妊娠
妊娠初期に摂りたい栄養素、葉酸が大事な理由は?
2019年10月11日
葉酸ってどんな栄養素?
葉酸は妊娠中に積極的に摂りたい栄養素のひとつで、プテロイルモノグルタミン酸およびその派生物の総称です。葉酸は植物の葉に多く含まれており、光や熱に不安定な性質を持ちます。
葉酸は造血のビタミンと呼ばれています。なぜなら水溶性ビタミンでビタミンB群に属し、ビタミンB12とともに赤血球をつくるからです。
葉酸の働き
- 赤血球の生産を助ける
- DNAやRNAなど核酸の生合成を促進する
- たんぱく質の生合成を促進する
上記のような働きを持つ葉酸は胎児の成長のために必要な栄養素です。葉酸が不足すると母体にも影響があります。巨赤芽球性貧血を引き起こしたり、動脈硬化のリスクを上昇させるおそれがあります。
妊娠中の体はさまざまな変化が起こり、体内バランスが崩れやすい状態です。葉酸は母体の体調を整えたり、胎児の成長を促すための重要な働きをします。しかし、日本では妊婦の葉酸摂取率が諸外国と比較して下回っている傾向がみられます。
妊娠初期に葉酸を摂取したほうがいい理由は?
葉酸は血液や細胞の生産に大きく関わり、妊娠中の胎内にいる赤ちゃんの細胞の分裂や成熟にも影響を及ぼします。妊婦が葉酸を十分に摂取すると、胎児の先天性異常である神経管閉鎖障害や二分脊椎症のリスクを減らすといわれています。特に妊娠初期に葉酸を摂取することで、二分脊椎症のリスク減少が期待されます。
葉酸の健康障害の有無については、通常の食事をしている場合であれば葉酸の過剰摂取による健康障害はほとんど起こりません。
1日の摂取目安量は480㎍
葉酸は1日480㎍が推奨される摂取目安です。1日1mg(1000㎍)未満ならば摂り過ぎではなく、問題ではありません。18歳以上の男女の1日の葉酸摂取基準は240㎍ですので、妊娠中は倍の量の摂取が望ましいとされています。 葉酸を含む食品と含有量の例を紹介します。
- 焼海苔(100g)=葉酸1900㎍
- ほうれん草(100g、2分の1束)=葉酸210㎍
葉酸摂取のタイミング
葉酸の働きの効果が出るまでには時間がかかりますので、妊娠する3カ月以上前から葉酸を積極的に摂取しておくのがおすすめです。
妊娠中期~後期も葉酸を摂るべき?
妊娠中期以降も葉酸を摂取しましょう。妊娠中は胎盤関連産科合併症という病気を発症することがありますが、葉酸は発症リスクを抑えます。
胎盤関連産科合併症
胎盤の血管に問題が発生したときに、胎盤関連産科合併症を発症する可能性があります。胎盤関連産科合併症は、常位胎盤早期剥離、妊娠高血圧症候群、胎児発育不全、早産などです。母体や胎児の命に関わるなどのおそれがあります。一度発症すると出産するまで改善がしにくいことが特徴ですので、予防が大切です。
合併症は誰もが発症するというわけではありません。これから2人目の妊娠を考えている、2人目を妊娠している人などで、過去に妊娠中に合併症になった経験がある場合は食事に葉酸を取り入れてみてください。
第一子の妊娠の場合は、担当医や栄養士などに相談して不安を解消してみましょう。
葉酸を多く含む食べ物は?
下記で紹介する葉酸を含む食品を、意識的に食事に取り入れましょう。
- 酵母
- 藻類(海苔など)
- 肉類(特に、鶏肝臓100gには1300㎍、牛肝臓50gには500㎍)
- 緑茶
- 緑黄色野菜(特に、パセリ100gには1400㎍、生のほうれん草100gには210㎍、アスパラガス60gには114㎍)
- 卵黄
- 牛乳
- 豆類
食品からの摂取では不足しがちなことがありますので、サプリメントを活用するなど工夫してみましょう。サプリメントで葉酸を摂取する場合は含有量を確認し、用法用量を守ってください。
おすすめの食べ合わせ
葉酸を摂取するときは、ビタミンB6、ビタミンB12を一緒に摂ることをおすすめします。ただし、妊娠初期に過剰摂取に気をつけたいビタミンもありますので、医師や薬剤師、栄養士などに相談しながら栄養バランスを整えると安心です。
注意したい食べ合わせ
バナナやオレンジジュースには、葉酸の吸収を阻害する化合物が含まれていますので食べ合わせに注意してください。
おわりに:葉酸は胎児の成長や合併症予防の効果が期待されます。長期的に食事に取り入れましょう
葉酸は胎児の成長にとって重要な栄養素です。ただし一時的に摂取するのでは効果が十分に期待できません。日頃から摂取するように気をつけ、妊娠前から意識的に葉酸を食生活に取り入れるのがおすすめです。