妊娠
妊娠中の痔はどうやって対策する!?薬は使ってもいいの?
2020年4月13日
ボラギノール®などの市販薬を使ってもいいの?
痔の薬の多くは軟膏や座薬といった、塗薬となります。
毎日継続して使うというよりは症状が出たときのみに使用する屯用薬となることや局所的な使用となるため胎児への影響は少ないと考えられています。
しかし、ステロイド剤が含有されている場合は長期間の使用は避けるべきとされています。
また、多くの痔の市販薬が添付文書などを見ても、妊婦への使用の可否を書いていないことが多いのが現状です。そのため、多くの妊婦さんが痔の市販薬を使用し、使用後に使用してよかったのかを相談する人が多いといわれています。
前述したように外用薬であることや局所に短期間使用であるため問題はないとされてはいるものの、妊娠中に痔になったときには必ず主治医に確認してから使用しましょう。
妊娠初期と後期で違いはある?
妊娠中はホルモンバランスの影響によって腸の動きが弱くなり、便秘になりやすくなります。妊娠初期は特に便秘になりやすく、このことが原因で痔になってしまうことがあります。
一方、妊娠後期となると妊娠に伴い子宮が増大し、骨盤の静脈や下大静脈を圧迫することや、出産に備えて血液量が増えることによって、静脈が拡張し、それに伴い肛門の静脈が怒張して痔となります。
妊娠中の痔の原因は?
妊娠25週目ごろになると、子宮が大きくなることでの圧迫と骨盤部への血流の増加によって、直腸の血管が腫れたりします。これにより、静脈瘤の一種でもある痔が発生します。
また、妊娠中は便秘になりやすく、便秘によって固くなった便を押し出そうと強くいきむことが痔の原因となったり、痔を悪化させることもあります。便がかたいと排便時に強い力が必要となり、直腸部の静脈を圧迫し、腫れを引き起こしてしまうのです。
産後しばらくは症状が続きますが、通常は1~2週間ほどで次第によくなっていくといわれています。
薬以外の対策方法はある?
妊娠中の痔の症状を和らげるには、どうすればいいのでしょうか?対策として、さまざまな方法があります。
水分や食物繊維をたくさんとって、便秘を予防する
痔を悪化させる原因のひとつである、便秘を予防することが重要です。水分の摂取量を増やし、果物、野菜、全粒などの食物繊維の多い食品をたくさん摂取し、便が出やすい状態にしましょう。
ケーゲル体操をする
ケーゲル体操(骨盤底筋体操)をしてみるのもいいでしょう。出産のために会陰を鍛えられるだけでなく、骨盤内の血液循環が良くなるので痔の予防にも効果的です。
横向きで寝る
あおむけに寝ないようにしましょう。そうすることで、患部にかかる圧力を軽減できます。また、直腸の静脈の圧迫を和らげるために、1日に数回、左側を下にして横になるようにすることも有効です。
適度に運動する
長時間の座りっぱなしや立ちっぱなしは避けてください。1時間に1回以上は5分間歩くようにし、血液循環を改善させましょう。医者から許可されているのなら、予定日まで安全な運動を続けてください。
排便時に力みすぎない
無理に排便しようとすると痔が悪化します。いきんだり、長時間トイレにこもったりするのはやめましょう。
肛門を清潔な状態に保つ
温水とやわらかめのトイレットペーパーで、排便後のお尻を拭きましょう。ただし、温水洗浄をしすぎたり、強く拭いたりすると患部を刺激して悪化する可能性があるので注意しましょう。トイレットペーパーだと刺激が強い場合はお尻拭きを試してみてください。洗浄綿で拭くのもおすすめです。
温かいお風呂に入る
10〜15分お風呂に浸かると、肛門を清潔に保ちつつ不快感を軽減することができます。
氷嚢をあてる
氷嚢を痛い部分にあてると、炎症性の痛みが和らぐ場合があります。
ドーナツ型のクッションを使用する
「座っていると痛い」という人は、ドーナツ型のクッションを椅子に敷いてみましょう。お尻にかかる圧力を緩和してくれます。
治らない場合や痛みがひどいときは病院へ
いつまでも痔の症状が和らがない場合や痛すぎて我慢できない場合は病院に相談しましょう。症状を和らげるために、便軟化剤や外用薬が処方されます。
また、痔による出血と思ったら子宮や腟からの出血だったという症例もないわけではありません。
お尻からの出血があるときは念のため病院を受診しましょう。
手術はできる?
妊娠中は原則的に痔の手術をすることはできません。また、多くの医療機関が妊娠中だけでなく授乳中の手術も控えるように勧めているようです。
しかし、中には痔による出血量が多く、それによって貧血となったために妊娠中に手術をせざるを得なくなったという事例もあるようです。
そのため、手術をするかどうかは医師の診察によって決まるのでまず痔になった場合は医療機関で医師に診察してもらうことをおすすめします。
おわりに:ちょっとした工夫で痛みが和らぐケースも
妊娠中の痔を緩和する方法は、実はたくさんあります!水分補給をこまめにしたり、温かいお風呂に入ったり、便を柔らかくしていきむのをやめたり…といったちょっとしたことの積み重ねで、痔の痛みが軽減されるケースも少なくありません。ご紹介した対策を、ぜひ試してみてくださいね。