妊娠
ダウン症とは ー 症状や特徴、子育てのヒントについて
2021年3月4日
ダウン症(ダウン症候群)とは
ダウン症(ダウン症候群)とは、21番の染色体が1本多く存在していることが原因で発症する先天性の症候群です。通常、染色体の数は46本ですが、ダウン症の子供の場合、21番の染色体が1本多いため47本あります。21番目の染色体が3本あることにちなんで、「21トリソミー」とも呼ばれています。
ダウン症には、標準型、転座型、モザイク型の3種類あります。
標準型
受精卵ができる前の精子もしくは卵子が、成熟分裂をするときにうまくわかれなかった(不分離現象と言います)ことが原因で、遺伝とは無関係に起こるものです。3つのタイプのうち、最も多いダウン症がこの標準型です。
転座型
転座型は、21番の染色体がほかの染色体にくっついているときに診断されるダウン症です。標準型と異なり、転座型は遺伝も多少関係してきます。両親のうち、どちらかが転座型染色体を持っている場合、ダウン症を発症する可能性が高くなります。
モザイク型
一部の細胞にだけ21番目の染色体が3本みられるタイプで、発症は3つの中で最もまれです。障害の程度は、標準型や転座型と比べて軽いと言われています。
かつて、ダウン症を抱えて生まれてきた赤ちゃんの寿命は20歳前後までと言われていましたが、近年の医学の進歩によって、現在は60歳前後まで平均寿命が延びています。
ダウン症の症状
ダウン症を抱えて生まれてきた赤ちゃんには、以下のような特徴がみられます。
・頭が小さい
・顔つきが平坦である
・目がつり上がっている
・耳が小さい、もしくは耳の形が変形している
・手の指が短い
・体が柔らかい
・筋肉量が少ない
そのほか、ダウン症の赤ちゃんには先天性の心臓疾患や腸閉塞、目の障害(先天性白内障や緑内障)などがみられます。
また、ダウン症を発症すると筋力が弱いことが多いため、体重を支える力や平衡感覚が弱いことがあります。このため、運動機能の発達が遅れたり、肥満になりやすいといったことがみられます。また、健康な子供に比べると、言葉が出るのが遅いこともみられます。
ダウン症で特別な治療は必要?
ダウン症の赤ちゃんは先天的な疾患をもっていることが多いため、状況によっては病院での治療が必要になる場合があります。また、赤ちゃんが順調に成長しているかどうかを確認するためにも、定期的な通院が必要になるかもしれません。
場合によっては、平衡感覚や協調運動を身につけること目的にした理学療法が必要になることや、言語スキル、視覚と手の協調関係、社会的スキルなどの獲得のために、言語療法や作業療法などが行われる場合もあります。
また、ダウン症の子供は聴力障害や視力障害があることが多いため、視力や聴力を定期的にチェックする必要があるかもしれません。検査で問題があると判断された場合は、専門機関を紹介される場合もあります。
知的な能力にどのような影響があるのか
ダウン症を持って生まれた赤ちゃんは、成長するにつれて知的な能力に問題が出てくることがあります。この能力は、正常よりやや低いレベルから非常に遅れたレベル(学習が遅い)の範囲とされていますが、肉体的な健康を保ち、障害の治療に専念するにつてれ、少しずつ学習することができると言われています。適切な治療を続けることで、仕事に就き、独立して生活している人もたくさんいます。
ダウン症の子供を育てるときは
赤ちゃんがダウン症を抱えて生まれてきた場合、どのように育てていけばよいのでしょうか。
こだわりを否定しない
ダウン症の子供はこだわりが強く、頑固な面があります。言うことを聞いてほしいために、こうした頑固さを否定するのではなく、子供にとってこのこだわりは必要なのだと受け止めて、尊重してあげましょう。
言葉を教える
少しでもしゃべってもらえるように、指を使って繰り返し文章の作り方を教える方法があります。これは、使う単語によって使う指を変えながら、子供に次に使う言葉を促してあげることができます。
特別支援学校に通わせる
ダウン症を抱えている子供は、軽度から中程度の特別支援を必要とするため、特別支援学校で勉強することができます。
日常生活に欠かせない動作を教える
手洗いや着替えなど、日常生活で欠かせない動作をこなせるようになるために、何をすればいいのかのイメージ図を作りましょう。たとえば、着替えをするときの過程をわかりやすく示した写真を撮り、それを大きなボードに順番に並べ、写真を参考にしながら着替えていくことで、着替えができるようになります。 このように、手順をわかりやすく見せて、根気よく繰り返し取り組むようにすると、最低限の介助で手洗いや着替えや食事ができるようになるでしょう。
おわりに:ダウン症の赤ちゃんは体が弱い。ケアとサポートが大切
ダウン症を持って生まれた赤ちゃんは、心臓や腸、目などにさまざまな疾患を抱えています。体が弱いこともあり、かつては寿命も短かったのですが、最近は医学の発達により60歳前後まで生きることができるようになりました。子育てで大変なこともあるかもしれませんが、パートナーや周囲の方の協力を借りながらひとつずつ乗り越えていただけたらと思います。