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母子感染で子供が発症してしまう梅毒、「先天性梅毒」とは

2019年12月9日

先天性梅毒とはどんな病気か

梅毒は梅毒トレポネーマ(Treponema Pallidum)という細菌に感染することで発症する感染症です。感染のおよそ2~3週間後に、リンパ節炎や皮膚の発疹などがみられます。
その中でも母子感染による梅毒を先天性梅毒といいます。
現在のところ日本国内での感染は稀ですが、先天性梅毒に罹った胎児は出産前や出産後一週間以内に死亡してしまう危険性もあるので、注意が必要です。

先天性梅毒の種類について

先天性梅毒には、2歳くらいまでに発症する早発性先天梅毒と、2歳以降に症状が出ることの多い遅発性先天梅毒があります。

早発性梅毒の場合は以下のような症状がみられます。

・粘膜斑、水疱疹、手足の発疹、鼻炎、鼻閉塞などの皮膚や粘膜の疾患
・離断性骨軟骨炎(関節内の軟骨が剥がれ落ちてしまう病気)や髄膜炎などの骨病変
・肝臓や脾臓の肥大化
・リンパ節腫脹

遅発性先天梅毒の主な症状は、角膜炎などの目の疾患、骨病変、神経梅毒、内耳性難聴などです。

先天性梅毒を発症した原因は

上の項目でも説明しましたが、先天性梅毒の発症原因は妊娠中の女性が梅毒に感染することです。
梅毒に感染した母体の血液中の原因菌が胎盤を通じて胎児に感染し、先天性梅毒を発症します。

子供が先天性梅毒だった場合の症状と治療法

上の項目で説明したように、お子さんが早発性先天梅毒であるか遅発性先天梅毒であるかによって症状は異なります。
早発性先天梅毒の場合は皮膚や粘膜の疾患、髄膜炎、肝臓や脾臓の肥大化、リンパ節腫脹などが、遅発性先天梅毒の場合には目の疾患、骨変病、内耳性難聴などが現れることが多いです。

多くの場合、ペニシリン系またはセフェム系の抗菌薬の内服によって治療を行います。
治療終了後3・6・12ヶ月の時点で脂質抗原検査(STS)を行い、梅毒に感染したかどうかの判断材料のひとつであるカルジオリピン抗体の有無によって再治療の実施を検討することが多いです。

先天性梅毒の予防法

先天性梅毒を予防するには、母体から胎児への感染を防ぐことが必要です。
以下の文で具体的な方法を紹介します。

梅毒の検査を受ける

梅毒の主な感染経路は感染者との性行為です。
性器以外の病変部からも病原菌に感染することがあり、性行為のときにコンドームを使用していても完全に防げていない可能性があるので、妊娠しているとわかったらできるだけ早くパートナーと梅毒の検査を受けましょう。

母親が梅毒に感染した場合

梅毒は妊娠4ヶ月以降の胎盤完成期以降に経胎盤感染により胎児に感染するので、胎児への感染を防ぐには妊娠4ヶ月目までに梅毒血清検査を受け、胎盤完成期に入る前に治療を始めなければなりません。
また、妊娠中期以降に梅毒に感染した場合は、母体から胎児に感染するまでの6週間の間に治療を行うことで対処します。

妊婦の体調や医師の判断によって異なりますが、治療にはペニシリン系またはセフェム系の抗菌薬を使うことが多いです。

おわりに:妊娠初期の検診で、梅毒の検査を受けることをお忘れなく!

梅毒は母体から胎児に感染する可能性が高い病気です。
妊娠がわかったらできるだけ早く梅毒の検査を受けて感染の有無を確認しましょう。

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