に予防する方法はありません。ただし、肥満や高血圧などの生活習慣の問題が発症の原因となることもあるので、日頃から食事や運動量に気をつけることで、ある程度発症率を下げる効果はあります。まずはできるところから改善していきましょう。